万乗大智の機動戦士ガンダムアグレッサー第1巻の表紙
(万乗大智(著) 『機動戦士ガンダム アグレッサー』 第1巻 表紙 小学館発行)

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万乗大智(著) 『機動戦士ガンダム アグレッサー』 第1巻

ズダを主人公にした『機動戦士ガンダム 黒衣の狩人』(AA)の著者・万乗大智氏によるガンダム漫画の新作。
「週刊少年サンデーS」で連載中の作品で、1巻では第1話~4話までを収録しております。
巻末にはアグレッサーの設定資料集その1が収録。登場MSはペイルライダー。

部隊は1年戦争末期の宇宙世紀0079・11月の話し。
タイトルにもなっている「アグレッサー」とは、連邦軍に参加する元・ジオン兵ばかりを集めたアグレッサー部隊のこと。
ちなみに「アグレッサー」は航空軍事用語で“侵略者”の意味。また航空訓練で「アグレッサー部隊」といえば、仮装敵役になるエリート集団のこと(日本とアメリカにしかないそうですが)。

表紙は夜のジャブローを飛ぶ、主人公の機体・レッドライダー。

機動戦士ガンダム アグレッサーの主人公機・レッドライダー
(万乗大智(著) 『機動戦士ガンダム アグレッサー』 第1巻 表紙)

レッドライダーはPS3ソフト『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』(AA)に収録されるエピソード「機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク」に登場するMS・ペイルライダーの元となった機体のようです。

ペイルライダーの設定資料
(同書 186ページ)

ペイルライダーは全身ブルーですが、レッドライダーはデータ収集が目的のテスト機体のため、機体色は部分的に赤い部分があるだけであり、バイザー部分が赤いことから”赤帽子”と呼ばれています。

裏切りの部隊・アグレッサー

主人公はチェイス・スカルガード伍長。レッドライダーのパイロットで、連邦軍のジャブロー防衛部隊の一つ・”アグレッサー”に所属しております。
このアグリッサー部隊ですが、ジオンを裏切った脱走兵や戦争によって不法に地球にやってきたジオン系の人間によって構成されており、”裏切りのアグレッサー”などと呼ばれてジオンはもちろん、味方のはずの連邦からも疎まれている、なんとも難儀な部隊のようです。

吠えるチェイス
(同書 46ページ)

アグレッサー部隊を預かるのは連邦軍のダグラス・トランブル大尉。自身の保身と昇進にしか興味の無い男であり、正直部隊長という器ではありません。
ちなみに彼は元ジオンではなく、最初から連邦軍です。他に連邦軍の03中隊というのもアグレッサーと一緒に行動しておりますが、こちらも含め連邦軍はほぼ全員がアグレッサー部隊を信用していないようです。

しかしレッドライダーの試験運用部隊にいるサノ少尉という若い連邦の士官がいるのですが、彼女だけはアグリッサー部隊を信用している様子。
というのも本来レッドライダーは別のパイロットが試験運用する予定だったのですが、それをジオンの部隊に急襲され、あやうく全滅しかけたのです。
そこへ助けにきたのがアグリッサー部隊だったということで、元がどうであれ命を救ってくれたチェイスらを信用しているというわけです。

アグレッサー部隊の任務は、ジオンのジャブロー侵攻作戦に備えることであり、地上で侵攻作戦の下準備をしているジオン軍の工作部隊を見つけて潰すことです。
広大な土地に広がる天然の要塞であるジャブローだけに、防衛するにはこうした地道な作戦によるしかないのでしょうね。

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ジオン工作部隊の探索・強襲

さて、アグリッサー部隊の任務であるジオン工作部隊の探索と撃破ですが、物語冒頭からさっそく戦闘が始まります。
相手はジオンのベテランパイロット、ダガー大尉が駆るグフ。地中に隠れてレッドライダーに不意打ちを食らわせたり挟み撃ちにしたりしますが、どちらも機体の性能とジオンの戦術を知っているチェイスには(かろうじてですが)通じませんでした。
またチェイスの上司にあたるハイウェイ軍曹が乗る戦車がしっかりチェイスをフォローしており、連携を取りながらうまく敵を退けます。
戦車といえばガンダムの世界では典型的な”鉄の棺桶”なのですが(機動戦士ガンダムSEED C.E.73 -STARGAZER-(AA)ではカッコイイ活躍がありましたけど)、ハイウェイ軍曹の戦車は容赦なくMSを撃破していくほどの腕前です。

グフを退けたアグリッサー部隊はその後、ジオン工作部隊の移動拠点の発見に成功。あとは他の部隊に任せ宿営地で休みます。
夜になり連邦軍の03中隊と一悶着起こすアグリッサ部隊。するとそこへ先ほど退けたダガー大尉のグフが出現。無防備なところを強襲されてしまいます。

レッドライダーを蹴り倒すグフ
(同書 62~63ページ)

逃げ惑う兵士を手前に書くことで、MSのスケール感があってイイですね。

チェイスは急いでレッドライダーを起動させますが間に合わず、グフに蹴り倒され絶体絶命。
しかしレッドライダーのパワーでゴリ押しし、逆にグフを押し返してしまいます。

さらにハイウェイ軍曹が戦車隊を立て直してザクまで撃破したために、ジオン軍の強襲作戦は失敗、撤退していきました。
最初に続いて敵(というよりダガー大尉)を退けたチェイスですが、ここまではパイロットの腕よりもMSの性能によるところが大きい感じです。

そしてアグリッサー部隊の宿営地の位置がジオンにバレたのはスパイによるものと判明。
犯人は食事を差し入れていた市民組織の女性で、子供を人質に取られたため、やむなく連邦の情報をジオンに渡していたとのことでした。
こうして女性の子供を救うため、チェイス達は人質救出作戦を開始するのでした。

新型MS・ドム登場

ジオンが子供を人質にとっている家までやってきたチェイス達アグリッサー。
子供と一緒に居るジオン兵は二人だけでしたので、四方を取り囲んだ上で速やかに排除するハズでした。

が、もう少しのところで功を焦ったダグラス大尉と03中隊の邪魔が入り、ジオン兵1人を逃してしまいます。
このダグラスですが昇進しか興味のない無能力者で、しかも味方のはずの03中隊まで足を引っ張るのでは、もはや隊の体を為していないのですが、今後もまともに作戦行動がとれないんじゃないでしょうか?

とにかく逃げたジオン兵を03中隊が追います。
しかしジオン兵が逃げた先には新型MS・ドムがいました。

新型モビルスーツ・ドム
(同書 162~163ページ)

ドムの性能により翻弄される03中隊の戦車たち。ここで03中隊は状況が不利と見るや、後方の街まで撤退し白兵戦を挑もうとします。
能力が無いだけでなく民間人を巻き込もうとする戦術に怒るチェイス。
03中隊のこの判断はいくらなんでもヒドすぎるでしょう。

一方のドムのほうは先に登場したグフのダガー大尉たちの部隊と合流を目指します。
そこでダガー大尉は、こちらも街を目指し03中隊より先に街を占拠。03中隊をドムとダガー隊で挟撃しようとします。
こちらもやはり民間人の犠牲者のことをまったく考慮していないようです。

そしてそれらジオン軍の動きを高台から見ていたチェイス。
なんとか街を守るため、決死の覚悟でダガー大尉のグフに単騎で戦闘を挑みますが・・・

グフ対レッドライダー 3度目の対決
(同書 182~183ページ)

三度ダガー大尉の乗るグフと相まみえることとなったチェイス。
果たしてチェイスは無事、街を救うことができるのでしょうか。

裏切りの理由

さて、主人公のチェイスがなぜジオンを裏切ったのか、はっきりとは語られませんが、どうやらハイウェイ軍曹の政治亡命に付いてきたことだけは確かなようです。

ダイアン・ノイス対チェイス・スカルガード
(同書 33ページ)

チェイスの亡命にはジオンが行ったコロニーの住民虐殺が強い動機になっているようですが、ハッキリこれだ、とは書かれておりませんので他にも理由があるかもしれません。
また、チェイスがなぜそこまでハイウェイ軍曹に付き従っているのか、それらも今後判明することでしょう。

そしてチェイス達が亡命した時、二人を処刑しようと追ってきたキシリア・ザビ直属の親衛隊所属のダイアン・ノイス少佐という女性。
彼女はどうやら裏切り者の処刑を担当しているようですが、チェイスたちは彼女から逃れた唯一の例だったようで二人を執拗につけ狙います。
果たして本当にそれだけが理由なのか、こちらも後々判明するでしょうから楽しみにしておきたいです。

感想

まだ1巻の段階なのでなんともいえませんが、あのかっこいいペイルライダーの元になったというレッドライダーには、まだ機体に秘密があるようなのでどんな能力なのか興味があります。

作画に関してですがかなり頑張っていると思うのですが、人物の作画がちょっと固いというか、やたら角ばって見えてしまいメカよりもキャラクターにちょっと違和感がありますが、それを気にさせないくらい設定が魅力的です。