岡本倫(著)極黒のブリュンヒルデ 第10巻の表紙
岡本倫(著)『極黒のブリュンヒルデ』10巻表紙

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岡本倫(著)極黒のブリュンヒルデ第10巻

表紙はヴァルキュリア・藤崎真子と黒羽寧子の姉妹。

恒例のカバー裏の気まぐれキャラ紹介は九千怜でした。男キャラは5巻の村上良太・9巻の桂谷小五郎に続いて3人目ですが、なぜかキャラ解説は一切書いてありません。

極黒のブリュンヒルデ10巻のカバー裏キャラ紹介は九
岡本倫(著)『極黒のブリュンヒルデ』10巻カバー裏

イラストでは千怜が藤崎真子(?)と一緒に本を読んでいます。本は「100万回生きたねこ」でしょうか。
本編での二人は、このイラストのようなほのぼのするようなところは描かれていなかったので新鮮でした。

さてこの第10巻のヴァルキュリアとの決着を持って第一部・完ということですが、コミックス派にとっては最近最終回を迎えたアニメがこの10巻の内容を先にやってしまっていたので楽しみも半減といった感じかもしれません。
ただアニメ版は中盤まで評判がよかったのに、OPが変わってからあまりにも展開を詰め込みすぎたため不評だったと思うのですが、特にアニメでのヴァルキュリア戦の決着はあまりにもお粗末という他ない出来でしたので、ちゃんとしたモノを見たいのでしたらこちらの原作がオススメです。アニメを見ていても十分すぎるほど楽しめると思います。

というかアニメ版の終盤がなぜあんな構成になってしまったのか。序盤のスローペースを見ていると2クールだと勝手に思っていました。
中盤までは本当に良く出来ていて原作を既読でも楽しめていた傑作だったのに、最後の3話だけで一気に駄作に。
原作は連載スタートから本誌で追いかけ、コミックスも1巻から買っていたファンの一人である自分にとって、アニメ化で新規ファンが増えることを楽しみにしていたのですが、これじゃあ逆効果でしょう。仮に第二部のアニメ化があるとしても同じ製作会社は勘弁してほしいです。

アニメの愚痴はこれくらいで、以下コミックスの内容を簡単に紹介したいと思います。

アンチマターを使って破壊を始めるヴァルキュリア

前回、ヴィンガルフの所長だった九千怜がヴァルキュリアを庇って死亡。そのことに絶望したヴァルキュリアは寧子と良太を魔法で吹き飛ばしてしまいます。
さらに今度は反物質「アンチマター」を生成し、辺り一帯の街を対消滅させてしまいました。

街を吹き飛ばしたヴァルキュリアのアンチマター
同上26ページ~27ページ

当然多数の街の住民も死亡、魔女による殺しでは最大級の被害を出しました。
ここまでくるともはや被害を隠蔽することは不可能でしょう。オマケにメディアのヘリに一瞬とはいえ宙に浮くヴァルキュリアが目撃され、テレビに映ってしまいます。さすがのヴィンガルフでも簡単に事態を収拾できるとは思えません。

一方先ほどヴァルキュリアの魔法で吹き飛ばされたかに見えた良太とネコでしたが、そばにいた小鳥の中のグラーネが魔法をキャンセルしたため生き残っていました。

そしてヴァルキュリアのアンチマターで破壊された街を見て愕然とする良太たち。良太はこれ以上の破壊を止めるため、ヴァルキュリアを殺すことを決意します。

生身の良太に最強の魔女・ヴァルキュリアが殺せるとは到底思えませんが、良太はネコがヴァルキュリアの注意を逸らし、良太がヴァルキュリアの背後から近づいて喉元にナイフを突き立てれば一瞬でヴァルキュリアを殺すことができるというのです。

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ヴァルキュリアを殺した意外な人物

ヴァルキュリアを殺すための武器は良太が持っているナイフ1本のみ。寧子がヴァルキュリアの気を引きつつ、背後から良太が一気に襲いかかる作戦です。

公園にいたヴァルキュリアの前に寧子が現れ、注意を逸らします。そして良太はヴァルキュリアの背後から近づくチャンスを狙うのですが、寧子が生きていれば良太も生きているはずと考えたヴァルキュリアにあっさり狙いを感づかれてしまいます。

出てこなければ公園ごと吹き飛ばすというヴァルキュリアに、仕方なく出てくる良太。
ナイフで殺すことができなくなったため、今度はヴァルキュリアを説得しようとする良太ですが、作戦がこれしかないとは言え今更ヴァルキュリアを改心させることができるとも思えません。

案の定聞く耳を持たないヴァルキュリアでしたが、その最中良太が何かに気がつきます。
そしてその「何か」がチャンスと考えた良太は、まるで自分に注意を引き付けるかのようにナイフを取り出し、ヴァルキュリアを「殺す」というのです。
さらにそのナイフを投げ捨てるという意味不明な行動をとる良太に、ヴァルキュリアは混乱します。

完全に注意が逸れたヴァルキュリア。そしてまったく予想していなかった人物が、背後からヴァルキュリアに襲い掛かります。

ヴァルキュリアを殺す佳奈
同上62ページ

それは包丁を手にした佳奈でした。ヴァルキュリアの喉に一気に包丁を突き刺し切り裂くことで、まさに一瞬でヴァルキュリアを殺してしまいました。

まさか佳奈がこんな形で活躍するとは思っていなかったので、これを本誌で見た時は本当に驚きました。
動けないはずの佳奈はハーネストの一番上のボタンを押すことで動けるようになったとのこと。その代わり予知の魔法が使えなくなってしまうので今まではネコを守るためにこのボタンを押さなかったようです。

寧子・覚醒

佳奈の攻撃により絶命したかに見えたヴァルキュリア。しかし11個目の魔法が発現したようで、なんと再生してしまいました。

11個目の魔法が発現したヴァルキュリア
同上84ページ

自身に刺さったナイフを良太に向け飛ばしますが寧子がこれを庇い、代わりに寧子が致命傷を受けてしまいました。
寧子に刺さったナイフを必死で抜こうとする良太。この時の「お前さえいなければ・・・」「あのままお前が死んでいれば・・・」と言うヴァルキュリアに向けた良太のセリフは、1巻冒頭のシーンと同じですね。

こちらは1巻の冒頭シーン。

極黒のブリュンヒルデ1巻冒頭シーンプロローグ
岡本倫(著)『極黒のブリュンヒルデ』 1巻4ページ

極黒のブリュンヒルデ1巻冒頭のシーンにつながる10巻
岡本倫(著)『極黒のブリュンヒルデ』  10巻88ページ

このセリフ、1巻の時点ではてっきり寧子に向けたセリフだと思っていたのですが、そばに立っていたヴァルキュリアに向けたものだったのですね。
結局ナイフは抜けずこのままだと確実に寧子は死んでしまうと思った良太は、遂に寧子の封印であるハーネストの一番上のスイッチを押す決意をします。

そして覚醒する寧子。ヴァルキュリアの魔法をはじいただけでなく、アンチマターを生成しようとしたヴァルキュリアをあっさり吹っ飛ばしてしまいます。
さらに記憶も戻ったらしく、良太の知っているクロネコの人格が出てきます。どうも封印されていたのは力だけではなく、記憶もそうだったようです。
しかしそれまでの「黒羽寧子」としての記憶は無く、良太と何年ぶりかで再会したようなリアクションを取ります。

ヴァルキュリア対ヴァルキュリア

覚醒した寧子はヴァルキュリアと対峙、ドラゴンボールばりのバトルが始まります。
溶岩のようなビームを放ったり、瞬間移動で移動して相手を蹴り飛ばしたりと壮絶な戦いになりますが、それまでほぼ無敵の強さだったヴァルキュリアより寧子のほうが実力は上らしく、明らかに寧子が押していきます。

ヴァルキュリア・寧子対ヴァルキュリア・真子の戦い
同上132ページ

ただヴァルキュリアは最新式でハングアップまでの容量が寧子より多いらしく、さらに再生能力も持っているため寧子も中々攻めきれません。
そんな中ヴァルキュリアは寧子ではなく良太と佳奈を攻撃、寧子が瞬間移動で助けますが、その隙に日本を沈めるほどのアンチマターを生成してしまいます。

「謝りたかったんだ!!」

一度生成されたアンチマターは対消滅させて爆発しない限り消えることはありません。万事休すかと思われましたが、なんと寧子にはアンチマターを潰す能力があるというのです。
それがマイクロブラックホール生成で、アンチマターを余剰空間に送り込むことで爆発を封じることができるという寧子。

寧子がヴァルキュリア対策として作られたことからこうした力があるというのですが、だったら何故ヴィンガルフが最初に寧子を処分しようとしたのかよくわかりませんね。
その時点でヴァルキュリアは封印されており、寧子は記憶とともに真の能力が無くなっていたからかも知れませんが、それでも予備くらいには考えてもよさそうなものですが。

そして最後の攻撃の前、良太に告白する寧子。すべてが終わったらゆっくり話しをしましょうという寧子の表情にはこの後に自身がどうなるのか悟っているようにも見えます。
寧子の言葉を聞き良太も自分の感情を抑えきれず、「ずっと好きだった」と言うのですが、それ以上に「ずっと謝りたかったんだ!!」というセリフが一番印象に残りました。

クロネコを殺してしまったことをずっと謝りたかったという良太
同上149ページ

「謝りたかった」というセリフは、1巻第1話で、もしクロネコに再会できたら伝えたいと口にしております。
クロネコの手を放してしまい、ずっと自分が殺してしまったと後悔していた良太。好きというよりも謝りたかった気持ちのほうが強かった良太のことを考えると、上のコマの良太は懺悔しているかのように見えますね。

最後の一撃、そして決着

そして最後の攻撃にでる寧子。マイクロブラックホールを作れるのは一度だけで絶対に外せません。そしてヴァルキュリアに突撃します。

マイクロブラックホールでヴァルキュリアと相打ちになる寧子
同上158ページ

マイクロブラックホールは見事当たり、アンチマターは消え去りました。
ヴァルキュリアも一緒に消えたと思ったら、なんと両手を失いながらも生きていました。

「許せない」というヴァルキュリアでしたが、なんと背後に寧子が現れ、再びマイクロブラックホールを作り出します。
一度しか作れないと言っていたマイクロブラックホールを再び作った寧子でしたが、良太への呼び名が「村上くん」だったことから、この時の人格は幼なじみの『クロネコ』ではなく、高校生として転校してきた『寧子』だったようです。

そして今度こそ消滅するヴァルキュリア。地上にはヴァルキュリアのハーネストだけが残りました。良太はその中から出てきたドラシルを踏みつぶしトドメを刺します。

寧子はと言えば意識を失っていましたが、良太の呼びかけに目を覚まします。
そしてすべてが終わり、これからたくさん話しをしてこれまでの空白を埋めようという良太に、寧子は驚きの一言を放つのでした。

再び記憶を失ってしまった寧子
同上190ページ

ようやくヴァルキュリアを倒したと思ったら、寧子は再び記憶を失ってしまったのです。
ここで10巻は終わり。第二部である11巻に続きます。

感想

1巻丸々ヴァルキュリア戦となった10巻でしたが、第一部完結に相応しい盛り上がりでした。
これまでもそうでしたが二転三転する展開でまったく飽きずに読んでしまいました。もしアニメでもヴァルキュリア戦をここまで描いてくれたら間違いなく傑作になったのになーと思うと残念です。

さて、次巻からは第二部がスタート。学園生活に戻った良太たちですが、動けるようになった佳奈を中心に話しが進んでいます。
これからも続きが楽しみです。

※第11巻が発売されました。レビュー記事は以下。