岡本倫(著)極黒のブリュンヒルデ 11巻の表紙は佳奈が2度目の登場
岡本倫(著)『極黒のブリュンヒルデ』 第11巻 表紙

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岡本倫(著)『極黒のブリュンヒルデ』第11巻

前巻のレビューは以下を参考にしてください。

表紙は第3巻以来、二度目の登場となる橘佳奈。3巻では黒を基調とした服装と表紙カラーだったのですが、今回は対照的な白となりました。
佳奈は表紙だけでなく、今のところ第二部の中心人物です。

恒例の表紙カバー裏のキャラ紹介は八田結花。

極黒のブリュンヒルデ 11巻のカバー裏キャラ紹介は八田結花
岡本倫(著)『極黒のブリュンヒルデ』 第11巻 表紙カバー裏

それによると胸のサイズはAカップであり、今後も成長することはまったくないとのこと。以前海に行ったときカズミの胸をバカにしていましたが、数年後には本人も涙目になっていることでしょう。趣味は意外にもパソコンで、しかもエロゲー。家族に見つかることがあれば死ぬ。

第二部はヴァルキュリアとの激戦から一ヶ月後

前回までで激闘だったヴァルキュリア・藤崎真子と九所長との戦いも一先ず終わり、良太には日常生活が戻ってきました。
最もヴァルキュリアに破壊された町の復興はまだ始まったばかりであり、落ち着くのはもう少し先になりそうです。

ヴァルキュリアに破壊しつくされた良太の町は復興途中
岡本倫(著)『極黒のブリュンヒルデ』 第11巻 10~11ページ

ヴァルキュリアによって破壊された街が一望できる公園にやってきた良太。
そこでとある男女の会話を耳にします。それによるとどうやら街が破壊されたのは世間的には爆弾輸送中に起きた事故という扱いになっているようです。
最も会話をしている男女もそんな事故だけでこれほどまでに大規模な破壊になるとは思っておらず真実が別にあるとは考えているようですが、まさか魔法使いによる反物質のせいだと言っても信じてもらえるわけはないだろうなと心の中で呟く良太でした。

別な用事からその場を離れる良太でしたが、この男女の会話をもう少し立ち聞きしていれば後の展開も変わったかもしれません。
良太が去った後、女のほうが「V機関」という組織の噂を聞かないかと男に尋ねます。
男も噂は聞いているが調べるのはやめておけと女に釘を刺します。どうやらこの男女は新聞記者のようで、特に女のほうは「V機関」に繋がる人間を探しているというのです。
「V機関」とは間違いなくヴィンガルフのことだと思いますが、政府により情報を隠蔽されているヴィンガルフの存在も、ごく一部の人間には知られ始めているようですね。

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戻ってきた日常生活

魔法使い達はというとヴァルキュリア戦で死亡した小鳥を除き、ほとぼりがさめるまで小五郎の家に匿われていた模様。
それも戦いが一ヶ月以上経過しても状況に変化がないことから、ようやく外に出ることができるようになり、天文部の部室に戻ることになりました。

1ヶ月ぶりに天文台に帰ってきた寧子・カズミ・佳奈・初菜
同上 24ページ

天文部に再び小鳥以外のメンバーが揃うことになった良太たち。しかし小鳥がいない以外は元通りに見えるメンツも、佳奈はハーネストのボタンを押したことから予知能力がなくなった代わりに自由に動ける体になり、寧子はヴァルキュリア戦で覚醒した反動から良太を含めた記憶の一切を失うなど、それぞれの置かれた状況には確実に変化がありました。

小鳥が死んだり寧子の記憶が無くなってしまったりとヴァルキュリアとの戦いの被害は甚大でしたが、一方で悪いことばかりではなく良いこともそれなりにあって、特にヘクセンヤクトから鎮死剤の作り方を教わることができ(正確には端末のパスワードですが)、これにより鎮死剤切れで寧子たちが死ぬようなことはなくなりました。
そしてどうやら寧子たちが生きているという情報はヴィンガルフ内でも九所長のところで止まっており、その所長もいなくなったことから現在ヴィンガルフ側で寧子たちが生きていることは誰も知りません(高千穂の連中がグラーネの孵卵とヴァルキュリアの死亡の原因を徹底的に調べようとしないのは納得できませんが)。

当面の危機が去ったことから寧子たちはこれまで通り高校に通いますが、佳奈も体が動けるようになったことから中学校に通うことになりました。
そこで佳奈は思わぬ人物と再会することになるのです。

天下無双のかわいさと、判明する意外な関係

体が動くようになった佳奈はある中学校に転校することになります。
久々の学校にさすがの佳奈も緊張しているようでしたが、登校したクラスにはなんと以前海で出会った結花がいたのでした。

前回まだ体がまったく動かない時に出会っていたために話しの整合性をとるため初対面を装う佳奈でしたが、生来の口の悪さから余裕で結花に見破られてしまいます。

佳奈は転校先で結花と出会うが他人の振りをする
同上 56ページ

というか隠す気あったのか、これwww
何にしても日直だった結花が転校生の佳奈を案内することに・・・。そこで結花から以前出会った時に体が動かないと言っていたのはウソだったのね、といわれた佳奈はあえて否定せずそのままにしました。
てっきり怒り出すかと思ったのですが、ウソで良かったという結花。海でも佳奈に優しくしようとしていましたから、性格はイイ子なのでしょう。

その後一旦佳奈と別れた結花でしたが、放課後、街中の公園の鉄棒で体力作りをしている佳奈と再会します。
挙動不審な佳奈を見て笑うクラスメート達の中でも結花だけは佳奈を心配し、近づいて声を掛けるのでした。そこで佳奈から、寝たきりだったために体力が全くないことを聞かされた結花。
結花が自分を純粋に心配してくれていることは理解している佳奈でしたが、いつ孵卵するかわからない状況から仲良くするわけにもいかず、しかたなく突き放したようなことを言うのでした。

一方冒頭に登場した新聞記者の男女が再び登場。どうやら女はヴィンガルフについてまだ調べているようで、その原因は10年前に失踪した妹がヴィンガルフにさらわれたと考えているからなのでした。
そしてその妹こそが佳奈であり、つまり女記者は佳奈の姉だったのです。最も佳奈のほうは魔法使いになる前の記憶がまったくないようなので、姉のことを覚えてはいなさそうですが。

新聞記者の女の正体は、佳奈の姉であり、ヴィンガルフを追い続けることで佳奈の行方を捜していた
同上 72ページ

ここへきて初めて魔法使いに肉親が登場しましたが、この佳奈と姉がニアミスをしながら今後の物語は進んでいくのでしょうか。

佳奈の過去と変わる少女たち

今までどおり天文台で生活する寧子たちと良太。しかし上空ではヘクセンヤクトの無人航空機UAVが寧子たちを監視しているのでした。
良太は監視に気がついているかわかりませんが、そもそも魔法使いたちを抹殺するのが仕事のヘクセンヤクトが良太たちを監視しないわけがありません。
といっても今すぐに良太たちに手を出す気は無いらしいヘクセンヤクト。何事も無ければ、すぐに行動を起こすといった心配はなさそうです。

そんな中、夜に森の中で一人ナイフを振るう佳奈。そこで思い出すのはまだヴィンガルフに居た時の記憶。
まったく体の動かない佳奈の面倒を見てくれたのは寧子であり、なぜ自分の面倒を見てくれるのか不思議だった佳奈。
寧子に聞くと「困っている人を放っておけない」と答える寧子でしたが、そんな寧子に佳奈は「今までありがとう」と別れを言うのです。

それはこれから自分が廃棄処分されることがわかっていたから。
能力にC判定が出たことから処分が決まった佳奈。寧子に迷惑を掛けたくないとずっと思っていた佳奈は、別にここで死んでもいいと考えていたようなのですが、それを止めたのは他ならぬ寧子でした。

佳奈の過去、寧子が命掛けで守ってくれた
同上 85ページ

まさかの反撃に遇い狼狽する研究員たち。イジェクトするぞと脅しても寧子はまったく怯みません。
そこに登場したのはスカジ編で死んだ黒服の男。ヴァルキュリア対策の一環として寧子のイジェクトを止めさせるため、佳奈の処分を先延ばしにするというのです。
まさに間一髪助かった佳奈。体が不自由なのと引き替えにしても予知能力で寧子を守っていた佳奈でしたが、それは文字通り命掛けで自分を守ってくれた寧子に対する恩返しだったのでしょう。すでにわかっていたことでしたが、改めて場面としてみると佳奈の寧子に対する並々ならぬ覚悟が見えてきますね。

しかし予知能力を失ったことは佳奈にとってずっと引っかかっていたようで、翌日会った良太に思わず「もう誰も守ることができない」と弱音を吐いてしまいます。
そんな佳奈に良太は「お前が魔法を使えなくなって良かった」と話すのです。

予知能力で助けられたのも事実でそのことには皆感謝しているけど、今は体が自由に動くようになったのだからその分、寧子たちに迷惑を掛けなくても生きていけるというのです。
これ以上思い詰めないで自由を楽しめばいいんだという良太に、佳奈も少しは元気付けられたようです。

そして佳奈を除く寧子・カズミ・初菜はこれからメイドカフェでバイトを始めるとのこと。
鎮死剤切れの心配がなくなったことからグラーネの孵卵の問題はありますが、それでも可能な限り普通の生活を始めるというのです。
体が動けるようになった佳奈だけでなく、他の魔法少女たちの生活も第二部に入ったことで大きく変わることになりました。

まさかの黒服再登場と所長代理

場面が変わってこちらは新聞記者の男と佳奈姉。男の元に数週間前、ある情報が入ったというのです。
一台の車が事故を起こしたが運転していたらしい男は奇跡的に一命を取り留めたのだが、頭には銃撃を受けたあとがあり、ある病院に入院しているとのこと。

銃弾の影響から人と意思疎通はもはやできないようなのですが、たった一言“ヴィンガルフから来た”と言ったことから、その男が佳奈姉の探している「V機関」の関係者であることがわかったのです。

その男こそ、スカジ編での失敗からヴィンガルフに処分されたハズの黒服の男でした。

スカジ編ラストで死んだと思われていた黒服の男がまさかの再登場
同上 106ページ

まさか黒服が生きて再登場するとは思っていなかっただけに、これには驚きました。
奈波編やスカジ編で登場した彼は結構お気に入りのキャラだっただけに、この再登場はかなり嬉しかったです。

ただヴィンガルフは黒服の男が生きているのを知っているようで、この二日間で黒服の男を病院から連れ出せなければ、再びどこかに連れ出され殺されてしまうというのです。
ピンチなのは変わりませんが、佳奈姉からしてみれば長年追いかけた「V機関」の手がかりなので、このまま指をくわえてみているつもりはなく、翌日の夜には黒服を外へ連れ出そうと考えるのでした。

一方のヴィンガルフでは死んだ九所長の代わりに、新しく所長代理が選ばれたようです。
小野寺という女性なのですがどうやら彼女自身も魔法使いらしく、しかもヴァルキュリア・藤崎真子と同じハーネストがつけられていることから、彼女自身のヴァルキュリアのようです。

ヴィンガルフの新しい所長・小野寺の首にはヴァルキュリアと同じハーネストがある
同上 120ページ

さらに新しいヴァルキュリア・フリストが目覚めたことを高千穂の面々に報告する小野寺。ヴァルキュリアといえばSクラスの魔法使いですが、一体何人のヴァルキュリアがいるのでしょうか。

新たなる刺客と恐れていた変貌

小野寺は殺し損なった黒服の男を再び殺すため、理依・るるみ・美咲という魔女三人に黒服の抹殺を命じます。
どうやら三人とも黒服を知っており、今回の任務についてあまり気が進まないようなのですが、自分達の命もかかっているのでしかたなく任務に就くのでした。

そのころ佳奈は学校で結花と一緒に授業などを受けている内に仲良くなっていました。何かと佳奈を気に掛ける結花のおかげで、佳奈も今の生活を受け入れつつある様子です。

帰りに二人でクレープを食べることになった佳奈と結花だったのですが、それを先の三人の魔女に見つかってしまいます。
特に歳が近そうなるるみは自分と違い、外で幸せそうな生活をしている佳奈の姿に我慢できず、いきなり魔法を使って佳奈を攻撃するのです。

思わぬ刺客の登場に慌てる佳奈は結花に逃げるように言うのですが、そもそも魔法の話しをウソだと思っている結花はその場を動こうとしません。
そして結花もるるみの魔法の攻撃対象になってしまうのですが、間一髪のところで佳奈が命を救います。結花を狙ったことでるるみに激昂する佳奈。

佳奈対るるみの対決。佳奈の啖呵がカッコイイ
同上 149ページ

セリフはともかく上の画像の佳奈は、文句なしにカッコイイですね。結花も言っていましたが、寧子やカズミ・初菜・佳奈の中では、佳奈が行動力や頭脳的にも一番頼りになりそうなキャラに見えるのが不思議です(ヴァルキュリアを素手で殺したりしているからでしょうか)。

るるみと佳奈の争いは理依が止めたことでアッサリ終了します。理依たちは黒服抹殺のため病院へ向かい、結花と佳奈は今回のことでお互いに信頼関係が結べたようです。

そして病院へ着いた理依たちですが、実は理依たちのターゲットを調べるため佳奈が密かに尾行していたのにはまったく気づかなかったようです。その佳奈も結花の尾行に気づかない辺り、大事なところが抜けているようですが・・・

さて目当ての黒服の病室までやってきた理依たち。美咲の能力で警備の人間を無力化しようとしますが、決行直前、ナースコールが鳴り出します。
そこへやってきたのは内部の人間の手引きで先に侵入し、医者に変装した佳奈・姉と同僚の男の新聞記者でした。

警備員を説得して病室に入る佳奈・姉でしたが、警備の男に不審がられ正体がバレそうになります。
その頃、病室の外で待機していた理依とるるみでしたが、るるみの様子がおかしくなります。
頭を抱え気持ちが悪いと言っていたるるみは、ついには「脳が痛い」とまるでレイズナーに出てくるゴステロのようなことを言い出して苦しみだします。
そして苦しむるるみのハーネストからは得体の知れない何かが出てきます。

ついに孵卵した魔女。異形のバケモノになっても人語は話せるらしい
同上 172ページ

それは何とも形容しがたい異形のバケモノでした。そのバケモノは動かなくなったるるみを食べると、発砲してきた警備員も食べてしまいます。
理依たちを追ってきた佳奈はその姿を見て、そのバケモノはるるみが孵卵した姿であり、おそらくるるみ本人でもあると理依に伝えます。

ここへきて初めて魔女が孵卵した姿が現れましたがどうやらヘクセンヤクトの美樹が言っていたとおり、このバケモノが魔女自身であるようで、るるみにもその時の記憶が少しは残っているみたいです。

理依の名を呼ぶるるみだったバケモノ。それを聞いて一瞬躊躇してしまった理依はバケモノに捕まって喰われそうになり、助けようとした佳奈は吹き飛ばされ両足を潰されてしまいます。

その後理依は一旦は助かりますが動けない佳奈を放っておくことも出来ず、眼前に迫るバケモノに「佳奈を食べるなら私を食べなさい」と自ら身代わりをかってでるのでした。
その代わり佳奈には手を出すなという理依でしたが、佳奈の言うとおりこのバケモノがどう見てもそんな理性を持ち合わせているようには見えません。

案の定、理依を食べた後に佳奈を食べようとするバケモノ。動けない佳奈は絶体絶命のピンチですが、そこへモップを持った結花が登場。
「佳奈に触るな!!」と命掛けでバケモノの前に出るのでした。

感想

11巻はここまで。鎮死剤の心配が無くなったと思ったら、すぐにもう一つの問題である孵卵が出てきました。さすがに展開が早いです。
これを防ぐことは今のところできなさそうですから、味方に孵卵する魔女が出てきたらまさに絶望的な展開です。この問題をどうやって良太がクリアしていくのか、本誌も追いかけていますがコミックス12巻の発売も待ち遠しいです。

※第12巻が発売されました。レビューは以下の記事。