BTOOOM 井上淳哉著 17巻の表紙
(引用:井上淳哉(著)『BTOOOM!』 第17巻 表紙 新潮社発行)

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井上淳哉(著) 『BTOOOM!』第17巻

前巻のレビューは以下の記事を参考にしてください。

第17巻では第82話~第85話までを収録。
表紙はゲーム版「BTOOOM」のSAKAMOTO。パワードスーツが滅茶苦茶カッコイイですね。

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(引用:同上)

中表紙のカラー絵は、新キャラの沖田総介でした。

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同書 中表紙

沖田を含め、この巻ではいままで不明だった5名のキャラの内、3名が判明します。

そして17巻には初回特典として16巻と同様、5月~8月までのカレンダーがつきます。

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イラストはセクシーな水着姿のヒミコ。
このスタイルでその水着は破壊力ありすぎだろ・・・

”ゲーム脳”になってしまった竜太

前回、錯乱した蘇我の攻撃を敵と勘違いしてしまった竜太は蘇我を殺してしまいます。
仲間を自らの手で殺してしまった事実に、今まで精神的にもキツかった竜太の心のバランスは崩壊。
現実世界をゲーム「BTOOOM」でのプレイ中のことであると錯覚してしまう”ゲーム脳”状態になってしまいます。

ゲーム脳状態になり覚醒した良太
引用:同書 16ページ

せっかくヒミコと再会できたのに、この竜太の姿は痛々しいことこの上ないです。

ただ唯一幸いなのは、彼が戦意喪失どころか(ゲームの世界だと思っているせいで)むしろ殺る気マンマンになったところ。
この島に来てからの竜太は手加減やハンデを常に背負っていたので、世界ランクの実力を全て出していたとはいえない状況でしたから、ある意味ここからが世界ランカー・SAKAMOTOの真の実力発揮となりそうです。

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東郷の過去

さて仲間を殺してしまい失意の竜太(と思っている)を狙う吉良。
東郷とのチームワークで今度こそ竜太を殺そうとする吉良でしたが、迷いがなくなった竜太はこれをアッサリと撃退。

逆に吉良を追い詰め、あっという間にトドメを刺そうとします。
が、そんなピンチを東郷が烈火ガスをかいくぐり、最後のバリヤー式を使って命がけで阻止します。

まるで主人公の東郷のオッサン
引用:同書 47ページ

バリヤー式でBIMの爆発を封じ込めるという、良太ですら驚く方法で吉良を救った東郷。まるで主人公のような活躍を見せます。
どうやら過去に自分の判断ミスで警察仲間を失うことがあったらしく、そのトラウマから仲間である吉良を命がけで助けたようです。

そしてそのまま森に逃げた東郷たち。そこで見たのは失神した輝夜さまでした。
樋口は織田が連れていってしまったので(東郷は樋口が自ら去ったと思っていますが)、輝夜さまを仲間に入れることにした東郷。

その輝夜さまは東郷の中にかつて失った彼の仲間の霊を視たようで、後悔の念に今でも彼が囚われ苦しんでいることを指摘します。
そして仲間の霊は彼を許していることも教え、彼がもう苦しむ必要がないと諭します。

輝夜様の威光復活
引用:同書 99ページ)

長年苦しんできたからか、この輝夜さまの言葉に衝撃を受ける東郷。
そりゃ心が弱っている時にこんなことを言われれば、誰だって抵抗できないでしょうね。

こうして天草並みの信者を手に入れた輝夜さま。威光が復活したようにも見えます。
東郷はてっきりポッと出の輝夜さまよりも織田に連れて行かれた樋口を優先すると思っていましたが、こうなってしまうと輝夜さまを見捨てる選択肢はないと思われます。吉良も入れると仲間が4人になってしまいクリア人数をオーバーしますが、果たして東郷の選択はどんなものになるのか。

ちなみに竜太は東郷たちと一緒になった輝夜さまのことは、”ゲームだからしょーがねぇよな”とアッサリと諦めています。

ところでヒミコを襲った上杉は、ヒミコの提案により奴隷になりました。クズに相応しい扱い。

ヒミコの奴隷発言
(引用:同書 67ページ

こうして竜太・織田・東郷のチームはキャラがほぼ入れ替わりましたが、作者は実にうまく人間関係を組み替えたなーと関心しました。

ちなみに竜太が島で生き残っているのは全部で8人と言っていましたが、まだ登場していないキャラが何人かいます。
そのキャラたちは全て死んでしまったのか、それとも竜太の知らない生き残りがいるのか、そちらも気になりますね。

明らかになる織田の秘密と過去

ここで時間はゲーム開始前に遡り、重要キャラの一人・織田のこれまで語られていなかった過去が語られます。

織田には病気で失明した母親がいるのですが、どうやらその病気が織田にも遺伝しているらしく、織田の視力は弱っていたようです。
それを少しでもやわらげるためにサングラスをしていた織田。てっきりファッションでしていたと思ってたのでこの事実は驚きでした。

目の見えない母親を大事にしている織田の姿は、かなりの孝行息子のように見えます。
これまで島で見せていた行動や良太視点で語られていた彼の姿とはだいぶ違う印象です。

BTOOOM 親孝行息子だった織田
(引用:同書 107ページ

そんな彼も突如謎の黒服軍団に襲われ、島に行く輸送機に乗せられてしまう羽目に・・・
目を覚ました彼が出会ったのが、今回中表紙で登場した新キャラ・沖田総介でした。

BTOOOM 新キャラの沖田
(引用:同書 118ページ

かつて織田の仲間だったらしい沖田。どうやら彼もホスト(オカマになっていますが)のようですが、沖田の変わり様に驚く織田の表情が新鮮でした。

沖田は織田に、これから始まる殺人ゲームをクリアするため手を組まないかと誘いをかけてきます。
一度は断る織田でしたが実際に島に上陸して自分の視力がかなり悪くなっていることに危機感を感じ、仕方なく沖田と手を組むことに・・・
そして沖田がすでに仲間にしていた新キャラ・春日つぼねと北条美沙子と合流、こうして織田のゲームは4人チームでスタートすることになりました。

密かな決意

寄せ集めの4人ですが、他愛のない会話で目を見張るのは沖田の人心掌握術。
織田も言っていますが、沖田と話していると皆心を開いていくようで、この異常な状況の中でも仲間を作りそれをまとめる力が沖田の言葉にはあります。

ただ仲間に引き入れた春日と北条は明らかに足手まといになりそうな感じ。
オカマの自分と仲良くしてくれたのが仲間に引き入れた理由のようですが、人を見る目はあまり期待できななそうです。

さて、小休止していた織田チームの前に、突如攻撃を仕掛けてくる者が・・・

久々登場の今川
(引用:同書 169ページ

今川、今川じゃないか!
あまりに懐かしい顔に彼をお忘れの方もいらっしゃるかもしれませんが、彼こそは竜太の最初の敵・今川義明です。
竜太とやりあう前は織田と出会っていたんですね。なんとも懐かしい噛ませ顔ですが、彼には最初仲間がいたようです。

それこそ、新キャラの元高校球児の中年・大久保頼道。
野球で鍛えたコントロールと肩は、クラッカータイプのBIMとの相性が抜群。
これは狩りだ”などと、のたまいながら織田たちに襲いかかります。

BTOOOM 大久保のオッサン
(引用:同書 176ページ

が、そんな大久保も織田の敵ではなく、登場早々にリモコンBIMで吹き飛ばされあえなく退場。
今川は良太の噛ませでしたがこちらは織田の噛ませだったようです(二人とも相手が悪すぎたのももちろんありますけどね)。

残った今川は良太に殺されるため撤退していきます。
それにしても今川もとことんツイてないですね。最初の相手が織田で、次が竜太とは・・・

何とか敵を退けた織田チームですが、実際に敵に襲われてみるとやはりというか春日と北条は足手まといにしかならないようで、織田は心の中で密かに彼女らに見切りをつけ、母を守るために無事に島を脱出するために人の情を捨てる決心をします。

問題は沖田のほうで、沖田を嫌っているらしい織田も彼の能力は認めています。
このまま沖田とは一緒に行動しそうですが、現時点での本編に彼の姿が無い以上、彼もすでに死んでいるでしょうから、どんな死に方をしたのか次の18巻で明かされることでしょう。

ここで17巻は終わり、18巻に続きます。18巻は9月発売予定です。

感想

”ゲーム脳”になったことで覚醒した良太の能力はやはりズバ抜けているようで、生き残っているメンツでは誰も彼には勝てそうにありません。

これまで彼の能力を低下させていた人殺しへの躊躇とBIMの制限が一気に解消されましたから、このままいけば無双状態の良太がヒミコと一緒に生き残ることは目に見えています。

当然それではつまらないですから、物語が二転三転する何かが起きるでしょう。
どんな事態が良太を襲うのか、18巻以降も楽しみです。

それと織田ですが最初こそゲームに戸惑いがあった彼も(良太と違って)すぐに環境に適応し、人を殺すこともまったく躊躇しないところはさすがです。

今回母親を想う彼の姿が描写されましたが、大事なのはあくまでも母親だけであり、それを守るために他人を利用することにまったく迷いがないのが彼の強さなのでしょう。

そんな彼がかつて仲間だった沖田をどうするのか、それによって同じくかつての友人だった良太への想いがわかるのではないでしょうか。
15巻では竜太とのことを後悔しているようにも見えましたが、本心だったのかわからなかったのでこちらにも注目したいです。

※18巻が発売されました。