野田サトル (著) 『ゴールデンカムイ』 第1巻の表紙
野田サトル(著)『ゴールデンカムイ』 第1巻 表紙 集英社発行

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野田サトル(著)『ゴールデンカムイ』 第1巻

『週刊ヤングジャンプ』で連載中の『ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)』(AA)第1巻を買ってきましたのでネタバレ含めて感想などを。

コミックス第1巻では、第1話~7話までを収録。表紙は主人公の杉元佐一。

カバー裏はアシㇼパ。衣装の解説があります。

野田サトル (著) 『ゴールデンカムイ』 第1巻 カバー裏のアシㇼパ
野田サトル(著)『ゴールデンカムイ』 第1巻 カバー裏

8億円の金塊にまつわる奇妙な話し

主人公の杉元佐一はつい最近、日露戦争から帰ってきたばかりの元軍人で、今は北海道の山奥で砂金を採るため川をさらう毎日です。
とある事情ですぐにでも金がいる杉元は手っ取り早く一攫千金できると聞いて北海道までやってきたのですが、とっくに採り尽くされたらしく、砂金の一粒も出てきません。

そんな折、以前からの顔見知りの男から奇妙な話しを聞く杉元。

なんでもまだこの辺りで砂金が多く採れていた頃、ここに住むアイヌの民族は自分たちを迫害し続ける日本人に対抗するための軍資金として砂金などを溜め込んでいたそうです。
しかしある男にその砂金(金塊)を奪われ、金塊を持っていたアイヌ達も皆殺しになったという。
奪われた金塊は金額にするとおよそ8億円にもなる大金でした。

金を奪った男はその後警察に捕まり、死刑判決を受けて網走監獄に入れられるのですが、捕まる前に金塊は隠していました。
警察や軍も当然金塊の存在は知っており、なんとか男から聞き出そうとしますが、男は何をされても誰にもその隠し場所を言いません。

男には監獄の外に仲間がいるらしくなんとか連絡を取ろうとするのですが、手紙や出所する囚人に託そうにも看守の目があるためできません。
そこで男が取った手段はなんと、同房の死刑囚たちの体に暗号化した入れ墨を彫ることでした。

ゴールデンカムイ 金塊の暗号入れ墨を彫られた死刑囚達
野田サトル(著)『ゴールデンカムイ』 第1巻 20ページ)

その後に判明しますが、入れ墨を彫られた囚人は24人もいるとのこと。
そして男は囚人たちに“ここから脱獄した者には金塊を半分やる”と言ったそうです。

ただ入れ墨の暗号は一人だけでは揃わず、24人全員の入れ墨が揃わないとダメだというのです。
そこで金塊を狙った屯田兵たちが入れ墨の囚人24人全員を外に連れ出し暗号を解こうとしたのですが、逆に囚人たちに反撃を受け皆殺しになった上、囚人たちは全員逃走してしまいました。

そこまで話しをして杉元に話しをしていた男は酒に酔ったのか眠ってしまいました。
こんな与太話とても信じられないと取り合わない杉元でしたが、あることを思い出していたのでした。

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お金が欲しい理由

杉元には幼なじみの虎次という親友がおり、一緒に日露戦争に参加しておりました。
虎次には幼なじみで妻の梅子という女性がいるのですが(杉元にとっても梅子は幼なじみ)、目が悪いらしく梅子をアメリカの医者に見せるために虎次は戦争が終わったらすぐに金を集めるつもりだったようです。
しかしどうやらこの虎次は戦死してしまったらしく、梅子のことを杉元に託したようでした。

杉元が大金を欲しがるのは自分のためではなく幼なじみの妻・梅子のためだったようですが、実は杉元は梅子のことが好きだったのです。
好きな女のために金を集めるというのが個人的には気に入りました。

そして梅子もどうやら杉元が好きだった様子。

ゴールデンカムイ 杉元が好きな女性梅子
同書 158ページ)

しかし杉元の家族は結核で亡くなったらしく、村八分にされていたようです。
もし自分が梅子を連れて行って同じように結核にかかっていたら梅子を死なせてしまうと考えた杉元は、好きな梅子をおいて村を出る決意をします。
しかしもし1~2年して結核を発症しなかったら必ず梅子を迎えにと考えていたようです。そして数年後、村に帰ってきた杉元が見たのは虎次に嫁ぐ梅子の姿でした。

そんな梅子の姿を見る杉元の表情がまたなんとも言えません。
自分は結婚できませんでしたが、それでも幼なじみで親友の虎次にならと、身を引いたようです。
中々カッコイイ男ですね。

アイヌの少女との出逢い

梅子や虎次とのことを考えているうちにどうやら眠ってしまったらしい杉元。
目を覚ますとそこには杉元に銃口を向ける顔見知りの男の姿が・・・

どうやら先程の金塊の話しを喋りすぎたため怖くなって杉元を殺そうとしたのですが、あっさり返り討ちに。
逃走した男を追いかける杉元。先ほどまで信じていなかった金塊の話しですが、男の行動から一気に現実味を帯びてきたため俄然やる気になります。

もっと詳しい話しを聞こうと追いかける杉元が見たのは、雪に埋まる男の姿でした。
どうやらヒグマに襲われたらしく、すでに男は死亡していました。

しかし男の死体を見て驚く杉元。
なんと男の体には、先ほどの金塊の話しに出ていた入れ墨があったのです。

やたらと金塊について詳しく知っていた男ですが、それもそのはず、彼自身が入れ墨を彫られた24人の内の一人だったのです。
金塊の話しがどうやら事実らしいので、ヒグマに食べられる前に男の死体を動かそうとする杉元。

しかしすぐ近くにいたヒグマに襲われてしまいます。
絶体絶命の杉元でしたが、そんな時救世主が現れます。

ゴールデンカムイ アシㇼパ登場
同書 45ページ)

それはアイヌの少女でした。
少女が放った毒矢により倒れるヒグマ。なんとか杉元は助かりました。

少女の名前はアシㇼパ。その後、金塊のことをアシㇼパに話した杉元は、金塊を貯めこんでいて殺されたアイヌ達の中に、アシㇼパの父親がいた事を知ります。
5年前、金塊の隠し場所を移動させていたアシㇼパの父ら7人の男たちは、その道中で殺されたようです。

アシㇼパは詳しいことは何も知らないようですが、この地で金塊を探すのにアシㇼパの力が必要だと悟った杉元は、”金塊を見つけることが父親の”仇討ちになる”とアシㇼパを説得します。

言葉巧みに、とまでは言えませんがそれでも人殺しの血なまぐさい争いに少女を巻き込む杉元の姿からはなりふり構っていられないという意思が伝わってきますね。

こうしてアイヌの少女・アシㇼパと杉元の金塊を探す旅が始まりました。

さっそく見つける

散り散りになった囚人を探すため、まずは人口の多い小樽を探すことにした杉元とアシㇼパ。
聞き込みをしているとさっそく怪しい男が釣れました。罠を仕掛けて実にスムーズに捕獲した杉元たち。

捕まえた男の体にはやはり入れ墨がありました。
その男が言うには、どうやら囚人どうしで殺し合いがあったようで、すでに何人かは死んでいるようです。

そして肝心の入れ墨を彫った男・すなわちアシㇼパの父を殺して金塊を奪った男はどんな人間なのかを聞く杉元たち。

R1015382
同書 122ページ)

”顔が無い”となんとも謎めいたことを言う男。
特徴が無いという意味なのか、変装の達人か何かで自在に顔が変えられるのか、まったくわかりませんが追々わかることでしょう。

そこまで話しをすると突然頭を銃で撃ち抜かれる男。名前もわからずいきなり即死です。
咄嗟のことながら、さすが軍人というべきか、アシㇼパを庇いつつ敵の位置を探る杉元。
アシㇼパも目眩ましの煙幕をはるなど、やたらと戦い慣れているようで、この二人は結構いいコンビなのかもしれません。

金塊を狙う”北鎮部隊”

さて、捕らえた男を射殺した人物を見つけた杉元。近接戦闘を仕掛けますが、かなり手強い相手のようです。

その正体は帝国陸軍最強と謳われる第七師団・通称”北鎮部隊”でした。

日本帝国陸軍最強の陸上部隊 北鎮部隊
同書 132ページ)

日露戦争では激戦地に送られ、大きな損害を出しながらも勝利に貢献した”北鎮部隊”。
その実績から陸軍最強の兵団と言われているそうです。

日露戦争ではどこにいたのか、と杉元に話しかけてくる男。その後、いきなり殺しにかかってきます。
しかし杉元もかなりの手練れのようで、その男を投げ飛ばし腕をへし折ってしまいます。
そのままトドメを刺そうとする杉元でしたが、アシㇼパに止められてしまいました。

相手が殺す気で襲ってきたのを見ても、やはりアシㇼパには強い抵抗があるようですね。
その一瞬の隙をついて逃走する男でしたが、杉元がぶん投げた銃があたりそのまま極寒の川へ転落、生死不明ですがとりあえず撃退しました。

しかしこのレベルの軍人が動いているとなると、集団で襲いかかられたらいくら杉元たちでもひとたまりもないでしょうね。

金塊を狙う最強の囚人

うさぎの罠の話しをしていたと思ったらいきなり人間が罠にかかりました。3人目の入れ墨の囚人です。
ずいぶん展開がスピーディーですが、散り散りになった囚人たちが警戒感がないのか、杉元たちが凄いのか、イマイチわかりません。

この囚人の名前は白石由竹。関節を容易に脱臼させられることから脱獄を繰り返しており、付いたアダ名が脱獄王。
この白石との話しに紆余曲折はありましたが、とりあえず白石の情報により、入れ墨の囚人たちが逃げ出せたのは囚人のリーダー格の人物のおかげらしい。

鬼の副長・土方歳三
同書 182ページ)

その男こそ新選組の鬼の副長・土方歳三でした。
まさかここで新選組とは、実に意外な展開です。

かなり歳をとっている土方ですが、腕はまったく衰えていないらしく、一瞬で3人を斬り殺してしまったとのこと。実に恐ろしい。
土方だけはどうやら「顔の無い男」について知っていることがあるようで、当然金塊も狙っているでしょうから、いずれ杉元とも激突することになるでしょう。
果たして杉元はこと男に対抗することができるのでしょうか。

最後に白石からの情報で、金塊を奪った「顔の無い男」からは、”小樽に行け”と言われていたらしい入れ墨の囚人たち。
果たしてこれが金塊の在処を示しているのか、今後明らかになることでしょう。

なお、これまで登場した入れ墨の囚人の中で白石だけは生き延びましたので、今後再登場の機会がありそうです。

2巻に続きます。

感想

金塊を巡る情け容赦ない男たちの争いに、アイヌの少女・アシㇼパがどこまで加わってくるのか。
金塊の行方とともに、こちらも楽しみな『ゴールデンカムイ』。
ヤングジャンプ本誌ではまったく見ていなかったのですが、かなり楽しめました。

また上記では触れませんでしたが、アイヌの方言や食事、極寒の地での様々な知恵が垣間見れるのも本作の大きな魅力だと思います。

チタタプゥを作る杉元
同書 146ページ)

巻末にあるアイヌ参考文献の量を見るに、今後もアイヌに絡んだ様々な話題がでるものと思われますので、こちらも非常に楽しみです。
第2巻はすでに発売中(2月19日発売)ですが、アマゾンでは現在品切れ中の模様。書店に行けばいっぱい売ってます。

※第2巻発売。