ゴールデンカムイ第8巻の表紙。尾形
(引用:野田サトル(著)『ゴールデンカムイ』8巻 表紙 集英社発行)

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野田サトル(著 )『ゴールデンカムイ』 第8巻

久々の『ゴールデンカムイ』第8巻の感想を。
表紙は尾形百之助。第1巻から登場していますが、今回が初表紙です。

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(引用:同上)

第8巻では第70~80話までを収録しております。
恒例のカバー裏アシㇼパさんの衣装ですが、今回は樺太のアイヌの衣装でした。

アシㇼパさんの樺太アイヌ衣装
(引用:カバー裏)

「のっぺらぼう」の正体はパルチザン?

和人と戦うための軍資金として集められていた金塊。
そして、それを仲間を殺して奪ったとされる「のっぺらぼう」。本作はこの金塊をめぐる物語ですが、金塊を奪った「のっぺらぼう」の目的がハッキリしませんでした。

ここで土方は一つの仮説を立てます。それは「のっぺらぼう」の正体が、極東ロシアのパルチザンではないか?というもの。

キロランケはアイヌになりすましたパルチザンの仲間?
(引用:同書11ページ)

パルチザンとは内戦などでゲリラ活動を行う民兵組織で、「のっぺらぼう」は極東ロシア独立を目指すパルチザンの一味であり、独立戦争のためにアイヌに成り済まして金塊を狙ったのではないかというのです。

「のっぺらぼう」に関しては未だに謎の人物として描かれているため正体はわかりませんが、こうなると監獄の外にいる「のっぺらぼう」の仲間についてもアイヌに成り済ましたパルチザンではないかという疑問が出てきます。

作中ではキロランケがそうではないかといった描写がされておりますがミスリードな気もします。
ただ、今巻では杉元・アシㇼパ達の中に裏切り者がいるといわれましたし、「のっぺらぼう」側の人間が杉元達のところにいる可能性は高そうです。

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今回の変態は剥製屋

一方、こちらは前巻登場がなかった鶴見中尉たち。夕張にいました。
狙いはもちろん刺青。炭鉱町の夕張に妙な刺青の炭坑夫がいたという噂を聞きつけやってきたのでした。

そこで出会ったのが江渡貝弥作という男。

剥製屋の江渡貝くん。イケメンだけど極めて変態
(引用:同書 中表紙)

この男、非常に腕の良い剥製屋らしく海外向けに多数の剥製を製作しておりました。
しかし、ただの剥製屋ではなく剥製の対象には人間も含まれていて実の母親まで剥製化。その母親と会話(幻聴)しているという、とてもまともな人間には見えないことをやっておりました。

そんな江渡貝の剥製技術を褒め称える鶴見中尉ですが、目的は江渡貝に刺青人皮の偽物を作らせるというもの。

偽物の刺青人皮を作り、争奪戦を混乱させようとする鶴見中尉
(引用:同書58ページ)

現状、刺青人皮を持っている枚数が最も少ない鶴見中尉ですが、偽物ができれば心理的に圧倒的有利になるのは間違いありませんね。

阿仁マタギの谷垣

続いては元・第七師団の谷垣の話し。足をケガして以来、鶴見中尉からは離れ、杉元たちの仲間のようになっています。

昔は阿仁マタギだった谷垣。そんな彼がどうして第七師団に入ったのかの過去が明かされるのですが、どうやら妹の敵を討つためだったようです。
そのために故郷とマタギを捨て、結果的には母親まで失ってしまいました。

そして肝心の敵討ちも自分が思っていたような事情ではなかったことから、それまでの行動理念だった増悪の持って行き場を失ってしまった谷垣。それからは毎日、自分の生まれてきた意味を探していると言います。

自分の生き方に迷う谷垣
(引用:同書127ページ)

しかし、その後アシㇼパ達に出会い、自分の足の治療をしてくれたアイヌの人々、特にアシㇼパの祖母には特別な恩義を感じるようになり、その恩を返すことが自分の役目だと悟ったようです。

そこへ突然コタンにやってきた占い師のインカㇻマッが不吉な予言をしたことから、網走に向かったアシㇼパを連れて帰ることを決意する谷垣。
いよいよ彼が本格的に戦いに参加することになりそうで、人数的に不利な杉元たちの強力な味方になってくれるのではないでしょうか。

土方一派と邂逅する杉元

鶴見中尉と出会ってどのくらい経ったのかわかりませんが、江渡貝が刺青人皮の偽物6枚分の作成に成功します。1枚でも厄介な偽物が6枚とは随分多いですね。

そこへやってきたのは尾形。江渡貝の作品を見て鶴見中尉の狙いにすぐに気がつきます。
江渡貝は間一髪逃げだし、鶴見中尉の部下である月島と一緒にトロッコに乗って炭坑に逃げ込みます。
それを夕張に来ていて見かけた杉元たちも江渡貝を追いかけることになり、三者が揃ってトロッコに乗って炭坑に入ることに・・・

その時、採掘のための発破でガスが噴出して大爆発。坑道の崩落事故が起きてしまいます。
かろうじて全員生き残りますが、江渡貝は岩盤に足が潰され身動きがとれなくなってしまいます。そのため刺青人皮の偽物を月島に託す江渡貝。変態のくせにやたらカッコ良いですね。

江渡貝が月島軍曹に託した偽物の刺青人皮
(引用:同書186ページ)

彼はそのままガスにより死亡、月島は江渡貝に託された偽物の刺青人皮を持って出口へと向かいます。
一方、尾形は他の炭坑夫に誘導されて出口に到着、杉元は足手まといの白石がいましたが彼を担いで出口に到着しました。
が、出口は消火のためにすでに塞がれており絶体絶命のピンチに。そこへ助けにやってきたのは、意外にも牛山でした。

無事に外に出た杉元たちは、牛山・尾形に連れられて江渡貝の家に到着。偽物が6枚作られたことを確認します。
そして、そこへやってきたのは土方歳三。

杉元と邂逅する土方歳三
(引用:同書200ページ)

ついに土方と対峙することになった杉元(一度、辺見和雄とのバトル後にあっていますが、その時杉元は土方の正体は知らなかった)。
果たして土方は杉元たちと手を組むのか、それともここでまたバトルすることになるのか。
ここで第8巻は終わり。2016年冬発売予定の第9巻に続きます。

感想

やたらイケメンが登場したと思ったら、毎度お馴染みの変態さんでした。作者はよくこんな人物を思いつくなーといつも関心しております。

シリアスの中に適度に入ったギャグ描写も相変わらず。この辺りのバランスも1巻から変わらず面白いままです。

ストーリーについては、鶴見中尉が刺青人皮を作ったり、杉元たちが土方一派と出会うなど、今後の展開を期待させる描写があって、ほとんど話しが進まなかった第7巻よりは面白かったです。

ただ、描写が細かいせいかストーリーの進行が遅く感じるので、もう少しスピードアップして欲しいというのが正直なところです。