ヒナまつり第10巻の表紙
(引用:大武政夫(著)『ヒナまつり』 第10巻 表紙 KADOKAWA発行)

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大武政夫(著)『ヒナまつり』第10巻

ついに10巻に到達した『ヒナまつり』。前回ラストで急に3年後に話しがとんだ時は冗談かと思いましたが、本当にこのままいくようです。

そんなワケで、この巻から本格的に「ハイスクール編」がスタートします。
表紙は高校生となったヒナと、相変わらず家庭的なヤクザ・新田さん。

高校生になったヒナと弁当を作る新田さん
(引用:同上)

三年後のそれぞれ・ヒナ編

3年たった各キャラを紹介。まずはヒナと新田さん。

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(引用:同書 3ページ)

新田さんは外見上、変化なし。壺は今でも大好きなようですが、ヒナの持っていくお弁当を作るのが日課になっているようです。
一方のヒナは、高校生になりました。どうやって試験に合格したのか不思議でしたが、名前を書いただけで合格できるような底辺高校に入ったようです。
表情も豊かになり、ところどころおかしいところはありますが、なにもなければ普通の年頃の少女に見えます。

その学校も昼ご飯がマズイという理由でいかなくなりますが、新田さんの努力のお陰で友達も出来、無事に登校するように。
最もその新田さんの努力ほぼ無駄に終わるのですが、とりあえず学校には行くようになったからそれで良いよね?

そして今巻で最も驚いたのが、ヒナがバイトを始めたこと。しかも業種は接客業(喫茶店)でした。

喫茶店でバイトするヒナ
(引用:同書 121ページ)

外見だけでいえば落ち着いた美少女に見えないこともないヒナですが、性格に難がありすぎるため長くは続かないだろうと見ていた新田さん。

しかし、予想に反してちゃんと敬語を話し接客をするヒナ。ここら辺も3年の成長が見えますね。
が、それも長くは続かず、なぜかJKビジネスのように、オプション料金を払ってヒナと会話したり食事を与えたりする変な方向へ・・・。
ヒナの口調や呼び方までオプションになっているのは、さすがに笑えましたw

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(引用:同書 133ページ)

というか、初恋の人って・・・。ヒナってそんな演技できるの?
その演技力を、たまには新田さんに向けてあげて欲しい。

そして、不本意ながらヒナの接客ぶりを体験することになった新田さん。「お父さん」オプションを勝手につけられたため、ヒナから初めて”お父さん”と呼んでもらうことに・・・。

新田さんをお父さん呼びするヒナ
(引用:同書 139ページ)

オプションでさえなかったら泣ける絵なのですが・・・
これは良かったのか悪かったのか、非常に微妙ですね。この時の新田さんの表情が笑えます。
そんなわけで、3年経ったヒナは確かに成長していましたが、色んな意味で新田さんに厳しいところは相変わらずでした。

なお、”お父さん”呼びについては、下に紹介するアンズとの対比にもなっています。この構成はうまいですね。

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三年後のそれぞれ・アンズ編

そのアンズですが、3年後の彼女は前と変わらず、引き取ってくれたおじさん達の中華料理店の手伝いをしておりました。
料理の一部も任されるようになり、学校へは行っていませんが日々の生活が充実しているように見えるアンズ。

まるで美味しんぼのような扉絵
(引用:同書 151ページ)

面倒を見てくれているおじさん達から養子縁組の話しも出てきて、いよいよ順調かと思われましたが、どうやら区画整理の対象となったことで店をたたむことになったらしい。
立ち退きのお金でマンションに住む事もできるし、お店は年齢的に続けるのが難しくなっていたから丁度良いというおじさん達。さらに、お店の手伝いがなければアンズは学校に通えるようになるというのです。

アンズのためを思ってのことでしたが、当のアンズはお店を手伝うことに生きがいを感じだしており、さらに学校に行くことを無意味だと考えていたために混乱して店を飛び出してしまいます。
おじさん達もアンズも、それぞれがお互いを思い合っているのですが、中々相手には伝わらないものですね。

アンズが飛び出した先には偶然にも新田さんがおり、図らずもアンズにアドバイスをすることに・・・
これを聞いたアンズは、一つの決意をします。それは自分でお店を続けること。

店舗が無理でも屋台ならとおじさんに言うアンズ。これを聞いたおじさんは怒り、アンズを(おそらく初めて)ひっぱたき、さらに屋台をやるならこれからは娘でもなんでもないとまで言い切ります。

しかし、それでもアンズの決意は変わりません。
過去に自分が救われ、今もお客さんが食べに来るおじさんの味を無くしたくないというアンズ。
ホントの子供になれなくても、おじさんの味を継げればそれはおじさんの子供と同じというアンズのセリフには泣かされます。

おじさん達の味を継ぐことが本当の娘になることだと思うアンズ
(引用:同書 181ページ)

ここまででも泣けるポイントはいっぱいあったのですが、最後が強烈でした。

屋台を始めて少し経った頃。
新田さんはアンズが独立したことを知って、結構頻繁に屋台を訪れているようでした。
本当にアンズには過保護な新田さんですが、彼女の境遇とその後の生活を見ていれば誰しもそうしたくなるのではないでしょうか。

そんな中、おじさん達がラーメンを食べにきます。
旨いともマズいとも言わず、ただ食べるだけのおじさん。そして、黙って代金を置いて帰ろうとするおじさん達に向かってアンズが言った言葉。

おじさんとおばさんを父・母と呼ぶアンズ
(引用:同書 189ページ)

もうホント泣けますね。どうしてアンズの話しはこんなに良い話しが多いのか。
そして、隣でそれを聞く新田さん。ヒナの時と比べるとその過程も含めてさらに残酷ですね。

というわけで、どうやら独り立ちしたアンズ。孝行娘の彼女のことですから、今後も立派に屋台を続けていくことでしょう。

三年後のそれぞれ・マオ編

第3のサイキック少女として登場していながらこれまで接点のなかったマオですが、中国拳法の達人(実は超能力)になった後は日本に来て、中国拳法の道場支部を作り、現在は拳法を生かしたフィットネスクラブを運営しているようです。

サイキック少女マオの中国超人フィットネス
(引用:同書 83ページ)

道場の経営は順調。超能力少女の中では、一番まともに生活しているようです。
しかし、マオにはずっと気がかりな事がありました。それは、上司のイカルガについて。

どうやらイカルガに思い入れがあるらしい彼女ですが、日本に来たのに未だにイカルガとは会えていないようです。
イカルガといえば餓死寸前でスーパーでバイトをするようになり、そこへ来たお客をぶん殴った事までは出ていましたが、その後の消息は不明でした。
そこで、以前からオファーのあったテレビに出演してイカルガを探してもらうことになったマオ。

そして、ついにイカルガと再会したのですが、なんとイカルガは結婚して子供までおりました。
てっきり自分を待っていてくれているとばかり思っていたマオ。実際は自分のことなどお構いなしで幸せな生活をしてたイカルガに対して激しく幻滅したようです。
というか、イカルガって女性だったんですね。ずっと男性だと思っていました。

何か釈然としない結果になりましたが、これでイカルガにこだわることは無くなったマオ。
果たして彼女は今後も今の生活を続けるのか、そもそもあまり他のキャラと接点もありませんし、登場回数が減ってしまいそうです。

情熱なくして仕事なし

そして最後は、ある意味一番残酷だったスーパー中学生・三嶋瞳の3年後。
優秀すぎた彼女は、現在高校生をやりながら会社社長という二足のわらじを履いていました。
なぜ社長だけでなく高校生までやっているのかについては、暗躍した人物(主に担任)がいたようですが、今後それが語られることがあるのか不明です。

その瞳の父親は今まで海外で仕事をしていたのですが、会社が倒産したために日本に戻ってくることに・・・
瞳はただの女子高生だと思っている父親は、家族のためにこれまでのプライドを捨てて再就職活動をすると意気込んでいます。

そんな父が面接に行ったのは、なんと瞳の会社。

実の父親が自分の会社に面接に来て気まずい娘
(引用:同書 51ページ)

第3巻では瞳がバイトをしていたバーに、担任が来てしまって気まずいという展開がありましたが、これはその比ではありません。
おまけに父親のことを考えて正体をバラすことはしないと決めたために、また余計な気苦労を背負うはめになった瞳。

一方、不自然ではあっても、まさか自分の娘が社長をやっているとは思えない父。常識と現実の間に挟まれて、なんだか可哀想です。

そんな父の姿を見て、父を自分の会社へ入れることを決意する瞳。
社員をよくわからない決め台詞で説得して、なんとかコネ入社させることに成功します。

情熱なくして仕事なし、三嶋瞳の迷言
(引用:同書 62ページ)

しかし、これが想像以上のストレスを生む結果に・・・。
父親が娘である自分に敬語を使ってくるのも落ち着かないのに、父が年下の上司に怒られているのを見れば、誰だった心苦しくなります。

トドメは自分が言った”情熱なくして仕事なし”を社員が父親に向けて言うところ。
これにはさすがの瞳も、身悶えするほど恥ずかしくなってしまいます。

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(引用:同書 71ページ)

こんな状況で、果たして瞳の精神は持つのでしょうか。色々な意味で今後の瞳が楽しみです。

感想

心配だった3年後の話しも、面白いものが多くて満足でした。
クオリティは下がるむしろ右肩上がり。特にヒナとアンズの”お父さん”発言の対比は素晴らしかったです。

ただ、超能力設定や新田さんのヤクザ設定などは今後生きてくる展開があるんでしょうか?
そんなの関係なく普通に面白いのですが、初期のハチャメチャな展開も大好きだったので、ぜひそれらを生かしたストーリーも見てみたいです。

あとはアニメ化してくれれば満足なのですが、ネットでも人気がありますし、アニメ化もそんな先の話しではないかもしれませんね。