花沢健吾(著)「アイアムアヒーロー」15巻小学館 表紙はゴミ収集車
(引用:花沢健吾(著)『アイアムアヒーロー』 15巻 表紙 小学館発行)

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花沢健吾(著)『アイアムアヒーロー』第15巻

第168話~第179話までを収録。
前回14巻から4ヶ月ぶりの発売となりました。

表紙はごみ収集車。後の展開を知っていると、切なくなります。

第15巻では、ほぼ1巻使ってゾンビに追われていた14巻とは打って変わり、今回は英雄や小田さんの身に起こったことが話しの中心でした。

ゾンビに囲まれた旅館からの脱出

前回、武器を求めて箱根にやって来た英雄達。しかしゾンビ(ZQN)に襲われ車で逃げているうちに、行き止まりの温泉旅館に逃げ込むことになってしまいました。

逃げる手段もない絶体絶命の状況の中、小田さんと比呂美を先に温泉に行かせ独り足止めのため残った英雄でしたが、正体不明のバケモノに食べられてしまいました。

しかしこの英雄を食べたバケモノは何故か小田さん達を襲うことはせず、逆に二人を抱きかかえて旅館を脱出するのでした。

英雄を飲み込んだ化け物と一緒に逃げる比呂美と小田さん
引用:同書 4ページ

何とか旅館からは脱出できた小田さんと比呂美でしたが、周りがゾンビだらけなのは変わりません。
そして二人を抱えていた謎のバケモノは二人に車を探すようジェスチャーをして、自らは囮になるようにゾンビの集団に飛び込んでいくのでした。

車に乗って逃げることを教えるバケモノ
引用:同書 15ページ

前回登場したときは他の無表情だったこのバケモノなのですが、汗をかいたりくしゃみをしたりと今回やたら人間くさい表情をしていてどこか英雄に似ている印象でした。

そしてゾンビ達と戦うバケモノ。かなりの怪力で素手でゾンビを倒していきますが、数で圧倒するゾンビ共に次第に劣勢になっていきます。

その頃バケモノに食べられた英雄は、何故かその中でクルスやたかし(狂巣)達と出会っているのでした。
どういう世界かはわかりませんが、クルスに追われ逃げる英雄。この時のクルスのポーズは11巻の表紙と同じですね。

クルスに追い詰められる英雄
引用:同書 24~25ページ

そしてクルスのナイフで刺される英雄。おそらくは致命傷だと思うのですが、それを察知したかのように英雄を飲み込んだバケモノは、英雄を引っ張り出して吐き出そうとします。
そこへ軽トラを持ってきた小田さんが登場。吐き出された英雄を荷台に乗せ、比呂美と共にその場を急いで脱出します。

車の後部座席に英雄をはき出すバケモノ
引用:同書 33ページ

このバケモノも一緒に逃げると思ったのですがそれは無く、まるで「自分が引きつけている間に逃げろ」と言わんばかりのジェスチャーをして、一人ゾンビ共と戦い続けるのでした。
結局その後このバケモノがどうなったかはわかりませんが、ブリーフだけの格好を見ると案外コレも狂巣の一人かもしれません。ただなぜ英雄たちを助けたのかは謎なままです。

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英雄の蘇生とゾンビの行動原理?

何とか車で逃げることに成功した小田さんと比呂美。一方荷台に乗せられた英雄はどうやら心臓が止まっているらしい。
バケモノに飲まれて窒息したのか、クルスに刺されたからこうなったのかは不明ですが、急いで心肺蘇生処置をする小田さん。比呂美は人工呼吸して必死に英雄を蘇生しようとします。

英雄に人工呼吸する比呂美
引用:同書 50ページ

その甲斐あって何とか蘇生した英雄でしたが、まだ意識は朦朧としている様子。さらに心臓マッサージ時にどうやら肋骨にヒビが入ったようで、一度落ち着ける場所を探す小田さん。
英雄は動けないので武器が使えませんが、車で移動している間見かけたゾンビ共は何故か襲ってきません。
小田さん達を認識しているのですが、襲う気配がまったく無いのです。

比呂美はともかく、普通の人間の小田さんがゾンビに襲われないのはこれが初めてではないでしょうか?
それどころかゾンビ達は一カ所に集まるように移動しており、このために小田さん達を無視したようにも見えます。

城の上でゾンビを取り込みながら大きくなっている、合体したZQN
引用:同書 77ページ

そしてゾンビ共が集まる先にあるのは、城の天守閣。そこにはまるで幾人ものゾンビが合体したような巨大な姿をした、異形のバケモノが城の壁にへばり付いているのでした。

ゾンビは順番に並びながら、このバケモノに取り込まれていきます。かなり統制の取れた動きをしており、無秩序に人間を襲っていたゾンビと同じとは思えません。
これについてはコミックス11巻で登場した苫米地が、「ゾンビ一人一人に意思はないが、ゾンビ全体では意思がある」と推測しており、「ゆっくりだけど南へ移動している」とも言っていました。
この推測が当たっているかはわかりませんが、ひょっとしたらこのバケモノに吸収されるために各地のゾンビ共がここに集結しているのかも知れません。

新たな争い?

ゾンビの集団から脱出できた小田さん達はラブホを見つけ、そこに逃げ込みました。
大きなベッドに英雄を寝かせつけ、そのまま一晩?休んだ英雄が起きると、今後を話し合う小田さんと比呂美。
とりあえず英雄は肋骨にヒビが入っているので数日は安静にしていなければなりません。そこで小田さんと比呂美の二人で食料を調達することに。

負傷した英雄の代わりに食料などを調達する女子二人
引用:同書 110ページ

英雄に銃の使い方を聞く小田さん。それに対し相変わらず銃刀法がどうのと言う英雄でしたが、ここまで来てまだそれを言うのはいい加減にしてほしいですね。
いずれにせよ武器を扱える人数は多いほうが良いということで、銃の使い方を教わる小田さん。ようやく二人だけで食料探しに外へ出ますが、よく考えると英雄と別行動をとって小田さんと比呂美の二人だけになるのはこれが初めてですね。

外に出るとすぐ近くの車の中で、比呂美が奇妙なものを見つけます。

明らかに二人が合体しているZQNの死体
引用:同書 122ページ

それは左手が2本ある人間?でした。英雄を食べたのと同じタイプのようですが、人間を食べるだけでゾンビがこうなる訳ではなさそうなので、どういった個体がこうなるのかは謎のままです。

とにかくその場を離れる小田さんと比呂美。そして近くの海に出るのですが、そこで比呂美が小田さんに「妊娠した?」と驚きのことを聞きます。
「わからない」という小田さんに対して相手は英雄かと再び聞く比呂美でしたが、それはないとハッキリ否定する小田さん。
そこで英雄をバカにしたようなことを口にした小田さんに比呂美は、あろうことか銃を向けてしまいます。

小田の気持ちを確かめる比呂美とはぐらかす小田
引用:同書 134ページ

英雄の気持ちが小田さんに向いていることが気にいらない様子の比呂美に対して、小田さんはあくまで英雄に恋愛感情がないような態度を見せます。
それが余計比呂美をイラつかせているのですが、今それを話しているような状況にないことを思い出した二人は、一旦休戦して食料がありそうな民家を探すのでした。

これまで比呂美は彼氏がいると言っていたので英雄に恋愛感情は無いと思っていたのですが、一度感染してから記憶が混乱して彼氏がどんなだったか忘れてしまったようですし、一方で自分をここまで助けてくれた英雄を好きになったとしても不思議ではありませんね。
小田さんも英雄に好意を持っているのは間違いないでしょうし、このまま英雄を巡って三角関係に発展する可能性が高くなりました。

小田さんの決意

民家に侵入した小田さんと比呂美。そこで食料を探しついでに服や下着も調達したのですが、比呂美は一緒にあった妊娠検査薬を小田に渡し、本当に妊娠したか確認するよう小田に言うのでした。

一度は拒否する小田さんでしたが、渋々了承。さっそく調べるとやはり妊娠しているのでした。
比呂美に報告するとなぜか比呂美は泣き出します。そして二人は英雄が待つホテルに戻るのでした。

さっそく調達した食料でご飯を食べる三人。そこで小田さんは英雄にも妊娠したことを伝えました。

今後は英雄たちとは別行動をとるという小田
同書164ページ

驚く英雄でしたが、さらに小田さんは「今後は単独行動を取る」と言い出すのです。

一人でこっそり抜けだし車で病院に向かおうとする小田
引用:同書 168ページ

理由は、出産にせよ堕胎にせよ設備や薬が必要なのと、どちらを選んでもしばらく身動きが取れなくなってしまうので、英雄たちに迷惑を掛けてしまうからというものでした。
反対する二人でしたが、聞く耳を持たない小田さん。とりあえず結論は先送りにすることにはなりました。

しかし夜中に起きた小田さんはもう一度検査薬で妊娠していることを確認すると、早朝一人でホテルを出てしまうのでした。
乗ってきたのとは別な車で病院に向かおうとする小田さん。ここで15巻は終わり。

感想

今回ゾンビ達が人間を襲うだけでなく、一カ所に集まっているらしいことがわかりました。物語の核心部分はまだ出てきませんが、少しずつですが確実に物語りが進んでいると感じました。しかし終わりというか着地点がどこになるのかはまったくわからないままです。

ここらへんでハッキリとした目的ができると面白いのですが、現状の登場人物だけ(英雄・小田さん・比呂美)ですと難しいかもしれません。
たかし達のグループと合流すればストーリーがもっと動きそうなのですが、一体いつ頃になるのか。

※第16巻が発売されました。レビューはこちら。