アイアムアヒーロー 第19巻の表紙・カヌーに乗る英雄
(引用:花沢健吾(著)『アイアムアヒーロー』19巻 表紙 小学館発行)

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花沢健吾(著 )『アイアムアヒーロー』 第19巻

ネタバレありの『アイアムアヒーロー』最新19巻の感想を。
表紙はカヌーに乗った英雄。第19巻では217~228話までを収録しております。

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(引用:同上)

前巻のレビューは以下の記事を参考にしてください。

ZQNに支配された街のその後

まず冒頭はZQNによって完全に支配された街バルセロナを歩く一人の男?から。

ZQNに感染しつくされ支配された街を歩く
(引用:同書16~17ページ)

見ての通り人間ではないこの男ですがどうやら自我があるらしく、姿かたちはともかく、極めて人間らしい思考をしています。

そんな彼の口からZQNの3つの類型が語られます。

まずは感染を拡大させる【人間型ZQN】。物語当初からいて、英雄たちに襲い掛かってくる凶暴なZQNたちですね。
最もバルセロナの街のように人間を感染しつくすと、役目を終えたためかほとんど消えてしまうようです(共食いや巨大なZQNに吸収されるためでしょうか)。

二つ目は【建設的ZQN】。
組織的・機械的な行動をするZQNたちで、街の清掃や治安維持を目的としているようです。
これまで本編には登場したことがないタイプですが、これらのZQNがどうやってうみだされているのか不明です。

3つ目が【存在理由の意味不明なZQN】
人間もZQNも襲う非常に好戦的なZQNだそうで、おそらくクルス達を指しているのではないかと思われます。

以上、ZQNの3つの類型でした。
目的や発生原因は不明ですが、今回ZQNに支配されるとどうなるのかが出てきたのは物語上の大きな前進ですね。

ちなみにこれを語っている彼のようなZQNも生み出されているようですが、見守るとか観測するとかの役割を与えられたタイプのようで、数はそんなにいないようです。

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海から東京を目指す英雄たち

場面は戻って英雄たち。前回巨大なZQNから海に逃げるため船に乗り込んだ英雄と比呂美ですが、ZQNが追ってこれない海から東京を目指すことになりました。

ここで比呂美は東京に行く目的について語りますが、母親については正直厳しくあきらめかけているとのこと。
普通の人間ならとても生き残れるような状況ではありませんから、こう考えるのが自然でしょう。

そこで比呂美は、自分の体を調べてワクチンを作れるのではと言います。
これができれば、感染した多くの人類を救うことができるかもしれませんが、そのワクチンを作ることができる人物が必要でしょうから、今後出てくるかもしれませんね。

行き先を東京に決め、ZQNの脅威がとりあえず無くなった船上で、比呂美から感染状態の時のことが語られます。

どうやら比呂美は感染状態の時、色々な人間と意識を共有している状態だったとのこと。
しかも恐怖や怒りなどの感情ばかり自分の中に流れ込んできたようで、確かにこの時の比呂美を見ると常にイライラしているように見えました。

しかしクギが頭に刺さると一人だけの世界になり、再びクギが抜けると他人の感情が入っては来たが一つの目的に向かっているような一体感があったというのです。
これが、他のZQNが巨大なZQNに取り込まれにいっている要因の一つになっているようです。

そして、英雄とも限定的ですが意識が繋がる時があることから、英雄も感染しているのではと言う比呂美。

てっこに噛まれたことで、ZQNに感染しているかもしれない英雄
(引用:同書82ページ)

確かにテッコに噛まれたことがある英雄ですから、感染していても不思議ではありません。
特に、過去クルスや崇と意識が繋がったような描写もありましたから可能性は高そうです。

ただ、他と異なるのが感染者のような症状が一切無い事。
なぜ、英雄だけそうした様子が見られないのか、まだまだZQNに謎は残っています。

コロリたちとクルス一派

場面はまた移り、前巻でキズキと出会った連中。
助けを求めたキズキをマンションの一室に連れ込んだ浅田教の連中(デブと桐谷)ですが、どうやらキズキはクルス一派の囮だったらしく、浅田教の本拠地であるサンライズビルにクルス一派が侵入するために接触したようです。

まんまと騙された二人のうち、デブは春樹にあっさり殺されてしまいました。
残った桐谷から情報を聞き出そうとする苫米地。毅くん亡き今、彼が実質的なリーダーでしょうね。

一方そのころのコロリ隊長たち。
武器回収任務に行ったもののZQNが増えたため一旦任務をやめ、銭湯に行くことに。
ここのシーンでは、なぜ人望のあるコロリ隊長が浅田教に対してクーデターを起こさないのかが語られます。

  • ビル屋上のヘリがガソリンで飛ぶのか
  • 脱出先の候補である伊豆七島へは難往復で行けるのか、燃料は足りるのか
  • 脱出先である島が受け入れてくれるのか、感染はしていないのか
  • 浅田は本当にヘリを操縦できるのか。

これらがハッキリしなくては行動の起こしようがないというコロリ隊長。
次々仲間が倒れていき食料も少なくなっていく極限の状態で、これらの確証を得るのは至難の業でしょう。
しかし、クーデターを起こしてもその先がなければ結局ジリ貧でしょうから、まだ行動すべきではないというコロリ隊長は正しいと思います。ホント頭がキレて冷静で、良いキャラをしています。

そして、そんな会話を隣の女湯から聞いていた人物がいました。
クルス一派にいた、やたらと勇敢なおばちゃんです。

クルス一派にいた元気なおばちゃん。さらにパワーアップ
(引用:同書139ページ)

もっとも、コロリ隊長は最初から隣にだれかいるのに気がついていたらしく、しかもそれがクルス一派(久喜幕府)の人間であることがわかっていたようで、わざと上の会話を聞かせていたようです。

このおばちゃん、苫米地たちのやり方に嫌気がさしているらしく、クルス一派がコロリ隊長たちの基地を襲撃することを教えてくれます。
確かにだいぶ雰囲気が変わってしまったクルス一派ですから、離れる人間がいても不思議ではないでしょう。

襲撃

コロリ達のアジトであるサンライズビルに向かうクルスたち一行。クルスの近くにいればZQNに襲われることもなく、安全に移動できます。
これが、クルスたちが東京までこれた理由なのですが、だとすると毅くんはなぜ感染してしまったのでしょうか?
結構好きなキャラだったのでこの辺りも描いてくれると面白いのですが、本筋とあまり関係なさそうですから望みは薄いでしょうね。

そして、サンライズビルに到着した桐谷・キズキ・デブに変装したクルスたち。
あの偉そうな隊長をビルから落として、あっさり侵入に成功します。

侵入するやいなや、問答無用で浅田教の人間を殺しにかかるクルス。

完全に狂巣と化した崇
(引用:同書157ページ)

このクルスは崇ですが、上のコマが第11巻と12巻に登場した最初のクルスにそっくりです。
彼もクルス化した当初は以前の性格が残っていたのですが、もう完全に面影がありませんね。

そして、誰かに語りかけるクルス。
”ここが巣だ”という彼が話す先は、なんと比呂美でした。

俺達はお前のものだ

クルスと呼ばれる連中が時々言っていたひとりごとですが、どうやらそれは遠くにいる仲間にテレパシーのようなもので会話をしていたようです。

テレパシーで崇クルスと会話する比呂美
(引用:同書163ページ)

今回、クルスはその場にいないはずの比呂美と完全に会話をしています。
そして、どうやらクルス達がサンライズビルを襲撃したのはここが”巣”であり、比呂美を待つためだったようです。

しかも会話から、どうやら比呂美がすべてのZQN達の行き先を決めるようなことを言うクルス。彼の言うとおりに比呂美が手をかざすと、離れた東京の街にいるZQNたちも同じ行動をとりました。
普通の女子高生と思われた比呂美ですが、どうやらZQNの行動に大きく関わっているようです(もっとも比呂美本人はそれを自覚したことは無いようですが)。

ZQNに個々の意識はないが社会性昆虫のように、集団では何か目的があるような行動をすることが作中ではたびたび語られております。
ひょっとしたら、現在東京にZQNが集まるような行動をとっているのも、比呂美がそう思って行動しているのに合わせているのかもしれません。

そしてその事から、あることを知る比呂美。
それは、小田さんが赤ん坊のZQNに足を噛まれ感染し、死んだ時のことです。

あの時、小田さんの運転するにはねられた比呂美。
イライラしていた小田さんが思わずやってしまった行動でしたが、その時比呂美は小田さんに対して強い殺意を抱いたのでした。

小田さんを殺した赤ん坊ZQNを操っていたのは比呂美だった
(引用:同書184ページ)

そして小田さんを殺したいと比呂美が強く願ったために、赤ん坊ZQNが小田さんに噛みついたのでした。
つまり、間接的ですが小田さんを殺したのは比呂美ということに・・・

その事を知りそれを英雄に伝えた比呂美は、東京にたどり着くと同時にそこにいた巨大なZQNに連れて行かれてしまいました。
ここで第19巻は終わり。第20巻に続きます。

感想

前巻と違い、ストーリーが大きく動いた19巻。
特にこれまでバラバラだった英雄・クルス・コロリ達が東京に集まっていくのは、正直ドキドキしました。
相変わらずコロリ隊長は有能ですし、戦闘力の高いクルス達が浅田教とどうやりとりをしていくのか、今後の展開が楽しみです。

一方、これまでコロリ隊長やクルスと違って良いところが無い主人公の英雄。
前巻で比呂美と結ばれた英雄ですが、いなくなった比呂美を見てまたヘタレてしまうのか、それとも主人公らしく奮起するのか。
さすがに小田さんの時のようなつまらない展開は勘弁してもらいたいところです。
あそこで良い所が見せられなくて、しかもその直後に比呂美と結ばれたのを見た時は(今後の展開に必要だったかもしれませんが)、あまりに情けなかったですし、本当にコロリ隊長が主人公のほうが良かったのではと思ったほどです。

次巻は4月12日に発売予定。なんと2ヶ月続けての刊行となります。
東京を舞台にさらにストーリーが進んでいくでしょうが、バラバラだった三局がまとまっていくことで終わりが見えてきた感じです。

*コミックス第20巻のレビューは以下の記事を参考にしてください。