機動戦士ガンダム サンダーボルト 第5巻表紙のアトラスガンダム
(引用:太田垣康男(著)『機動戦士ガンダム サンダーボルト』 第5巻 小学館発行 表紙)

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太田垣康男(著)『機動戦士ガンダム サンダーボルト』 第5巻

累計100万部を突破している『機動戦士ガンダム サンダーボルト 5』(AA)。設定資料集付きの特装版と通常版、2種類が発売中です。

前巻4巻のレビューはこちら。

表紙はイオ・フレミング少尉が駆る新型MS・アトラスンダムでした。
劇中もそうですが、この表紙のアトラスガンダムが特にすごい作画なんですが、手書きなんでしょうか?それともCG?
どっちにしてもこれだけの画が見れるガンダム漫画は初めてです。

第5巻では第38話~48話までを収録。他に「ビッグコミック」2013年11号・12号に掲載された『砂鼠ショーン』の前・後編が収録されております。

中表紙のカラーページにもアトラスガンダムがいる他、今後のストーリーの要となるサイコザクのイラストがあります。

カラーのサイコザク サンダーボルト第5巻の中表紙
(引用:太田垣康男(著)『機動戦士ガンダム サンダーボルト』 第5巻 3ページ)

これまで本編で登場したサイコザクを見ていると、どうしても地上で活躍する姿が想像できないのですが、現在舞台である地上で果たしてサイコザクの登場はあるのでしょうか。

不気味な南洋同盟の兵士たち

地上に降りたダリル・ローレンツ少尉は、サイコザクの開発に関わったジオンの開発者・セクストンが潜伏していると思われる南洋同盟支配下の地域に潜入していました。

そこで南洋同盟に潜入しているジオン情報部、ペトロ・ガルシア軍曹を回収する予定だったのですが同盟の部隊に発見され戦闘になったようです。
ペトロはなんとかダリルが回収したのでさっさとオサラバといきたいところなのですが、同盟側の激しい攻撃により中々脱出できません。

南洋同盟は連邦の一組織ですが持っているMSはジオン・連邦問わないようで、ジムやザク、ドムもいたりしますが(ア・バオア・クー戦での遺体回収時に色々持っていったみたい)、ロールアウトしたばかりの新型がいたりしますので、半端じゃないくらい資金力があるようです。

基本的な戦闘力はダリル達アッガイ部隊があるのですが、南洋同盟側はとにかく物量で攻め立ててきます。
さらに死をまったく恐れていない南洋同盟のパイロットは、念仏を聞きながら被弾するのも構わず肉弾戦を挑んでくる不気味な戦法で、ある意味これほど怖い戦い方もないでしょうね。

なんとか水中まで逃げたダリル達でしたが、それを最新式フロート装備型のジム改が3機で追撃してきます。
現在アッガイに乗っているダリルですがこれは普通の量産機のため、サイコザク搭載の「リユース・サイコ・デバイス」のために四肢を義手義足にしているダリルは思うように戦えず、執拗に追いかけてくるジム改を中々振りきれません。

オマケに味方のはずのビリー・ヒッカム少尉(とセバスチャン)は、サンダーボルト宙域での活躍からダリルが伝説のニュータイプかもしということで、その力が見てみたいと言いながらダリルを助けようともしません。
もしダリルがやられたら一緒に乗っているペトロも死んで任務を果たせないのですが、その危険を犯してでもニュータイプ(かもしれない)力を見てみたいのでしょうか。

結局ダリルはたった一人で、見事な戦術により追手のジム3機を撃破。

3機同時に新型を撃破するダリルの乗るアッガイ
(引用:同書 64~65ページ)

このあたりの戦闘描写ですが、操縦に苦戦しながらも敵を倒すダリルの機転を利かせた戦法が見ていて楽しいですね。

その後ビリーはしれっと顔を出してダリルの3機同時撃破の腕を賞賛しますが、ダリルからしてみれば疑念しか沸かないでしょう。
信頼できるフィッシャーは相変わらずのタイミングの悪さですし、部隊からの信頼面はともかく戦闘面においてはダリルはあまり味方に恵まれていないように感じます。

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スパルタンを強襲する特攻攻撃

場面が変わってこちらは地球軌道上のムサイ。
地上にいる連邦のペガサス級戦艦・スパルタンに、ミサイル搭載のコムサイによる特攻攻撃を仕掛けようとします。

特攻に選ばれたのは、グレゴリー・ロマーノフ伍長とフリオ・サワディー伍長の二人。

アトラスガンダムの旗艦スパルタンへ特攻をかけるグレゴリーロマーノフ伍長とフリオサワディー伍長
(引用:同書 80ページ)

ともに過去の戦闘により負傷した傷痍軍人です。
特攻なだけに目標に当てられないのも、生きて帰るのも許されない厳しい任務なのですが、二人ともどこか達観しているようで落ち着いています。

特攻に向かうコムサイの中で二人の会話に登場するのは、やはりジオンにとっては伝説的な存在となったサイコザク。
自分たちのような傷痍軍人にしか操れないサイコザクは憧れの対象だったようです。

そしてスパルタンへ特攻する二人。
スパルタンを捉え、勝利と自分たちの死を確信する二人でしたが、そこでみたのはコムサイへと向かってくるアトラスガンダムでした。

圧倒的ポテンシャルを見せるアトラスガンダム

「サブレック」と呼ばれるフライトユニットを装備したアトラスガンダムは、スパルタンへ特攻をかけるコムサイを両断。
特攻作戦はあっさりと失敗してしまいます。

大気圏外から突入してきたコムサイを両断するアトラスガンダム
(引用:同書 111ページ)

それにしても隕石のように大気圏外から落ちてくる物体を両断するとは、機体の性能の高さだけでなくイオの操縦テクニックも並外れていますね。

スパルタンに帰還するアトラスガンダムですが、ハンガーでは先ほどのサブレック以外にもアトラスの武器となるレールガンや、その他の試作品らしい専用装備が並んでおります。
既存武器を満載していたフルアーマーガンダムよりもこちらのほうが(試作機ということもあり)明らかに攻撃力が上に見えます。

そして驚異的な性能と腕を味方へ見せつけたイオは、今度こそこの機体で宿敵となったダリルを仕留めようと復讐に燃えます。

たった一度の出撃でしたが、イオがスパルタンの面々に強烈なインパクトを与えたことは間違いないでしょう。
一癖も二癖もありそうなスパルタンのパイロットたちとうまくやっていけるのか、楽しみです。

ここで5巻の本編は終了。6巻に続きます。

感想

今回アトラスガンダムの全身が登場しましたが、本編中にも言われているとおり、関節部分がジオン系の水陸両用MSのように丸みを帯びており、今までに登場した他作品のガンダムとは全身のシルエットがだいぶ異なります。

サンダーボルトに登場するアトラスガンダムの全身像 全体的に丸みを帯びており、ジオン系のMSのような部分がかなりある
(引用:同書 カバー裏)

なんとなくこちらもフルアーマー化できそうな印象ですが、早くフル装備した状態のアトラスガンダムが見てみたいものです。

そして現在はアッガイに乗っているダリルですが、量産機であるアッガイではイオのアトラスガンダムと対峙しても勝てる見込みは薄いでしょうから、やはりサイコザクのようなリユース・サイコ・デバイスシステムを搭載した新MSが登場することになりそうです。

そのためにはカーラ教授がやはり鍵を握っていると思うのですが、宇宙にいるであろうカーラと地上のダリルがどのように接点を持つことになるのか。こちらも楽しみです。

サンダーボルト外伝・『砂鼠ショーン』 前・後編

巻末には、2013年に本誌に掲載された『砂鼠ショーン』の前・後編が収録されております。

サンダーボルト宙域でガンダムにやられたと思われていた、ダリルの仲間ショーンを主人公にした物語です。
そういえば彼が明確に死んだ描写はありませんでした。

ガンダムにやられた後、脱出ポットで地球に降下したショーンは終戦から3ヶ月後、グフを購入し、砂漠で埋もれたMSを無許可で回収・売りさばく”砂鼠”の用心棒をしていました。

機動戦士ガンダムサンダーボルトの外伝作品・砂鼠ショーンのカラーページ
(引用:同書 156~157ページ)

なんとなく『ガンダムX』のバルチャーみたいな感じですね。
ガンダムにやられはしたものの腕は確からしいショーンは、用心棒として優秀で仲間からも慕われている感じでした。

今回彼ら砂鼠がターゲットにしたのはたった今撃墜されたばかりのコアブースターのようですが、意気揚々と積み込みしているところへ連邦の戦艦がやってきます。

どうもこの戦艦は連邦の軍人らしいのですが、実態は砂鼠と同じようなことをしているようで、さらに他人の獲物を持ち前の武力で奪い取るという強盗まがいのことをやっているとのこと。
獲物はショーンたちと同じようで、ガンタンク2機を出してコアブースターを奪い取ろうとしてきます。

廃品回収屋同然の砂鼠に正規軍と戦う能力は当然ありませんが、仲間を逃がすためにショーンは果敢にもグフ・ショーンカスタム単騎で戦いを挑みます。

ショーンの乗るショーンカスタムグフ
(引用:同書 176ページ)

グフ・ショーンカスタムは砂漠での戦闘を考えホバー式にしているのと、関節部分もしっかり砂漠対策している機体で、グフ・ノリスカスタム並にカッコイイ機体です。

ガンタンク2機と後方から援護射撃をしてくる戦艦という、圧倒的不利な状況の中、機転を利かせた戦術で、ガンタンク2機を撃破したショーン。

しかしエネルギーを使い果たしたところへ、後方から迫る連邦の戦艦の砲撃に吹き飛ばされてしまいます。
そのまま進んでくる戦艦に絶体絶命のショーン。
その時、戦艦を撃ちぬく一発のビームライフルが・・・

s-R1015625
(引用:同書 207ページ)

なんと撃ったのは先ほど回収したコアブースターで、中身は角なしのガンダムヘッドでした。
思わぬ反撃を受けた連邦の戦艦はそのまま退却。ショーンたちは助かりました。
このガンダムヘッドですが、4巻で連邦がア・バオア・クー戦においてサイコミュ技術の奪取に使っていた機体と同じでしょうか?
どういう経緯で地球に来たかはわかりませんが、いずれにしろ味方のハズの連邦軍の戦艦に撃ち落とされているわけですから、このまま基地に帰れる訳がありません。

操縦者はモニカ・エル・ビアンキという女性でしたが、帰る場所を失った彼女はどうやらこのままショーンたちと行動を共にするようです。
最後はショーンといい雰囲気になったことで終わりました。

本作『サンダーボルト』では登場人物が次々と死んでいくか、生き残っても再び戦場に戻るかのどちらかでしたので、今回のショーンのように戦争の後に(戦いはあっても)日常生活がありそうなキャラは貴重でしょう。思ってたよりもずっと楽しめました。
フィッシャー辺りも最後まで生き残れたならこんな生活をしていそうです。

※第6巻が発売。レビューは以下の記事を参照ください。