機動戦士ガンダム サンダーボルト第9巻の表紙
引用:太田垣康男(著)『機動戦士ガンダム サンダーボルト』 第9巻 小学館 2017年1月

先日、アニメの第二シーズンの配信が決定した『機動戦士ガンダム サンダーボルト』の原作コミックス最新第9巻が発売されたので、簡単にレビューしたいと思います。

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太田垣康男(著)『機動戦士ガンダム サンダーボルト』 第9巻

第9巻では第71話~79話までを収録。前回のレビュー記事は以下の記事を参考にしてください。

サイコザクの情報を求め、南洋同盟の支配地域にある水上都市リグに潜入したダリル小隊。そこには一年戦争により手足を失った元軍人たちが生活しており、南洋同盟を率いるニュータイプ、レヴァン・フウ僧正はその元軍人たちの中から密かにサイコザクのパイロット候補者たちを集めていました。

サイコザクの手がかりを得たダリル達でしたが、同時にレヴァン・フウの驚異的なニュータイプ能力により正体がバレて絶体絶命のピンチに・・・
しかし、レヴァン・フウはダリルをサイコザクのパイロットと知ると、自らの元へ来るよう説得します。
混乱するダリル。そんな中、突如連邦の強襲揚陸艇・スパルタンが現れたのが第8巻までのお話し。

第9巻ではほぼ全編、リグから脱出するサイコザクのパイロット候補者たちと、それを追いかける連邦軍が描かれております。

表紙はビアンカ少尉の乗るガンキャノンアクアとボール。今回は水上都市が舞台ということで、戦闘はほぼ水中シーンのみとなりました。

サンダーボルトに登場するガンキャノンアクア。ビアンカ少尉の搭乗機
引用:同書 表紙より

戦場と化すリグ

突然現れた連邦のペガサス級・スパルタンの目的は、南洋同盟が密かに集めているサイコザク専用のパイロット候補者たちの確保。前巻で連邦の諜報員がリグ内に居た描写がありましたが、サイコザクのパイロットには四肢切断が必要であるため、傷痍軍人が多く集まるリグには連邦も前から注意していたのでしょう。

高圧的な態度で現れたスパルタンに反撃する南洋同盟の僧兵たち。一方のスパルタン側も抵抗する者には躊躇なく武力を行使していくため、リグは一瞬にして戦場に・・・。
あちこちであがる火の手から逃げまどう人々。当然、民間人も多くいるのですが、パイロット確保の目的のために民間人の犠牲は折り込み済みということで連邦が手を緩めることはありません。8巻ではジオン側の非道な行いが目立っていましたが、今巻での連邦も中々のものです。

そんな中、数人の傷痍軍人の中にレヴァン・フウ僧正の声を直接聞く者たちが現れます。どうやら彼らがサイコザクのパイロット候補者たちのようです。

レヴァン・フウ僧正の声を聞く信徒
引用:同書 52ページより

その中にはダリル小隊のフィッシャーとともにいたビビ・ベンソンの姿もあり、フィッシャーは成り行きから彼女と他のパイロット候補者たちと一緒にリグを脱出することになります。
正確な人数はわかりませんが、パイロット候補者はだいたい4~5人程度でしょうか。全員がサイコザクに乗ることになるのかまだわかりませんが、もしサイコザクが量産されここにいる全てがパイロットとなった場合、イオたち連邦側にとって非常に厄介な驚異になるでしょうね。

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絶望的な追撃者

さて、一カ所に集められたサイコザクのパイロット候補者たちは、護衛のMSを従えて高速潜水艇でリグを脱出することに・・・
連邦のビアンカ小隊に追いかけられますが、護衛のMS部隊は水中戦闘に慣れているのか手際よく追撃を退けます。
フィッシャーも魚雷を打ち落とすなど活躍シーンがありました。サンダーボルト宙域では相手がガンダムでしたから目立った活躍がなかったフィッシャーですが、この辺りはさすがに地獄のサンダーボルト宙域を生き残ってきた兵士ですね。

ビアンカ小隊を退けたフィッシャー達でしたが安心したのもつかの間、探知機が迫ってくる一機のMSを捕らえます。
そして、そこからジャズが聞こえてきたことで驚愕の表情をするフィッシャー。彼はその追っ手がガンダムのパイロット、イオ・フレミングだとわかったのでしょう。

水中で圧倒的な強さを誇る連邦のモビルスーツ、アトラスガンダム
引用:同書 170~171ページより

イオの駆るアトラスガンダムがフィッシャー達を追撃。驚異的なスピードと高性能な武器、そしてイオの腕によって瞬く間に護衛のMS部隊は全滅させられてしまいます。
以前、水中用MAと戦ったイオでしたが、その時も驚異的な性能を見せつけたアトラスガンダムでしたから、この程度のMS部隊では手も足も出ないのは仕方のないことでしょう。

護衛がいなくなり、もはや逃げ切ることができないと思われた潜水艇でしたが、フィッシャーの機転によりアトラスガンダムをダリル小隊を回収するために待機していたモビルフォートレス・ゾックのいるポイントに誘い込むことに成功。間一髪、アトラスガンダムから逃げ切ることができました。

無事、目的地にたどり着いたフィッシャーはダリル小隊には戻らず、ビビや他のサイコザク候補者たちと一緒に行くことを決意したようです。

フィッシャー・ネスには家族ができた
引用:同書 221ページより

これはフィッシャーもレヴァン・フウの信仰に目覚めるということなんでしょうか。ダリルにとってはサンダーボルト宙域からの戦友がメンバーから抜けてしまうことになりましたが、サイコザクを求めていけばそのうち再会できることでしょう。

そのダリルはリグを脱出後、以前登場したジオンのカウフマン少佐の潜水艦に救助されていた模様。

水上都市リグから脱出したダリル・ローレンツ
引用:同書 222ページより

カウフマンもレヴァン・フウ僧正を信仰する信者でしたから、ここで一気レヴァン・フウに近づくことになるかもしれませんね。

感想

まさか、リグからの脱出だけで1巻まるまる使うとは思ってもみませんでしたので、少々間延びした印象を受けます。
ストーリーについても、コミックス2巻分でサイコザクのパイロット候補者たちの顔見せぐらいしか進んでいない印象で、かなりスローペースに感じてしまいます。もう少しストーリーが進んでくれると盛り上がるのですが・・・

それにしても本作の大きな見所の一つであるアトラスガンダムですが、前回の水中戦では相手がMAということもあり苦戦していましたが、今回のMS戦では圧倒的でした。水中で圧倒的に強い連邦MSというのも珍しいですね。
仮に相手がダリルだったとしても(もろもろハンデがありすぎる気もしますが)、これなら苦戦することはないでしょう。

だからこそ、早くダリルにも専用機が登場してもらいたいところです。これまではサイコザクがそれなのだと思っていたのですが、量産が前提となっているとすると彼には別の専用機が用意されそうな気がします。以前チラっとだけジオングの量産機が登場していましたが、これらを発展させたオリジナルMSなんかが登場したりすると大いに盛り上がりそうです。