幼女戦記コミックス第4巻の表紙
引用:東條チカ(著)『幼女戦記』第4巻 表紙 KADOKAWA 2017年4月発行

先日アニメの放送が終わったばかりの『幼女戦記』(AA)ですが、マンガ版の最新コミックス第4巻が本日発売されたので買ってきました。簡単にレビューしたいと思います。

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東條チカ(著)『幼女戦記』 第4巻

コミックス第4巻では第10章「始まりの大隊Ⅰ」と、第11章「始まりの大隊Ⅱ」が収録されております。
タイトルからもわかりますが、ターニャが魔導大隊を訓練・編制するまでのお話しを収録しております。アニメでは第5話に相当する部分ですが、コミックスではターニャ以外の人物描写やアニメには登場しないキャラが出てきたりと色々と違いが楽しめます。

表紙は魔導大隊を率いるターニャ・デグレチャフ少佐。こうしてみるとアニメとマンガでは戦闘服の装備品が結構違うのがわかりますね。

幼女戦記第4巻の表紙に描かれたターニャ・デグレチャフ少佐
引用:同書 表紙より

至難の戦場・わずかな報酬、でも志願者は大量

さて、不幸な?すれ違いから魔導大隊の大隊長に任命されてしまったターニャ・デグレチャフ大尉。さっそく部隊に必要な兵士を選別するよう命令を受けるのでした。
最前線の遊撃部隊というスパロボの主人公ポジションみたいな死亡率の最も高いところへの配属が決まってしまいましたが、せめて可能な限り大隊編制を遅らせようと色々と画策します。

まずは魔導大隊への入隊志願者を極力減らすこと。大隊の募集広告にはハイリスク・ローリターンな文言を並べてみますが、これは救国の志が高い帝国軍人には逆効果となり、ターニャ1人ではとても裁ききれないほど大量の志願者を集めることとなります。

ならば視点を変えて、この大量の志願者から屈強な兵士を選抜し、それをさらに鍛えることで最前線において自らを守る盾にして安全を確保しようとします。

自分自身を守る盾を作ることを決意するターニャ
引用:同書 28ページより

こうすることで大隊編制を無駄に引き延ばすことも無く、さらに優秀な兵士を育成することで軍での評価と戦場での生存確率が上がると考えたターニャ。脱落者が多ければ、それを理由に大隊編制も引き延ばせますし、もしかしたら大隊編制の話そのものが無くなるかもしれないという打算もありました。まったく計算高いことです。

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地獄の選抜訓練

方針が決まったところでさっそく志願者の面接・選抜訓練が始まります。ターニャが考えた訓練は誰もが根をあげるであろう古今東西あらゆる特殊部隊の訓練を取り入れたもので、アニメでは解説はありませんでしたが以下のようなものでした。

高々度順応訓練

まずは高々度順応訓練。後に説明がありましたが、通常四千~六千といわれる航空魔導師の限界高度を伸ばす訓練で、八千~一万を目安に行っていたようです(ターニャ自身は一万二千までを記録)。

ヘルウィーク

続いてアメリカ海軍特殊部隊・Navy SEALsで実際に採用されている選抜訓練ヘルウィーク。
ターニャの場合は48時間以内に指定したチェックポイントへの行軍を命じて体力を削っておき、さらにチェックポイント到着後、36時間ぶっ続けで志願者たちに飛んでくる砲弾を迎撃させ続けました。
こうして極限状態におくことにより、仲間との連帯感がない者を探しだすことができるそうです。

SERE

最後はSERE(Survival,Evasion,Resistance,Escape)。生存、回避、抵抗、脱走の頭文字を取ったもので、アメリカ軍における航空機乗組員を対象とする訓練だそうです。
航空機乗組員が戦闘などで乗機を脱出した場合のサバイバル訓練と捕虜になったときの対処法を学ぶのが目的で、マンガでは長距離行軍と苛烈な対尋問訓練が行われました。

 

これらの訓練ではアニメでも描写されていましたが、マンガでは各訓練の目的と解説が入っていてわかりやすかったです。

ターニャ・デグレチャフ大尉の古今東西あらゆる軍事訓練を織り交ぜた地獄の訓練
引用:同書 96ページより

また、アニメでは最後の雪山行軍でグランツ少尉が雪崩を引き起こしてしまい、ターニャに蹴り飛ばされるシーンがありましたが、マンガではセレブリャコーフ少尉がターニャに助けられておりました。こうしたアニメとの違いも楽しみの一つですね。

ちなみに訓練では、ターニャ自身が何度も死にかけたシューゲル博士による試作宝珠の改良版・エレニウム九七式が志願者たちに支給されていました。これもターニャによる念のための処置だったのですが、意に反して問題は起きず逆に志願者たちの士気を上げるだけの結果となってしまったのでした。

かくして志願者を全滅させるはずだった選抜訓練は、大隊編制に必要な48名を無事選抜して終了してしまったのでした。

ダキア軍との戦闘開始

不本意ながらも大隊編制が完了したターニャ。大隊長へ任命されると同時に少佐へ昇進することになりました。しかし、この時点では人数が集まっただけであり、まだ部隊としては未熟です。

が、そこへ参謀本部からレルゲン中佐がやってきて、ターニャたち大隊はすぐに南東駐屯地へ移動するよう命じるのでした。部隊としての訓練で半年は時間が稼げると思っていたターニャにとって、あまりに急すぎる話しでしたが、参謀本部からは地獄の訓練を終えた兵士たちがすでに高い能力を持っていると判断されたようです。

ところで、なぜ移動先が南東なのかとターニャが聞いても軍機により答えられないというレルゲン中佐。しかし、どうやら南東にある小国ダキアが不穏な動きをしており、このままいけばダキアとの戦争になる可能性が高いことを暗に教えてくれます。

レルゲン中佐が子供を戦場に送ることに良心を痛めている善良な軍人と思い込んでいるターニャは、ダキアについての情報を教えてくれたのも自分の身を案じてくれているためだと勘違いしています。
しかし、レルゲン中佐は実際にはターニャを危険人物として認識しているだけであり、暗に戦争へ行けと命じられたターニャがどんな表情をするのか確認したかっただけなのです。
もしも笑顔にでもなったりしたら、間違いなく彼女は狂っていると・・・

そして、(暗に)戦争へ行けと命じられた時のターニャの表情がコレ。

レルゲン中佐に笑顔で答えるターニャ
引用:同書 117ページより

まさに最悪。戦地に赴くと知った上で極上の笑顔を浮べるターニャを見て、レルゲン中佐の中でのターニャは“戦争狂の危険人物”と評価されたことでしょう。一方のターニャは、これでますますレルゲン中佐を信頼できる人物だと思うのでした。
会話は成立しているのに、お互いが相手に抱く印象が全くの真逆となっているところが『幼女戦記』の面白いところの一つですよね。

その後、参謀本部の予想どおりダキアが帝国国境を侵犯。同時にターニャ達の部隊は二〇三航空魔導大隊として正式に任命され、ターニャは大隊発足と同時にダキア軍との戦闘を命じられるのでした。
アニメでは一方的となった対ダキア戦でしたが、マンガではどのような描写になるのか楽しみです。

体の成長が遅れているのではないだろうか

ところで、第4巻にはアニメではまったく描写の無かったターニャが自分の体の成長が遅いのを気にしているシーンがありました。

現在11歳のターニャですが、孤児院で育ったためか幼児期に取るべき栄養が足りなかったようで、同年代と比較すると成長がやや遅れているようです。周りが屈強な軍人たちばかりということもあり、余計にそれを感じてしまうターニャは軍医のもとへ相談に行きます。

女性の軍医は個人差はあるが女性なら誰しもが通る道と、優しくターニャを励ましてくれ薬を出してくれます。
男だらけの職場で”女性である”自分が気兼ねなく相談できる相手がいて良かったとホッとするターニャでしたが、ここで重大な事に気がつきます。

私は男だーと叫ぶターニャ11歳
(引用:同書 88ページより)

そう、自分は男・もっといえば中間管理職のおっさんリーマンです。
読者もつい忘れてしまいそうになってしまいますが、ターニャ自身も体だけでなく心の中まで女性になりつつあるんでしょうか。気持ち悪いような嬉しいような複雑な心境です。
さらに唐突に登場したウーガ大尉に余計な勘違いをされてしまったターニャでしたが、こんご体の成長的なイベントはあったりするんでしょうか?

というわけで第4巻はここで終わり。5月10日発売予定の第5巻に続きます。

感想

アニメでは1話で終わった大隊の選抜・訓練・編制までを、丸々1巻使って丁寧に描写した4巻でした。
マンガでは解説のほか各登場人物の心理描写もあったので、テンポが遅いという感じはしなかったです。普通に面白く読めました。
逆にこれらの内容を1話に収めてしまったアニメも特に駆け足だったと感じないのも凄いです。アニメもマンガも、それぞれうまく構成されているんだと感心しました。

先の展開はアニメで知ってはいるのですが、この分ですと第5巻も楽しみです。
第5巻は5月10日、さらに第6巻は6月10日発売予定となっております。

※追記:第5巻が発売されました。以下の記事でレビューしております。