押切蓮介(著)ゆうやみ特攻隊 表紙
押切蓮介(著) 『ゆうやみ特攻隊』 第13巻 表紙

押切蓮介氏の初の長編マンガ『ゆうやみ特攻隊(13)<完> (シリウスKC)』(AA)買ってきましたので感想を。
表紙は久々に部活のメンバー三人(+1匹)でした。

今回で『ゆうやみ特攻隊』は完結ということで、翔平とミダレガミ・鉄一族との因縁にケリがつきます。

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押切蓮介(著) 『ゆうやみ特攻隊』 第13巻

表紙は花岡隊長・かえで・翔平・2号の部活メンバー。背景が夕焼けですが、全13巻で夕焼けはこれが初ですね。

押切蓮介(著)ゆうやみ特攻隊 13巻表紙の花岡隊長と翔平・カエと2号
押切蓮介(著) 『ゆうやみ特攻隊』 第13巻 表紙

第85話~最終話となる第91話までを収録。カラーは巻末の4ページ。
カバー裏には恒例のオマケマンガがありますが、2巻で登場した懐かしいキャラが出ています。

追い詰められたミダレガミ

さて前巻から続く翔平VSミダレガミの戦いですが、序盤こそ押されていた翔平は隊長の助けでミダレガミを圧倒していきます。
翔平の攻撃により力の源である人身御供の魂が抜けていくミダレガミは、普通の人間の魂では足りぬと今度は鉄の一味達を直接取り込んでいきます。

鉄一味を取り込んでいくミダレガミ
同上10ページ

島全体を飲み込むほどのミダレガミの魔の手から逃げられるものはほんのわずかで、鉄一味を中心にドンドン人が取り込まれていきました。
そうして力をため込み翔平に攻撃を仕掛けるミダレガミでしたが、翔平はこれをあっさり回避・カウンターでさらなる一撃を加えます。
翔平にまったく歯が立たないミダレガミ。そして攻撃を受ければ受けるほど、もっと力をためようとミダレガミは鉄を取り込んでいきます。しかしここで吸い込みすぎた業と罪咎のため、黄泉の底が抜け、奈落の口が開いてしまいます。
落ちれば永遠に出られず無の世界で苦しむことになるという奈落。儀式の残骸と一緒に生き残っていた鉄一味達をどんどん吸い込んでいきます。ミダレガミ降臨の儀式のための祭壇ややぐらが奈落に落ちていくのが印象的でしたね。

その他奈落に落ちていく者として鉄利久や要・翠の姿もありましたが、磊誠やミダレガミは力が弱まりながらも生きているため、翔平は最後のトドメを刺すために前に進むのでした。

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最後の対決

ミダレガミにトドメを刺さんと近づいてくる翔平に磊誠が挑みますが、足止めにすらならず瞬殺されてしまいます。
が、このままでは二人とも奈落に落ちると考えた磊誠は、ミダレガミに自分の魂を喰らって一人だけでも上に逃げろと言い出します。

そして愛の言葉を残してミダレガミに吸収される磊誠。
磊誠を喰らったミダレガミは翼を広げて奈落から逃れようと上に飛び立ちますが、今まで多くの人間と魂を犠牲にし身勝手な愛を振りかざす二人を許せないと翔平が追いかけます。

ミダレガミにケジメを付けさせる翔平
同上 50ページ

ミダレガミを奈落に完全に落とそうとする翔平。その前に父や母・姉やその他ミダレガミの犠牲になったすべての魂を解放してもらうと猛攻します。
翔平の攻撃に悪あがきをするミダレガミでしたが敵うはずがなく、終いには翔平の姿に恐怖すら覚えるのでした。
そして花岡隊長ばりの攻撃をして、遂にミダレガミにトドメを刺し、すべての魂を解放したのでした。

すべての魂を解放した翔平
同上 81ページ

「信念を最後まで貫き通す」

翔平の攻撃によりもはや力を失って奈落に落ちていくのみとなったミダレガミ。
せめて翔平も道連れにしようとしますが、家族の敵を取り魂を解放した翔平ももう逃げようとはせず諦めた顔をしていました。

そんな時、「最後まで信念を貫き通して生きて還るのよ」と花岡隊長の声が聞こえます。
なんと花岡隊長の魂が翔平を道連れにしようとしていたミダレガミを引きはがし、一緒に奈落に落ちていってしまったのです。

死んでもなお翔平を助けてくれた花岡隊長。しばし唖然とする翔平でしたが、先ほどの「信念を最後まで貫き通す」という花岡隊長の言葉を思い出し、意を決して奈落の底へ花岡隊長を追いかけるのでした。

信念を貫き通すと決意する翔平は花岡隊長を助けに行く
同上 91ページ

そして奈落の底で花岡隊長に追いついた翔平。「アンタこそ諦めんじゃねぇ」と叫び、花岡隊長を捕まえるのでした。
いつも花岡隊長に助けられてばかりだった翔平でしたが、最後の最後にきてようやく隊長を助ける姿が見れました。

生還・そしてエピローグ

隊長の手を掴んだ翔平でしたが、奈落に吸い込まれ、上に脱出することができません。
絶体絶命のピンチ。そこへ現れたのがミダレガミから解放された魂たちでした。そこには翔平の姉・晴子の姿も。

決戦の果てに姉・晴子と再会する翔平
同上 111ページ

晴子・さらには父と母の魂とも再会することになった翔平は、彼らの力により奈落の底から脱出、ついに生還することができました。
家族との短い再会の中で翔平は晴子に、「これからは過去に囚われず生きて」と言われ、「大丈夫」と答えますが「寂しい」と本音も漏らすのでした。

思えば幼い翔平を残して父も母も姉も死んでしまいましたが、それでも晴子の言葉を受けてこれからは真っ直ぐ生きるからと力強く答えた翔平の姿は、この島へ来る前からは想像もできませんでした。
この島に来て両親の因縁と最後を知り、姉たちの魂を解放したことが翔平をここまで成長させたのでしょうね。
そして解放された魂はすべて天へと還って行き、戦いは終わりました。

気がつくと浜辺で倒れていた翔平。2号に発見されかえでとも無事再会できました。
そしてそこには花岡隊長の亡骸もありましたが、奈落で救った隊長の魂が宿ったのか、奇跡的に息を吹き返しました。
すべてを覚えているのか翔平に礼を言う花岡隊長。
翔平を助けることはあっても生き返ることはないと思っていたので、花岡隊長の復活は素直に嬉しかったです。

そしてエピローグ。12月22日に島に向かった翔平達でしたが、帰りは結局年を越して1月4日になってしまったようです。
萌やシズルたちが見送る中、島を後にする翔平達。本土に無事三人そろって帰ってくることができました。

そして還ってきてから三ヶ月後、2年に進級した翔平でしたが、相変わらず花岡隊長にこき使われながら心霊探偵部を続けている様子。これからも花岡隊長やかえで達と一緒なら翔平も元気にやっていけることでしょう。

感想

ということで大団円で終わった『ゆうやみ特攻隊』。
これでもかというくらい陰惨で凄惨な物語は、終わりよければすべて良しということでハッピーエンドでした。

巻末には作者のコメントが載っており、それによれば1998年には構想があったらしいこの作品。
大筋はその頃と変わっていないようでしたが連載するにはハードルが高かったらしく、当初はホラーギャグ作品『でろでろ』のストーリーモノという扱いで、連載がスタートしたようです。

そのため1巻はギャグの色合いが濃くなってしまい、2巻以降のシリアス路線への変更は色々不安があったそうです。
しかし結果的に7年半の連載期間を経て遂に作品は完結。押切作品初の長編は大成功で終わりました。
人を選ぶ作品だとは思いますが、単にグロい描写だけではないしっかりとしたテーマに基づいていますので、完結した後も多くの人に読んでほしい作品ですね。

余談ですがアニメ化が決まっている『ハイスコアガール』が例の著作権問題で休載に追い込まれてしまいました。
ここ最近押切先生の作品が次々連載終了しておりますので少々不安です。まだまだ押切ワールドを楽しみたい多くのファンのためにも頑張っていただきたいですね。