33年越しに描かれる前日譚。マンガ版『機動戦士ガンダム ポケットの中の戦争』第1巻

玉越博幸(著)『機動戦士ガンダムポケットの中の戦争』第1巻の表紙
引用:玉越博幸(著)『機動戦士ガンダムポケットの中の戦争』第1巻 表紙 KADOKAWA 2022年2月発行より

1989年に発売されたガンダムシリーズ初のOVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』。33年経った今でも人気の高い作品ですが、2022年2月にその前日譚からポケ戦をを描いたマンガ版の1巻が発売されましたので紹介します。

名作ポケ戦を現代でコミカライズするということで、期待値がかなり高いです。

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玉越博幸(著)『機動戦士ガンダム ポケットの中の戦争』 第1巻

本作は『ポケットの中の戦争』の単なるコミカライズではなく、OVA本編の約1か月前からのポケ戦を連邦軍のG-Ⅳ計画開発小隊所属ユウキ・ニシオカ中尉の目を通して描いた作品とのこと。

第1巻ではプロローグ3話と本編1話~2話までを収録。表紙はG-Ⅳとそのシューフィッター(機付長)であるクリスチーナ・マッケンジー少尉。

G-Ⅳ計画のMSアレックス

引用:玉越博幸(著)『機動戦士ガンダムポケットの中の戦争』第1巻 表紙 KADOKAWA 2022年2月発行より

作者の玉越博幸先生は代表作が『BOYS BE・・・』なのでラブストーリーのイメージでしたが、そこからハードな世界観のガンダムを描くとはまったく予想外でした。ただ、個人的にガンダム作品で気になっているメカ描写は本編中も表紙のようにクオリティが高いので安心して読めました。

帯にはアレックスのカラーイラスト。中にはカラーイラストでほぼ全身が拝めます。

0080の物語を描くコミカライズ

引用:玉越博幸(著)『機動戦士ガンダムポケットの中の戦争』第1巻 表紙 KADOKAWA 2022年2月発行より

サイクロプス隊の活躍

プロローグである3話分では、マ・クベの秘密鉱山で帳簿管理を任されていたジオンのゴードン主計少佐が捕虜となって捕まっていた連邦軍の基地を、ジオン軍の突撃機動軍所属サイクロプス隊が急襲し助け出すまでが描かれます。

オリキャラであるゴードンはマ・クベの秘密鉱山の場所を知る関係者の一人ということで、ジオン軍が戦争を継続させるためにぜひとも欲しい情報を持っているためにサイクロプス隊が救出にきたようです。

サイクロプス隊の隊長であるシュタイナーが連邦軍に成りすまして基地に単独潜入。ゴードンを直接救出し、それを回収するために連邦の基地をほかのメンバーが急襲します。

ジオン公国軍突撃機動軍所属・サイクロプス隊隊長シュタイナーの登場

引用:同書18ページより

見どころはやはりサイクロプス隊の活躍。OVA本編では1話冒頭こそ戦闘シーンがありましたが、それ以降はストーリー的に目立った活躍はなく終盤ではバーニィ以外は全滅してしまいます。いっぽうの本作ではシュタイナーのベテラン軍人らしい余裕と実力を兼ね備えた活躍を見ることができますし、ガルシアやアンディ、ミーシャといった他の隊員の面々もMSに乗って数で勝る連邦軍を圧倒。実力の差を見せつけてくれます。

連邦を圧倒するサイクロプス隊

引用:同書56ページより

特にシュタイナーは任務に忠実なだけでなくゴードンの無茶な要求にも気持ちを汲み取ってくれ、それでいて任務を完璧にこなしてくれます。ガルシアなど他の隊員たちも隊長への信頼がしっかりしている描写もあるので、サイクロプス隊が好きなファンはこの部分だけでも本作を購入する価値があるかと思います。

G-Ⅳ計画のテスト機・アレックス登場

連邦のモンタナ基地では【G-Ⅳ計画】の性能テストの準備が進められており、第1話ではその実験機であるNT-1アレックスとクリス、お供の教導隊が基地にやってくるところから始まります。基地ではすでにテストパイロットとしてガンタンクやジムコマンドが訓練していましたが、アレックスが来たことで性能テストが本格的にスタートします。

いろいろなキャラクターが登場しますが、本作の主人公になるかと思われるユウキ・ニシオカ中尉(1巻時点では少尉)はこれといって特徴のないデザイン。性格もまわりのキャラのほうがよっぽどキャラ立ちしているので余計印象が薄いです(作者の狙いかもしれませんが)。これからクリスやアレックスにどのくらい絡んでくるのかに期待です。

地球連邦軍北米方面軍G-Ⅳ計画開発小隊所属ユウキ・ニシオカ少尉の登場

引用:同書144ページより

また、この時点で本作がOVA本編の1か月前であることと、アレックスがザクと相打ちになるところまで明示されております。思ったよりOVA本編に近いのですが、この描写ですと最後まで描いてくれそうですね。

いっぽうヒロインのクリスですが、美樹本テイストがしっかりとありながらちゃんと可愛くて好きです。

クリスチーナ・マッケンジー少尉の初登場

引用:同書131ページより

しかし、他の登場人物たちと顔のテイストが違いすぎて、いささか浮いているように見えるのがちょっと残念。この後はアルやバーニィも出るでしょうから(1巻でも1コマだけ登場していますが)、そちらも出てくれば違和感も減るかなと思います。

ほかには粋がるテストパイロットのチャック少尉や基地唯一のゴリラマドンナ、教導隊の面々など主要な人物たちの顔見世があります。テストのための模擬戦が始まったところで1巻は終わりですので、まだまだ各キャラがどんな人物かは不明ですが、本作のオリキャラたちですので先のわからない楽しさがあっていいですね。

MSの描写について

個人的にガンダムのマンガではMSの描写を気にしていますが、本作はかなり頑張っている印象です。これについては『機動戦士ガンダム サンダーボルト』を連載している太田垣康男先生が最高峰だと思っているのですが、それと比べても本作はけっして見劣りしないと思います。

序盤のサイクロプス隊のゴッグ・ズゴックも細かいディティールまでしっかり描いてますし、肝心のアレックスもスケール感があって見開きは見ごたえありました(形状が異なる部分があるのはまだテスト段階だからかな?)。

立ち上がるNT-1アレックス

引用:同書126ページより

特に屋根を突き破って地面に転がるアレックスは本当に細かく描かれており、また重量も感じられて最高でした。

ジムコマンドとはケタが違うアレックスのパワーに翻弄される

引用:同書155ページより

現代の作画でアレックスが楽しめるとは思ってもいなかったので、今後の戦闘シーンが楽しみです。

まとめ

以上、『機動戦士ガンダム ポケットの中の戦争』 第1巻の感想でした。

コミックスが出ることを最近まで知らなかったのですが、今いくつか読んでいるガンダムのマンガシリーズの中でもかなり先が楽しみな作品だと感じました。

個人的にはユウキとクリスの交流や、OVA本編に入ったときに本編をそのままマンガ化するのか、それともオリジナルの視点になるのかも気になります。あと、OVA終了後にクリスがどうなったのかが既存の媒体だと断片的にしか描かれていませんから、そのあたりの描写も気になります(ユウキの回想で【元】連邦軍となっているのでクリスも一緒なのかなど)。でも、一番気になるのはやっぱりバーニィの結末でしょうか。OVA版か小説版のどちらをベースとするかで結末が大きく分かれそうです。

なんにしても33年も経った作品をマンガにするわけですから見たいシーンはたくさんありますので、しっかり作品を追いかけていきたいです。

なお、第2巻は早くも3月26日に発売予定とのこと。忘れずに予約しておきます。