『ゴールデンカムイ』第22巻 魂が抜けるまで戦う!杉元とアシㇼパ、それぞれの決意!!

引用:野田サトル(著)『ゴールデンカムイ』 第22巻 表紙 2020年6月 集英社発行より

大人気和風闇鍋ウエスタンの『ゴールデンカムイ』第22巻を買ってきましたのでレビューしたいと思います。

第七師団と対峙する杉元の大立ち回りや、アシㇼパの密かな決意。長かった【樺太編】が終わり、帰還した北海道での新たなスタートなど、新しい展開が待っておりました。

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野田サトル(著)『ゴールデンカムイ』 第22巻

樺太での旅を終え、月島や鯉登少尉に伴われて第七師団にアシㇼパを引き渡そうとする杉元。しかし、杉元の想いやアシㇼパとの絆により、鶴見中尉と対峙すると同時に翻意。一転して第七師団の包囲から脱出することになります。

表紙はアシㇼパとレタㇻ。しばらく登場のないレタㇻですが、家族を作って平和に暮らしているんでしょうか。

野田サトル(著)『ゴールデンカムイ』 第22巻 表紙

引用:野田サトル(著)『ゴールデンカムイ』 第22巻 表紙 2020年6月 集英社発行より

第七師団vs杉元佐一

アシㇼパを鶴見中尉に引き渡す直前に逃げ出した杉元たち。しかし、大勢の第七師団に追われて逃げるのは容易ではありません。宇佐美や月島など、難敵が逃げる杉元たちを追い立てます。

そして杉元は銃弾を受け、とうとう包囲されてしまいますが、迂闊に近寄ってきた鯉登少尉にナイフを突き立て、周りの第七師団をなぎ倒してまたしても逃走します。

第七師団との激闘

引用:同書18-19ページより

この時の杉元は、背中にはアシㇼパをおぶりながら銃弾を何発も受け、さらに銃剣で刺されながらこの動きをしています(背中のアシㇼパがちょっと可愛い)。

第七師団と杉元の激闘

引用:同書20-21ページより

歴戦の兵士である第七師団に囲まれながら、この激闘ぶり。白石が言っていますが、ホント杉元はどうやったら死ぬのか逆に知りたくなります。

それにしても、警告はしたとはいえ、敵同士でありながらともに死線を潜り抜けた月島が杉元を撃つとはちょっと予想外でした。本人はまるで鶴見中尉に呪われているような感じですが、もう月島本人の意思では鶴見中尉から離れることはできなさそうですね。

その意味では杉元も同じで、アシㇼパのためとはいえ鯉登にナイフを突き立てています。鯉登自身は刺されたショック?で動きがかなり鈍っていましたので杉元もトドメを刺すという意思はなかった(そんな状況でもありませんでしたが)ようですが、樺太編では鯉登と長く一緒にいた描写が多かったですから、ちょっとビビりました。

樺太からの脱出

杉元のおかげで第七師団を振り切ったアシㇼパ。しかし、いくら杉元でも大けがをしていることに変わりはなく、満足に動けない杉元と一緒ではいずれは捕まってしまいそうです。そこに「頭巾ちゃん」となったヴァシリが馬に乗ってやってきます。言葉はわからないハズなのになぜか意思疎通しているヴァシリですが、どうやら杉元たちを助ける意思があるようです。

ヴァシリの狙いは尾形ですから金塊は関係なさそうですけれど、その真意を確かめることもできませんから、よく杉元たちがヴァシリを近くに置いているなと不思議に思います。

それはともかく、ヴァシリのおかげで馬が手に入ったアシㇼパと杉元。そこへ白石と谷垣も合流しますが、馬に乗るのは人数オーバーなのと、インカㇻマッが鶴見中尉たちのところにいることから、谷垣には来るなというアシㇼパ。どうやらここで谷垣とはお別れのようですが、出たり入ったり忙しい谷垣です。でも、杉元たちの仲間の中では戦闘能力の高い谷垣ですから、どこかで仲間を作って、また、杉元たちと合流してくれそうです。

そして、アシㇼパたちが向かったのは北海道への連絡船。これに乗って樺太を脱出しようというのです。うまく乗り込んだアシㇼパたちでしたが、第七師団の連中には見つかってしまいます。

しかし、追手を振り切り、連絡船は無事に出航。絶望的かと思われた第七師団の包囲を潜り抜け、みごと樺太を脱出することに成功したのです。

樺太を脱出した杉元やアシリパたち

引用:同書38ページより

流氷の上の逃走劇

さて、連絡船に乗れれば3時間ほどで北海道に着くということでホッするアシㇼパたち。しかし、鶴見中尉は雷型駆逐艦で追撃してきます。連絡船と軍艦では速度も装備も相手にならず焦るアシㇼパたちでしたが、アシㇼパの機転で、なんと白い布をかぶって下船。流氷の上を歩いて脱出してしまいます。

流氷の上を歩いて北海道まで行く杉元やアシリパ・白石たち

引用:同書56ページより

白い布をかぶれば確かにわかりずらいですが、遮蔽物が無いのですぐ見つかってしまうのでは・・・。と思ったら、スナイパーのヴァシリがいるために、仮に杉元たちを見つけて近づいても逆に狙撃されてしまうと鶴見中尉は考えます。

尾形がいればヴァシリ相手に戦えますが、現状の第七師団ではヴァシリに勝てるスナイパーはいないでしょう。これにより鶴見中尉は仕方なくアシㇼパ追撃を諦めます。それにしても、偶然くっついてきたわりにヴァシリのおかげで第七師団から逃げ切れるとは。

お茶目なヴァシリ?

そのヴァシリですが、喋れないし喋っても外国語なので言葉がわかりません。しかも以前は敵だったのですから、得体の知れない存在です。と思ったら意外と?お茶目らしい性格のヴァシリ。

例えば今回、流氷の上を歩いているときに、いつの間にか後ろをつけてきたホッキョクグマにアシㇼパたちは襲われます。キレイな毛皮だったので仕留めて売ればかなりの大金になることがわかったため、なんとか傷をつけないように倒そうとします。

が、ヴァシリが話しを聞かず、すぐに銃で仕留めようとします。何度杉元が止めても繰り返すヴァシリに、思わず笑ってしまいました。

ヴァシリと杉元のコント

引用:同書85ページより

が、これは本人はまったく意味がわかっていないのか、それともわざとなのか判断できません。さすがに言葉が分かっているわけではないと思いますけど、この得体の知れなさはある意味尾形に通じるものがありますね。

今後もヴァシリは尾形がらみで杉元たちに付きまとうでしょうから、白石と同じようにトラブルメーカーになっていきそうな予感がします。

なお、このホッキョクグマは杉元が嫌な連中を思い出して肛門に銃を突き立て、見事一撃で倒します。支遁先生にはあの杉元も一目置いていましたから、彼をリスペクトしたかったのかな?

しとん先生と親分のマネをする杉元

引用:同書91ページより

そういえばココで久々に登場した姉畑支遁先生は、9月に発売されるDVD付きコミックス23巻でアニメデビューされるそうです。親分と姫のエピソード同様、あの狂気がどこまでアニメ化しているのか注目ですね。

魂が抜けるまで一人で戦って傷つく

流氷を歩く道中、アシㇼパに死んだキロランケと最後にどんな言葉を交わしたのかを訪ねる杉元。ひょっとして暗号の解読方法がわかったの?と問う杉元に、アシㇼパはうんと頷きます。ここで詳細を訪ねようとする杉元ですが、すぐに“アシㇼパがその時になったら教えてくれ”と言いなおします。

それを聞いて一つの決意をするアシㇼパ。杉元はきっと暗号の解読方法がわかったら、アシㇼパを危険にさらすまいと一人で金塊を探しにいくだろう。それは今までの杉元を見ていればわかります。

魂が抜けるまで、死ぬまで戦う覚悟の杉元佐一

引用:同書75ページより

まさに魂が抜けるまで戦う覚悟の杉元。

だからアシㇼパはあえて解読方法を教えない。そうすれば杉元はアシㇼパのもとを離れないし、それならアシㇼパは彼の弾除け・盾になって守ることができると考えるのです。

杉元の盾となり、彼を守る決意をするアシリパ

引用:同書76ページより

そしていざとなれば、杉元と一緒に地獄に落ちる覚悟というアシㇼパ。ここでのアシㇼパの覚悟にはグッと来ました。樺太での旅を終え、暗号解読だけでなく、成長した彼女を見れた気がします。

アシリパの決意。杉元とともに地獄へ落ちる

引用:同書77ページより

身体は小さくても意志の強さはこれまで散々描写されていますから、そのアシㇼパがここまで覚悟を決めているということは「その時」が来ても迷わないということでしょう。杉元がアシㇼパの本心を知ったときどう反応するのかわかりませんが、ストーリー的にも「その時」はもっとも過酷な状況で訪れそうです。

復活の尾形

さて、治療中に脱走した尾形ですが、アシㇼパたちが脱出した樺太で、第七師団の死体から軍服や装備を盗んでいました。

尾形百之助の復活

引用:同書72ページより

ついでにアシㇼパたちが先ほどまで乗っていた連絡船に、負傷した帰還兵だと嘘をついて乗り込み、こちらも北海道を目指します。19巻でケガをしてから復活まで時間がかかりましたが、ここで身体的にも装備的にもほぼ完全復活した模様。あとは片目で狙撃ができるかの問題はありますが、ここまでスナイパーだった尾形ですから今更これが変わることはないでしょう。

ヴァシリとの因縁や宿敵である杉元との闘いがまたみられると思うと、いまからワクワクしますね。ただ、次回の戦いではそろそろ決着をつけてもらいたいと思います。

感想

長かった樺太編が終わり、新しい展開に入ったと思われる『ゴールデンカムイ』。相変わらずパーティーメンバーの入れ替えが激しいですが、長く味方だった月島や鯉登少尉が再び敵となったのは(両者とも魅力的なキャラだけに)寂しさと今後の楽しさが一緒になった複雑な気持ちです。

また、尾形の復活やヴァシリの加入など、これからの展開を期待させるキャラクターが舞台に登場したことで、ますます混沌とした物語が期待できそうです。

正直、14巻の網走監獄編が物語の【第一部完】といっても良いくらい素晴らしいデキだったので、15巻から始まった樺太編はあまり魅力を感じていませんでした。樺太編はアシㇼパの父・ウイルクの足跡をたどりつつ、刺青人皮の暗号解読方法をアシㇼパが知るという物語でしたが、読者にその暗号解読方法を開示させないために目的がイマイチわからず、物語的にもカタルシスを感じられませんでした。

しかし、鶴見中尉の過去やキロランケ死亡あたりからまた面白さが復活しだしてきましたし、今回の樺太編完結で敵味方のシャッフルがあって、また面白さが戻ってきたかなという印象です。

アニメ3期も2020年10月から始まりますし、物語の終盤へ向けてこのままの面白さが続いてくれることを願っております。