『はたらく魔王さま!』 のマンガ版コミックス最新刊の第7巻が発売されたので買ってきました。今回は謎めいた存在だったアラス・ラムスの正体が明かされます。
柊暁生(著)『はたらく魔王さま!』 第7巻
第7巻では第32~37話までを収録しております。表紙はアラス・ラムスと勇者エミリア。そして寂しそうな表情の真奥。真奥の表情の理由については本編を読めばわかります。
カバー裏にはいつものように表紙の別バージョンが。中表紙のカラーは遊園地で遊ぶ真奥、恵美、アラス・ラムスの三人。
アラス・ラムスの正体
6巻で突如魔王のもとへやってきた赤ん坊アラス・ラムス。真奥を”パパ”と呼ぶ謎の赤ちゃんですが、その秘密が明らかに・・・
昔、真奥がまだ子供だったころ彼の一族は弱小だったため滅ぼされかけたことがあるらしく、彼自身も殺されかけたことがあるらしい。中々ショッキングな話しです。
そんな時、死にかけだった彼をとある天使が救います。真奥はその天使から傷の手当をされただけでなく、世界のことや文字など基礎的な知識も得たようです。
そしてその天使がいなくなったあと、残された三日月の種を植えて育ったのが”アラス・ラムスとのこと。そういう意味では間違いなく真奥はアラス・ラムスの父親ということになるようです。
そのアラス・ラムスはどうやら”イェソドの化身”らしい。天界に存在する”セフィロトの樹”。世界の形を作っているともいえるこの樹の重要な10個の要素の一つがイェソドということで、イェソドが欠けると世界のバランスが崩れることにもなるようです(もっとも鈴乃の話しではそれも想像の域を出ないようですが)。
いなくなったイェソドを探すため、その守護天使たる大天使ガブリエルが血なまこになってその行方を探しているというのもうなずける話しです。
その大天使ガブリエルが真奥たちのアパートにやってきます。
この軽そうな男が漆原と同じ大天使とはとても思えませんが、実力的には全盛期の魔王でも勝てないほどの力をもっているとのこと。そんな彼の目的はもちろんアラス・ラムスなのですが、当のアラス・ラムスがガブリエルを相当嫌っているらしくこれを拒否したため一触即発の状態に・・・
その後、千穂のおかげでこれも回避できますが、期限が一日伸びただけで状況は悪いままです。
それにしてもルシフェルといいサリエルといい、大天使は性格的にはあまり人から好まれるタイプではないようです。たまには聖人のような大天使にお目にかかりたいものです。
家族3人川の字になって寝る
ガブリエルが再度やってくるまでに、万が一のことを考えてエミリアと一夜をともにすることにした真奥。
こうして書くと誤解をまねきそうですが、ようするにアラス・ラムスと一緒に親子?3人で水入らずの時間を過ごすことで、少しでもアラス・ラムスに思い出を作ってもらおうということのようです。
真奥はずいぶん子煩悩のようですが、恵美よりもよっぽど気が効きますし、もし本当に結婚したら良い旦那になりそうですね。
無邪気なアラス・ラムスと新婚のようなエミリアと真奥ですが、ここでエミリアは真奥がなぜエンテ・イスラに侵攻したのか真奥に確認します。
同じころ隣の鈴乃の部屋でも芦屋が同じことを尋ねられておりましたが、はぐらかしたような答えをする二人。単純に世界を手に入れたかったということではなく、なにか別な目的も会ったんでしょうか?
早朝の襲来
なんだかんだ寝てしまったエミリアですが、朝5時に目を覚ますとそこにはガブリエルが・・・
いきなり来ていてビックリしましたが、どうやらかなり早くからこの部屋にいたそうです。それでも手を出さなかったのは、ある意味義理堅いからでしょうか。
そこでガブリエルが自身の目的を話しますが、彼はアラス・ラムスか聖剣のどちらかを手に入れればいいらしい。なぜなら自分の管理していたイェソドが何者かに盗まれた後欠片にされ、それを埋め込んだのが進化聖剣・片翼(ベターハーフ)であり、アラス・ラムスもその欠片から生まれたものなので元は一つの同じものだからのようです。
逆に言えばどちらかを手に入れなければ帰るつもりがないということで、最後通牒をつきつけられた真奥は自分の命と引き換えにアラス・ラムスを連れて行かないようガブリエルに懇願しますが彼にその気はないらしい。そこで真奥は”古の大魔王サタン”の伝説を知っているといいうのですが、コレを聞いて今までの態度を一変させるガブリエル。いきなり真奥を殺そうとしてきます。
”古の大魔王サタン”の伝説というのが何を指しているのかわかりませんが、どうやら天界にとってかなり都合が悪いことのようです。エミリアの様子を見てもあまり反応していませんので、彼女も知らないことのように思えます(そもそもエミリアはあまり学が無いような描写になっていますし)。
真奥が殺されそうになっているのを見てエミリアも抵抗しますが、ガブリエルには歯が立ちません。
そんな時、突如アラス・ラムスが覚醒。立ち上がってガブリエルに体当たりして彼を吹き飛ばしてしまいます。
聖剣の進化
空中でガブリエルを圧倒するアラス・ラムス。戦いが得意でないのと女・子供に暴力を振るいたくない彼は一方的にやられますがさすがにこのまま引き下がる気はないようで、何でも斬れるという剣デュランダルを出して抵抗します。
アラス・ラムスも警戒するこの剣にはエミリアも勝てないらしく手こずりますが、アラス・ラムスが聖剣と一体化してパワーアップさせ形成は一気に逆転。デュランダルを折ってしまいました。
これはエミリア自身がパワーアップしたということでよいのかな?それとも聖剣自体がパワーアップしたのか、どっちなのかよくわかりません。
簡単には引き下がれないガブリエルもデュランダルを折られては勝ち目が薄いと思ったのか撤退。当面の危機は去ったようです。
魔王、大切なものを失う気持ちを知る
ガブリエルは去ったものの(聖剣と一体化したことで)アラス・ラムスが消えてしまったと勘違いした真奥は意気消沈。バイトにもまったく熱が入らなくなってしまいました。わりと冷めているというか現実的なところがある真奥がこんな抜け殻のようになるとは実に意外でした。
どうやらアラス・ラムスは自分と同じイェソドの欠片を使った聖剣と融合してしまったようで、このお陰で聖剣はガブリエルのデュランダルを折るほどのパワーアップをしたそうなのです。
しかし逆にいえば聖剣とアラス・ラムスを分けることもできなくなったというわけで、真奥とアラス・ラムスを一緒に居させるということは聖剣を手放すことと同義になってしまい、エミリアとしては悩みのタネになってしまいました。
オマケに真奥をパパと慕うアラス・ラムスですから、聖剣で真奥を殺そうとしようものならどんな事態になるか想像もつきません。
かくして壮絶なジレンマを抱えることになってしまったエミリア。物語的にエミリアが本当に真奥を討伐するとは思えませんが、彼女の葛藤が今後楽しみでもありますね。
そして真奥の元へ行くエミリア。落ち込む真奥を見て”大切なものを失う気持ち”が少しは理解できたと考えたエミリアは、真奥にアラス・ラムスを再会させるのでした。
まるでヒロインのような表情をする真奥。この巻の中では最も良い表情ですね。
感想
『はたらく魔王さま!』もついに第7巻ですが、アラス・ラムス編も一段落といったところでしょうか?
作者のあとがきによれば、まだこの先もコミックスは出るそうなのでわりと売上もいいんじゃないでしょうか。ファンとしてはホッとしております。
原作を読んでいないのでこの先の展開はわかりませんが、今後はアラス・ラムスを巡って天界の天使たちといざこざがありそうですし、うまく話しが広がっている感じなので先が楽しみです。
楽しみといえばアニメ2期の発表はまだですかね?円盤の売上は申し分ないんでしょうけど、原作が思った以上に伸びなかったので2期をやるつもりがないのでしょうか。