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『機動戦士ガンダム アグレッサー』第17巻 感想 コロニーの中と外で繰り広げられる命を賭けた戦い

機動戦士ガンダム アグレッサー コミックス17巻の表紙

マンガ版のガンダムで『サンダーボルト』と一緒に発売日に必ず購入している『機動戦士ガンダム アグレッサー』のコミックス最新刊を買ってきたたので簡単に感想を。

目次

万乗大智 (著) 『機動戦士ガンダム アグレッサー』 17巻

2014年から始まったアグレッサーも連載開始からはや9年目。今見たらブログで1巻の感想記事書いたのが2015年の3月でしたので、自分が読み始めてからも8年経ってますね。

多くのガンダム系マンガが発売されている現状の中では長期連載作品に入ってきてますね。17巻では第83話~88話までを収録。3つの戦いがほぼ同時進行で描かれてます。

MS対人、雪原の攻防--!!

宇宙世紀0079―――一年戦争のさなか、地球連邦に実在していた部隊「アグレッサー」!
それはジオン公国から連邦へと寝返った元ジオン兵で組織された「裏切り」の部隊!

補給と補修を求めていた第23独立艦隊は、ザンクトバッハ・コロニーへ招待される。
だが、それはジオン特務部隊の罠だった!

奇襲を受け逃げ道を遮断されたチェイスら。サノ中尉を逃がす為、無謀な作戦を思いつく。
改良されたMSドラケンに追われ雪原で対峙するノイスに次の一手は…!?

引用元:https://csbs.shogakukan.co.jp/book?comic_id=62731

表紙に描かれているのは主人公機ではなく、なんとドラケン(の本作用カスタマイズ機)。自分は知らなかったのですが、ポケ戦に登場した作業用のミドルサイズMSとのこと。

機動戦士ガンダム アグレッサー コミックス17巻の表紙
引用元:万乗大智(著)『機動戦士ガンダム アグレッサー』第17巻 2023年3月 小学館発行より

ちなみに表紙や作中のドラケンの参考資料はプラモのオマケだったとのことで、こんな小さい立体物からデザインして作画しているんですから万乗先生はスゴイですね。

ちなみに元になったドラケンが付属していたジムスナイパーのプラモは、おそらく2012年に発売された「HGUC 1/144 ジム・スナイパーII」かと。こちらには足が付いてます。

引用元:https://bandai-hobby.net/images/155_830_s_g4tl1yy4u0aj65g4b9rjj2kup6c9.jpg

雪上の戦い

籠城しているチェイスを外からスナイパーライフルで援護するダイアン・ノイス。それを排除しようとジオンの特務部隊が雪上仕様にカスタマイズしたドラケンでノイスを排除しようと動き出します。

生身でカスタマイズされたドラケンを駆るジオンの特務隊と対峙しるダイアン・ノイス
引用元:万乗大智(著)『機動戦士ガンダム アグレッサー』第17巻 2023年3月 小学館発行より

ドラケンがいくら小さいとはいえMS、それも装備がおぼつかない雪上という悪条件ではノイスであっても勝ち目は無いのが普通ですが、チェイスの立てた作戦により2重・3重に攻撃を仕掛け追い込んでいきます。しかし、ドラケン側も即座に対応するなどさすが特務部隊ですね。

それでも最後はノイスの作戦勝ち。もちろんチェイスの作戦あっての戦績ですが、個人的にノイスがニュータイプ的な能力というより、純粋な作戦と身体機能でドラケンに勝ったというのがうまい展開だなと感じました。

薄氷の脱出劇

続いては建物に籠城しているチェイスの戦闘。こちらはノイスよりもさらにキツい状況になってますけど、ガンドと協力して脱出の機会を伺います。

サノ中尉をなんとか逃がすために相変わらず自分(とガント)が敵を引きつけ、その間にサノ中尉たちに脱出してもらう作戦を立てるチェイス。現場的にこの作戦は当然ではあるんですけど、別れ際のサノ中尉との会話がなんだか切ない(あと、チェイスだけでなくガントの無事も約束させるサノ中尉は優しい)。この会話はなんかのフラグ出ないことを祈ってます。

生きて帰ることをチェイスに約束させるサノ中尉
引用元:万乗大智(著)『機動戦士ガンダム アグレッサー』第17巻 2023年3月 小学館発行より

とはいえ大量の敵に囲まれ、監視カメラなどで位置や行動まで知られた状態で戦わなくてはいけない状況(しかも相手もプロ中のプロ)で、どうやって逃げるの?と思っていましたが、チェイスの熟練相手の思考を読む力で、ギリギリではありますが敵を排除していきます。まさに薄氷を踏むかのような戦いです。どんなに命の危機があっても生還する異能生存体みたいなチェイスですけど、ここの白兵戦ではそれが極まってますね。相手の思考を読むのも鋭すぎて、ニュータイプとは違った怖さがあります。

そんなチェイスを見てリヒターが、“チェイスの行動にはすべて理由がある”と言うところまでは良かったんですが、では何を考えているのか?と聞かれて“何を考えてようがかまうものか”はマズいでしょうw いままさにそのチェイスに部下たちが大勢殺されているんだからもうちょっと考えようよ、と思わずツッコんでしまいましたw

とにかく敵を減らして何とかサノ中尉が脱出を始め、あとは安全圏に入るまでの時間稼ぎというところで、突然大きな振動が・・・。

最悪のなかでも最善策を

チェイスたちがコロニー内で奮戦しているころ、外の宇宙ではサイラス少佐率いるムサイ3隻とリック・ドム6機がマゼランに迫ります。こちらの約3倍という戦力差は、普通に戦ったらとても勝ち目がありません。

そこでチェイス直伝の連携攻撃により、あえてマゼランの護衛をすべて敵MS戦力に向け、マゼランはムサイ3隻を単独で相手することに。まさに最悪の中での最善策というわけですが、ジェンマ艦長がこの提案をすんなり飲んだのが、だんだんチェイスの無謀さが伝染しているようで楽しい。でも、この人、自分の技量が低いことをちゃんと客観視してて、命のかかるこの状況でサノ中尉やチェイスを信頼しているところが好人物ですね。しかも勝つためとはいえ護衛を引き剥がしてのムサイ3隻との艦隊戦を挑むわけですから肝も据わってます。本人は指揮能力ないと言ってますが、冷静な分析と判断能力こそが指揮官にふさわしい条件ですよね。

ジェンマ少佐がだんだんかっこよくなってきた
引用元:万乗大智(著)『機動戦士ガンダム アグレッサー』第17巻 2023年3月 小学館発行より

そして戦闘開始。リック・ドムに向かう行き掛けの駄賃といわんばかりにムサイ艦隊を狙ったレッド・ライダーとジムの2連撃はムサイにぎりぎりで回避され、リック・ドム6機に袋だたきにされるところをボールとの連携攻撃で逆に撃破するなど、攻防が激しく入れ替わる激戦に・・・。一方のマゼランもムサイとの艦隊戦に入り、コロニーをうまく盾にするなど(後で問題にならないのかな?)、両者持てる力をフルに使っての戦闘は非常に見所ありました。この緊迫した状況でいったい誰が生き残れるのか、というところで次巻に続きます。

まとめ

アグレッサーが面白いところはMS戦だけでなく、人間同士の白兵戦やすぐにMSに落とされたりしない派手な艦隊戦なんですが、この17巻にはそれらがすべて詰まっているので非常にお得でした。しかも、それらすべての戦闘にチェイスの戦術や考え方が入っているというのが面白い。レッド・ライダーはクルーガーに取られているチェイスですが、ちゃんと主人公やってます。

でも、チェイスの心理状態はどんななのか。生き残る執念は凄まじいものがありますが、一方で殺せるものなら殺してみろという無謀な戦い方もしているわけで、なんだか2重人格者みたいです。あるいはこの戦争を生き残っても最後は自殺してしまうのでは、とも思ってしまう。死の匂いがこれほど強くつきまとっているガンダムの主人公は他にいないでしょうね。なんとか最後は幸せになってもらいたい。

その他、ガンド少尉やカチュア、クルーガーなどのキャラも少しずつ馴染んできて、これからのチェイスとの絡みが楽しみですね。だから死なないでほしいんですけど、この作品容赦が無いので次巻発売までドキドキしてます。

そういえばエルザやリム・バーゲンホルムの二人はほぼ出番ありませんでしたね。あの二人も良いキャラなんで、次巻での登場に期待したいです。それからストーリー的にはトゥーム・ストーンが何なのか現段階ではまったく不明なんですが、一応物語の着地点になりそうなんで、こちらも楽しみです。

現在、大病を患っている万乗先生ですが、ぜひともアグレッサーを描ききってもらいたいです。そして、願わくばアニメで動くチェイスが観てみたい。これからも応援していきます。

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