『機動戦士ガンダム サンダーボルト』 第14巻 サイコザク・マークⅡ起動!しかし代償はあまりに大きかった

マンガ
引用:太田垣康男(著)『機動戦士ガンダム サンダーボルト』 第12巻 表紙 小学館 2019年9月発行

サンダーボルトの最新コミックス第14巻を買ってきましたので簡単にレビューします。9月には発売されていたのですが気が付かなくて購入が遅れました。12巻から13巻の発売が9か月近く空いていたのですが、今回は13巻からわずか4か月程度での発売でした。

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太田垣康男(著)『機動戦士ガンダム サンダーボルト』 第14巻

第14巻では、サイコザク復活をかけたタール火山基地の攻防についに決着がつきます。

14巻は第115~123話までを収録。表紙はおそらくガンダムのコミカライズ史上初ではないかと思われるザクタンク。

引用:太田垣康男(著)『機動戦士ガンダム サンダーボルト』 第12巻 表紙 小学館 2019年9月発行

ファンにはお馴染みのザクタンクですが、こうしてコミックスの表紙に単独で登場するのは非常にレアです。

なお、作者の太田垣康男先生は腱鞘炎の悪化のため13巻から作画が大幅に変わっておりますが、表紙のザクタンクや本編を見る限りかなり読みやすく、また要所要所では力の入った作画が戻っているような気がします。

蹂躙するガンダム

13巻で再び対決することになったイオとダリル。復活したサイコザクは装甲がついていない未完成なので今回のアトラスガンダムとの再戦はフェアではない部分もありますが(その分アトラスはセバスチャンやビリーとの連戦でしたけど)、それを感じさせないくらい序盤はアトラスを圧倒しました。

が、やはり未完成では本来の力が発揮できないのか、サイコザクは次第にアトラスに押され、ついにビームサーベルでトドメというところまでいってしまいます。

が、ここでクローディアが乱入。ザクタンクの砲撃でダリルのピンチを救うばかりか、アクシデントを起こして身動きが取れないアトラスに榴弾をぶちかまします。

イオとの過去を清算しようとするクローディア

引用:同書36ページ

まるで過去の因縁ごとガンダムとイオを倒してしまおうとするクローディア。正直彼女ががここまでイオを本気で消そうとするとは思っていなかったので意外でしたが、クローディアにとってイオは完全に忘れたい過去になってしまったようですね。

ザクタンクの砲撃を腕一本犠牲にして回避したアトラス。不意打ちで危ないところでしたが、その後はさすがにザクタンクごときでは相手にならないといった感じで優位に戦いを進め、ダリルを完成したサイコザクマークⅡに乗せようと奮闘する整備兵たちを無情にも蹂躙していきます。

ダリルを容赦なく追い詰めていくイオとアトラスガンダム

引用:同書50~51ページ

ガンダムシリーズで時々見られるビームサーベルで人間を焼くシーン。サンダーボルトではこうした残酷な描写が多くありますが、こうしてみるとMSの恐ろしさを改めて感じます。

そしてダリルにとってはサンダーボルト宙域からの戦友でもあるリビングデット師団の整備兵たちでしたが、ここでかなり脱落してしまったようです。それでもダリルをサイコザクに乗せようと命を懸ける整備兵たちとクローディア。そして、作品中もっとも悲劇的な展開を迎えてしまいます。

クローディア、散る

クローディアや整備兵たちの命を懸けた行動の甲斐あってサイコザクまでたどり着いたダリル。しかし、ここでアトラスが追い打ちをかけてきます。ザクタンクを盾にして必死でサイコザクを守るクローディア。

しかし、もはや武装もなくただ後ろに下がるのが精いっぱいで、ビームサーベルを突き出すアトラスになすすべがありません。そして、ビームサーベルがザクタンクへ届く直前、のぞいたコックピットからパイロットがクローディアであることにようやく気付くイオ。

しかし、加速したアトラスを止めることはできず、さらにサイコザクを起動させたダリルの機転もむなしく、ビームサーベルでクローディアをその手にかけてしまいました。

クローディアをその手にかけ唖然とするイオとダリル

引用:同書122~123ページ

クローディアと別れたあとも彼女を常に気にかけていたイオ。南洋同盟から彼女を取り戻そうとしていたイオでしたが、皮肉にも自分の手でクローディアの命を奪う結果となってしまいました。もっともクローディアのほうは上記の通りイオを消し去りたい過去としていたので、イオが来てもすんなり彼の元へはいかなかったでしょう。それでも紆余曲折を経てイオの元へ戻ると思っていたので、この結末は非常に意外でした。

クローディアが死んでしまい放心状態となるイオとダリル。イオはもちろんですけど、ダリルもまたクローディアと心を通わせていましたから、ここまで彼を導いてきたクローディアを失うことは非常にショックだったようです。

宇宙へ上がるサイコザク

その頃、タール火山基地全体の戦況は連邦側の勝利がほぼ確定しており、戦艦スパルタンの損傷も軽微、沈黙しつつあるタール火山基地へ地上部隊を送ろうという段階でした。

が、ここでサイコザクを宇宙へ上げるためのシャトルが一斉に空へ飛び立っていきます。制空権はほぼ連邦側にありましたが、このままでは火山基地が落ちますから、南洋同盟側としては一刻も早くシャトルを出発させたかったのでしょう。

当然これを黙ってみているわけにはいかない連邦側。スパルタンがシャトルを全機撃ち落とすためにロックオンしますが、そこへ完成したサイコザクマークⅡが空から降り立つのでした。

連邦のスパルタンへ接近するサイコザクマークⅡ

引用:同書172ページ

スパルタンに取り付き主砲を踏みつけ、あっという間に副砲を潰すサイコザク。そしてサイコザクはスパルタンの艦橋へと向かってくるのでした。

ここら辺のサイコザクは以前のような緻密な作画に近い感じがして、かなり力が入っているなと感じました。このぐらいなら個人的には全然違和感なく読めますね。

堕ちるスパルタン

サイコザクに取り付かれたスパルタンは、ヒートホークを持っただけのサイコザクに主要武器をあっという間に潰されてしまいます。そして、艦橋を潰すため拳を構えるサイコザク。

この一連の動きを見ていたスパルタンのパイク艦長はもはやこれまでと覚悟を決め、スパルタンの全乗組員に向けて“サイコザクを倒せ”と最後の指令を出すのでした。

パイク艦長最後の指令

引用:同書187ページ

その直後、艦橋を叩き潰すサイコザク。おまけにトドメとばかりに念入りに艦橋を踏んづけて飛び立ち、そのままの勢いでスパルタンの機関部?を粉砕。一気にスパルタンを堕としてしまいました。

たった一機でスパルタンを堕としてしまったサイコザクマークⅡ

引用:同書196ページ

ダリルにしてみればここまで連邦側に一方的にやられており、セバスチャンやビリー(生死不明ですけど)、クローディアや整備兵たちと多くの戦友をスパルタンのせいで失いましたから、ようやく一矢報いたという感じでしょうか。

思えばサンダーボルト宙域での戦いでもサイコザクは電撃的に攻撃を仕掛けてきましたし、雑魚にかまわず頭を狙ったのもその時と同じです。サイコザクという並外れた性能を持つMSを操るダリルだからこそできる芸当といえるでしょう。

そしてシャトルは無事に全機宇宙へと上がった模様。南洋同盟側としては大きな犠牲を出しましたが、最終目的は達成したわけですから、今回のタール火山基地での戦闘は南洋同盟側の勝利でしょうね。

一方堕とされたスパルタン側は3割ほどの乗員が脱出できた模様。そこにはモニカ参謀やリリー、イースといったNTたちの姿もありました。しかし、それ以外はスパルタンと運命を共にして、そのままタール火山基地へと激突。結果、大爆発を起こして火山基地もろともスパルタンは墜落してしまいました。

タール火山基地へと墜落・激突する連邦のスパルタン

引用:同書222ページ

これを外から見ていたのが、基地から脱出したビアンカたち。まさかスパルタンが堕ちるとは思っていなかったでしょうから、この光景には唖然としてしまいました。ちなみにイオはクローディアを殺してしまったことで完全に戦意を失ってしまったため、ビアンカが代わりにアトラスを操縦して基地から脱出しました。

感想

ついにタール火山基地の戦いが終結した14巻。ですが、その内容はクローディアの死亡やパイク艦長たちスパルタンの撃墜など、ここまで読んできた読者には衝撃的な内容でした。

まさかメインキャラであるクローディアが死んでしまうとは本当に予想外でしたが、これでイオとダリルの因縁はますます深まったといえるでしょう。両者の最後の戦いの結末では、このクローディアの死が大きく関わってきそうで今後の展開が非常に気になります。

それにしても、膝を抱えて丸まりながら泣きじゃくるイオの姿はクローディアを失ったばかりかその手にかけたショックの大きさを物語っていますが、そのケツを叩きながらアトラスを操縦するビアンカがなんだかとてもカッコ良かったですね。ビアンカは作中でもかなり好きなキャラです。

引用:同書206ページ

クローディアが南洋同盟側についたと知った時のイオも、大いに荒れたうえで意気消沈。それを再起させたのがビアンカでしたけど、今回ばかりはさすがにイオを再起させるのは難しそうです。イオ再起のカギを握るのはイオやクローディアと同じ時間を過ごしたコーネリアスでしょうけど、彼はすでに南洋同盟のスパイでスパルタンを一度は降りようとしていましたからイオの再起に協力するかどうかは不透明です。

そもそもコーネリアスがイオを見限ったからこそスパルタンを降りようとしたのでしょうから、そこへクローディアまで手にかけたとあってはイオの再起に協力するとはどうしても思えませんね。スパルタンも堕ちてしまいましたし、これからどうやってダリルたちを追いかけ戦うのか楽しみです。

そういえば前回タール火山基地に向かったカウフマンたちはどうしたのでしょう。シャトルも打ちあがりましたし、残ったダリルたちと合流して基地を脱出するのを手伝うという感じでしょうか。割といろんなフラグを立てていたのでてっきり、と思っていたので今回出番がなかったのが意外でした。

ところでサイコザクですが、マークⅡになっても全体のシルエットはあまり変わった感じはありませんね。今回武装がヒートホークしかなかったので仕方なかったかもしれませんが、サンダーボルト宙域で登場したサイコザクはプロペラントタンクと武装をこれでもかと満載した特徴的なシルエットがカッコよかったので、その辺りも新しいサイコザクには期待したいです。

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