『幼女戦記』第8巻 覇権国家の誕生?世界大戦への秒読みが始まる!

東條チカ(著)『幼女戦記』第8巻 表紙

引用:東條チカ(著)『幼女戦記』第8巻 表紙 KADOKAWA 2018年2月発行

先日、劇場版の制作が決定した『幼女戦記』のコミックス第8巻が発売されたので買ってきました。
今回はレガドニア協商連合との戦いに決着。しかし、ホッとしたのもつかの間。帝国と周辺各国の思惑により、世界はいよいよ世界大戦の様相を呈してきました。以下で簡単にレビューしたいと思います。

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東條チカ(著)『幼女戦記』 第8巻

コミックス第8巻では第22話「ノルデンⅨ」と第23話「ノルデン沖の悪魔Ⅰ」、および第24話「ノルデン沖の悪魔Ⅱ」が収録されております。

前回、オースフィヨルド沿岸要塞を攻略するため、進軍する帝国軍の尖兵として出撃したターニャ・フォン・デグレチャフ少佐率いる第二〇三航空魔導大隊。
パラシュートによる非魔導降下で敵を油断させ、その後、一気に蹴散らす空挺奇襲作戦によりまずは先制攻撃に成功しました。

が、そこへ宿敵アンソン・スー大佐率いる航空魔導大隊が襲いかかります。果たしてターニャとアンソンの因縁に決着は着くのかが第8巻の見所です。

表紙は激しい戦闘によりボロボロのターニャ。本編の中では第7巻ラストでほぼ全裸でしたが、さすがにそれを表紙にはできなかったようです。

アンソンと戦い、ボロボロのターニャ

引用:同上

ターニャ vs アンソン

レガドニアの要所であるオースフィヨルド沿岸要塞を落とすため出撃したターニャたち第二〇三航空魔導大隊。今回のターニャは、艦隊の侵入を阻む沿岸要塞の砲台を、進軍してくる帝国北洋艦隊が到着するまでの30分間ですべて撃破しなければならないという、極めて難しい任務に就くことになりました。

最初の奇襲こそうまくいきましたが、そこへレガドニアのエース・アンソン大佐が立ちふさがります。
数のうえでは圧倒的に不利なターニャ。それだけでなく、ターニャを狙った大規模術式を受け、かなりのダメージを負ってしまいます。

それでも不利な状況を打開するため単身敵に突っ込んでいくターニャでしたが、さすがにアンソン大佐は強く、万全の状態ならまだしも手負いで勝てる相手ではありませんでした。

アンソン・スー大佐対ターニャ・デグレチャフ少佐

引用:同書 18ページ

得意のデコイによる戦術も破られ、まさに絶体絶命のピンチとなったターニャ。これで最後とトドメの一撃を加えようとアンソンが引き金を引くと、まさかの弾切れ。アンソンは千載一遇・唯一の勝利の瞬間を逃してしまいました。

その直後、援軍の海兵魔導連隊が到着し、九死に一生を得たターニャ。

戦闘経験と判断能力では間違いなくターニャに匹敵する能力の持ち主だったアンソン大佐ですが、最後は運に見放されターニャを仕留めきることができませんでした。

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英雄の凱旋

その後は北洋艦隊の海兵魔導連隊がターニャたちの援護に回ってアンソンたちを押し返し、その間に第二〇三航空魔導大隊の他の隊員が砲台を沈黙させ、本体である北洋艦隊が到着。あとは一気に要塞を陥落させ、奥地に侵攻を開始しました。

これにより、帝国軍北方方面軍と向き合っていたレガドニアの本土防衛主力軍団は、背後の沿岸要塞側から侵攻してきた帝国海兵師団との挟撃に遇い敗北。レガドニアの主力であり首都を防衛する要であった戦車師団と予備兵力も帝国軍北洋艦隊の艦砲射撃により壊滅させられてしまい、ターニャたちの奇襲作戦開始からわずか数十分間で、レガドニアは帝国軍と戦う力を全て失ってしまいました。

結果、レガドニア協商連合の敗戦は決定的となり、戦争は帝国軍の勝利となりました。
その立役者はもちろん、ターニャ率いる第二〇三航空魔導大隊。

レガドニアを破った立役者となったターニャ

引用:同書 48ページ

“ラインの悪魔”と恐れられた【白銀】は、名実ともに帝国の英雄となりました。

亡命政府の樹立

帝国との戦争に負けたレガドニアですが、黙って国が滅ぶのを待つわけにはいきません。
レガドニア協商連合のトップである十人評議会のメンバーを外国に亡命させ、そこで亡命政権を樹立し、いつの日か再びレガドニアが解放されることを目指すことにしたのです。

帝国を驚異とみる周辺諸国(フランソワ共和国やアルビオン連合王国)はこのレガドニアの申し出を条件付きながら受け入れました。

アルビオン連合王国の情報部ハーバーグラム少将

引用:同書 57ページ

当然知られれば帝国を敵に回すことにもなりますが、アルビオンは以前、義勇軍を装って兵を送っていますから今更です。しかし、正面きって帝国を敵に回すことは軍事力の差からも避けたいところ。

そうしたリスクを負ってまで亡命を受け入れようとするのは、さきに落とされたダキア公国で帝国による統治が進んでいるという事実があるからです。この上レガドニアも奪われてしまえば、帝国が大陸の覇権国家となりかねないという危機感がアルビオンにはありました。

結局、アルビオンはレガドニアのアーバンソール外務評議委員の亡命受け入れを決定。情報部の民間偽装船ライタールにて洋上でアーバンソールを”受け取り”、その後、海軍の潜水艦にて本国まで輸送する手筈となりました。

ついにちゃんとした美少女ヒロイン登場!!

一方そのころ、オースフィヨルドよりからくも逃げ延びたアンソン大佐は、妻と娘の元へ帰っておりました。ここで登場したのがアンソン大佐の娘であるメアリー・スー。

アンソンの娘でありターニャの宿敵・メアリー・スー登場

引用:同書 72ページ

コミックスの帯に”ついにちゃんとした美少女ヒロイン登場!!”とか書かれていて笑ってしまいました。まぁ、主役の幼女は悪魔じみた笑顔ばかりですからね。

幼女戦記に待望の美少女ヒロインが登場

『幼女戦記』第8巻のオビ

のちに神の祝福を受け、ターニャの宿敵となるらしいメアリーですが、この頃はまだ父を慕う普通の少女でした。アンソンが無事に戻ってきたことを喜び、うれしそうに父に抱きつきます。

この前後、メアリーはジョンおじさんと呼ばれる男と出会っております。ジョンと名乗ったこの男は実はアルビオンの情報部所属で、レガドニアの亡命の段取りに来ていたのでした。
偶然出会ったメアリーがアンソンの娘だとわかったジョンは、メアリーに新型短機関銃をプレゼントします。

その後、メアリーとアンソンの妻は戦火を逃れるため、船に乗って国外(合衆国)に脱出。その時、メアリーはこの短機関銃をアンソンへプレゼントします。これがのちにターニャとメアリーの因縁の道具になるわけで、なんだか感慨深いです。

そして、国に残ったアンソンはアーバンソール委員の亡命船舶護衛のため出撃することに・・・。これがアンソンたち家族の最後の別れになることをメアリーは知らず、アンソンは薄々感づいていたようです。

楽しみだな!!!

さて、『幼女戦記』ではスピンオフとして『幼女戦記食堂』というグルメ漫画が現在コンプエースで連載されておりますが、今回こちらのコミックス第8巻でもちょっとしたグルメ描写がありました。

レガドニアとの激戦を終え、中央へ帰還する途中に寄った保養地で、地元の名士たちと食事をするターニャ。そこでは、戦場ではけっして味わえない手の込んだ食事を楽しむことができました。

豪華な食事に舌鼓のターニャ

引用:同書 113ページ

笑顔がまぶしいターニャ。
作中でもあまり見られない純粋に楽しそうな笑顔ですね。しかし、このままグルメ漫画ばりの描写があるとはならず、結局、ルーデンドルフ少将の突然の招集命令によって邪魔されてしまうことに・・・。

さすがのターニャもおいしい食事を前にしての招集命令に頭を抱えてしまいます。そんなターニャの苦悩など思ってもみないルーデンドルフ。

ルーデンドルフ少将の勘違い

引用:同書 122ページ

むしろ、ターニャがこの招集命令を待ち望んでいたと勘違いしております。相変わらずターニャと周りの思惑は、合致しているようですれ違いっておりました。

感想

劇場版決定から待望のコミックス発売と、アニメは終了してもまだまだ元気な『幼女戦記』。
相変わらず作者の東條チカ先生の筆の速さには驚かされますが、はやくもコミックス9巻を飛び越え、コミックス10巻の発売が9月26日に決定しております。

『幼女戦記』のコミックス第10巻には海洋堂のフィギュア付き

コミックス10巻特装版にはフィギュアが付属

今回の特装版は海洋堂のフィギュア付きとのこと。彩色見本しだいでは突撃したいですね。
10巻が9月ということは、7~8月あたりに9巻が出るのでしょうか。こちらも楽しみです。

本編についてはアニメ7話あたりですが、アンソン大佐まわりのストーリー展開がアニメとは前後していますね。原作小説は読んでいないので細かいことは知りませんが、マンガ版が原作小説通りの順番でしょうか。
どちらも楽しめますが、アニメではアンソン大佐をラスボス的な位置に持ってくるためにあのような順番になったのでしょうね。

そして、テンポよく進んだアニメとは異なり、ターニャだけでなく帝国・レガドニア・アルビオンなど各国の思惑も描写してくれるマンガ版は非常に丁寧に進んでいる印象です。
アニメを追い越すのはもう少し先になりそうですが、ぜひこのまま進めていただきたいですね。

そういえば8巻にはレルゲン中佐が出てきませんでしたね。コンプエース本誌では胃痛で悲痛な表情が多いレルゲンでしたが、9巻では出番があるのでしょうか。こちらも期待したいです。