『幼女戦記』第11巻 【ラインの悪魔】の帰還!古巣の戦場でターニャが再び大暴れする!!

東條チカ(著)『幼女戦記』第11巻 表紙 KADOKAWA 2018年11月発行

東條チカ(著)『幼女戦記』第11巻 表紙 KADOKAWA 2018年11月発行

『幼女戦記』のコミックスの最新11巻が発売されたので買ってきました。

帝国とフランソワ共和国の最前線【ライン戦線】に再び舞い戻ったターニャ・デグレチャフ。新たなるライバルキャラ、フランソワ共和国のビアント中佐との対決が始まります。

スポンサーリンク

東條チカ(著)『幼女戦記』 第11巻

前回、レガドニア協商連合との闘いの中で、アルビオン連合王国との摩擦を生んでしまったターニャ・フォン・デグレチャフ。その罰(軍上層部はある意味ターニャの意向を汲んだつもりですが)としてターニャは、再びフランソワ共和国との最前線である【ライン戦線】に異動となりました。

後方での安全な勤務を夢見るターニャ・デグレチャフ少佐。そんな彼女の思惑とは真逆の方向へ突っ走るコミックス版『幼女戦記』第10巻の紹介。

ライン戦線はターニャにとって最初の大規模戦場であり、航空魔導師として初めて部下を持った思い出深き戦場ですが、同時にその圧倒的な戦果から「ラインの悪魔」の呼称がついたところでもあります。
まさに悪魔の帰還というわけで、当時よりもさらに力を増したターニャがフランソワ共和国相手にどこまで暴れてくれるのか楽しみです。

表紙はライン戦線に立つターニャ。「ラインの悪魔」にふさわしい貫禄があります。

『幼女戦記』第11巻 表紙

引用:同上

コミックスの帯は求人広告風。地獄のライン戦線の兵士を募集しているとは微塵も感じさせない素晴らしい出来です。

ライン戦線で働く兵士を募集する公告

引用:同上

地獄のライン戦線

ターニャの呼称である「ラインの悪魔」はライン戦線で活躍したときについたものですが、そのライン戦線に再び戻ることになったのが前回までの話し。ここで改めてライン戦線についての解説がありました。

それによるとラインは帝国の西方に位置する丘陵地帯で、長年フランソワ共和国とその所有を争っていた係争地だったとのこと。今回の戦争では帝国とフランソワ共和国の開戦以来、両国の最前線になっている戦線であり、開戦からすでに2年が経過していながら未だに激しい戦闘が続いている激戦区です。

引用:同書22ページ

そんなライン戦線ですから武器弾薬だけでなく多くの兵士も亡くなっていきます。それらを補うために帝国は、熟練の兵士だけでなく即成課程を受けただけの非常呼集組や士官学校を卒業したばかりの新兵、新型兵器もどんどん投入しているようです。
また、帝国は戦闘のさらなる長期化を見越してライン戦線後方にあるアレーヌ市を後方物流基地として整備。フランソワ共和国に一歩も引かない姿勢をとります。

とにかく兵も武器弾薬も無くなれば即補充していくような戦場ですから、戦闘はとにかく激しいの一言。特に戦車隊とともに行く歩兵はどんどん死んでいきますから、まさにこの世の地獄といってもいいでしょう。

それだけ両国ともライン戦線を重視しているということでしょうが、戦闘の長期化により一進一退の攻防が続いていたようです。そこへターニャが戻ったことで、戦線でのパワーバランスに大きな変化が訪れることになります。

スポンサーリンク

「ラインの悪魔」再び

フランソワ共和国の戦車隊や陣地に苦戦する帝国軍兵士たち。そこへ救援として現れたのが、ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐率いる第二〇三遊撃航空魔導大隊でした。

救援に来たターニャたちは敵戦車隊を破壊。さらに戦車大隊の進軍を妨げる敵砲兵陣地の撃滅に向かいます。そこにはフランソワ共和国の精鋭航空魔導士を集めた特殊作戦軍第一大隊が駐留しておりました(撃墜数50を数えるエース・オブ・エースなど)。
じつはこの砲兵陣地はフランソワ共和国のトップエース・ビアント中佐がターニャを罠にはめるためにわざと構築していた陣地なのでした。

本来であればこの陣地に現れたターニャたちに対空機銃で応戦し、その間に機動ユニットで運動性能を高めた歴戦の航空魔導士たちが空にあがって叩くつもりでした。
しかし、ターニャたちは対空機銃などものともせず一気に距離を詰め、フランソワの航空魔導士たちが空にあがるまえにこれを残らず撃滅してしまいます。

ラインの悪魔の異名の通り、悪魔的な活躍をするターニャ・フォン・デグレチャフ

引用:同書78ページ

ターニャの活躍に奮起する帝国軍兵士たちと恐怖するフランソワ共和国軍。すでにターニャの勇名は味方からは「白銀」、敵からは「悪魔」として戦場の隅々まで轟いているようです。

これによりほとんど何も対応できないまま、フランソワの特殊作戦軍第一大隊は全滅。こうして想定を大きく上回るターニャの動きに、フランソワの兵士たちは「ラインの悪魔」の異名の恐ろしさを再び知ることになったのでした。

ビアントの分析

フランソワ共和国軍のエースであり特殊作戦軍第二魔導中隊司令であるセヴラン・ビアント中佐は、さきにターニャたちに壊滅させられた砲兵陣地を訪れ、「ラインの悪魔」の戦闘能力の高さと戦略的思考に驚きます。

今回ターニャたちはフランソワの最前線橋頭堡を集中攻撃してフランソワ共和国軍の気を逸らし、そこから電撃的に後方にある砲兵陣地へ到達。高々度から急降下による術式攻撃で一気に魔導士たちを蹴散らし、後退していきました。

ターニャの消耗抑制ドクトリンを分析するビアント中佐

引用:同書96ページ

仮に接近を察知できても対応する時間がないこうした敵陣地に対する縦深的な攻撃は、味方の損害は最小限に、敵には大打撃を与えられるターニャが得意とする戦術。以前ゼートゥーア准将に【消耗抑制ドクトリン】として説明しており、ターニャの航空魔導大隊の創設のキッカケにもなりました(コミックス3巻参照)。

そんなターニャの戦術が、ライン戦線のように両軍が全域に戦力を振り分けているような状況には非常に適していると分析したビアント中佐は、この戦術を真似ることを思いつき実行します。

ターニャの戦術を有効と認め、かつ、それを取り入れようとするビアント中佐

引用:同書101ページ

これまでターニャの戦い方に驚く敵軍は多かったですが、これを効果的だから真似ようとした者はいませんでしたからビアント中佐はかなり優秀な人物ですね。さっそくビアント中佐は帝国軍の突出陣地を航空魔導大隊で浸透。帝国軍は救援もあって壊滅はしませんでしたが、砲兵陣地の機能は喪失してしまいます。

ちなみに、このとき帝国の砲兵陣地を救援するために登場したのが第二〇五強襲魔導中隊でした。ターニャが初めてライン戦線に着任したときに所属していた中隊です。

中隊長となったライン戦線最古参のショーンズ中隊長

引用:同書149ページ

ここで登場したショーンズ中隊長は、以前ターニャが率いた小隊に所属していた部下であり、飛行しながら行進する器用な人物でした(コミックス2巻参照)。

ショーンズ軍曹とターニャの小隊

東條チカ(著)『幼女戦記』第2巻 66ページ

意外にもこの空中行進はフランソワ軍にも知られており、さすがライン戦線最古参と呼ばれるだけはあります。

それはともかく、今回のビアント中佐の作戦は大成功。裏を返せばターニャの戦術が非常に効果的であることが証明されたのでした。そして次の手として、これまたターニャたち帝国がレガドニア協商連合との戦いで決定打を与えた手法と同じことを再現しようとします。

ターニャの戦術で帝国を倒そうとするフランソワ共和国のビアント中佐

引用:同書102ページ

すなわち、帝国軍のライン戦線を後方から支える後方物流基地となったアレーヌ市を機能不全に追い込み前線を孤立化。そののち包囲するというものです。果たしてビアント中佐の作戦は今度もうまくいくのでしょうか。

短い付き合いだろうが仲良くやろう

ライン戦線に戻ったターニャですが、ある日、彼女に補充魔導師到着の連絡がありました。ターニャの第二〇三遊撃航空魔導大隊はいまだ損害はないにもかかわらず補充とは、いやな予感しかありません。

実はここでのターニャの仕事は戦うこと以外にもありました。それは前回、ゼートゥーア准将が言っていた最前線で新兵を鍛える教導隊のような役割です。
ターニャ自身が以前教導隊に所属していたのもありますし、二〇三大隊を一から鍛えた手腕は誰しもが認めるところ。直近では北洋艦隊で行った教導演習も好評だったそうです。そんな彼女に最前線で兵を鍛えてもらえば、新兵もすぐに使えるようになるのではという軍上層部の考えからでした。

そして到着した新兵たちですが、これが士官学校を卒業したばかりの返事もロクにできないヒヨコたちであったため、ターニャたちは頭を抱えます。そんな新兵を前にしたターニャのセリフがこれ。

笑顔で絶望的なことを口にするターニャ

引用:同書144~145ページ

本当に短い付き合いにする気はないでしょうが(でなきゃ自分の評価にも影響しますし)、足手まといの新兵をこの地獄のような戦場でどこまで鍛えることができるのか、ターニャの手腕が改めて問われます。

感想

久々にライン戦線に戻ったターニャでしたが、さっそく戦果を挙げるあたりはさすが「ラインの悪魔」と呼ばれるだけはあります。

ただ今回から本格的に登場したフランソワ共和国のエース・オブ・エースであるビアント中佐は、ターニャの戦略が効果的とわかるとすぐさま自分たちにも取り入れ、しかもキッチリ結果を残しました。

最初こそターニャにやられはしましたが、そこから学ぶべきところをしっかりと学び、それを生かすというのはこれまでの敵キャラにはなかった傾向です。レガドニア協商連合のアンソン・スー大佐も強敵でしたが、ビアント中佐はそれ以上にやっかいな敵となりそうですね。

ところで今回も作中で色々な解説が入っていて、とてもわかりやすかったです。

例えば、なぜ戦場の陣地構築はジグザグなのかや・・・

戦術の解説

引用:同書26ページ

これまでも何度か登場していた用語の解説なども作中で行われます。

幼女戦記。教導隊の解説

引用:同書128ページ

それ以外にも、恒例となっている各章間の用語解説ももちろん収録されており、読み手のことを考えた丁寧な作りになっていて読みやすいです。

肝心のマンガもかなり描き込まれていますし、それでいてこの刊行ペースは本当に驚異的ですね。『幼女戦記』は本当にコミカライズに恵まれていると思います。

次巻12巻以降で描かれるのは、いよいよアレーヌ市での戦いでしょう。アニメでいうところの第8話「火の試練」にあたるところだと思いますが、アニメでもだいぶキツイ描写がありましたからターニャや各キャラクターがどんな風に描かれるのか楽しみです。