『幼女戦記』第15巻 ターニャたち魔導大隊に最大のピンチが訪れる

東條チカ(著)『幼女戦記』第15巻 表紙 マンガ
東條チカ(著)『幼女戦記』第15巻 表紙 KADOKAWA 2019年7月発行

『幼女戦記』のコミックス第15巻のレビュー。購入してから時間が経っておりますが、せっかくなのでレビューしたいと思います。

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東條チカ(著)『幼女戦記』 第15巻

前回記事にしたのは11巻だったのでだいぶ空いてしまいましたが、毎巻ちゃんと買っております。もうちょっとちゃんと紹介したいですね。

『幼女戦記』第11巻 【ラインの悪魔】の帰還!古巣の戦場でターニャが再び大暴れする!!
ターニャが勇名を轟かせたライン戦線に帰ってきた。フランソワ共和国との戦いに再びその身を投じます。

第15巻では第41話~43話までを収録。表紙は美少女然としたターニャ。毎巻軍服ばかりですが、今回は最近の凛々しいというよりも、かわいらしい感じになっております。

東條チカ(著)『幼女戦記』第15巻 表紙

東條チカ(著)『幼女戦記』第15巻 表紙 KADOKAWA 2019年7月発行

東條チカ『幼女戦記』第15巻 表紙

引用:同上

さて、第15巻ではフランソワ共和国との戦争に一大転換を起こす”衝撃と畏怖”作戦の前準備である、大規模陣地転換作戦の死闘が描かれております。

ライン戦線の戦略的撤退

アレーヌ市の市民を民兵ごと焼き払う【火の試練】を完遂したターニャ率いる第二〇三遊撃航空魔導大隊。この過酷な任務を遂行した彼らに次に課せられたのは、またしても地獄のような任務でした。

それはフランソワ共和国との開戦以来維持してきたライン戦線を後退させるときのしんがりを務めるというもの。帝国軍がライン戦線から後退し次の作戦のための陣地転換(”衝撃と畏怖”作戦の第一段階・大規模陣地転換作戦)を完了するまで、第二〇三大隊は敵にそれを悟らせぬよう大隊単独で敵軍の真っただ中を進まなくてはならないのです。

作戦上、帝国軍の大規模攻撃があるとフランソワ共和国に思い込ませなければならないので(でないと撤退行動中の帝国軍がフランソワの餌食になってしまうため)、ターニャたち大隊は常に前進しなければならないのですが、しかし実際は帝国軍の後退なのでターニャの大隊以外の戦力は戦闘に参加しません。大隊単独で敵の集中砲火を浴びながら撤退はできず、しかもしばらく持ちこたえなければならない、まさに非情な作戦と言えます。

作戦開始前、大隊を前に大いに演説するターニャ。たいへん勇ましい言葉を放つターニャですが、心の中ではもうヤケクソ。

しんがりを務めることになりヤケクソ気味になるターニャ

引用:同書13ページより

まぁ、こんな生きて帰れる保証がまったくない作戦を遂行せねばならないのですから当然ですけどね。安全な後方任務とは常に真逆に進むターニャでした。

第二〇三航空魔導大隊最大のピンチ

絶望的ともいえる今回の任務でも士気高く挑む第二〇三航空魔導大隊。ですが、今回ばかりは相手の物量に押され、普段のように損害なく任務遂行とはいきません。

最初の攻撃こそ相手の読み間違えもありあっさりと進みますが、すぐに包囲されて集中砲火を浴びてしまいます。それでも敵を落とし続けるのはさすがでしたが、敵の攻勢が第八波までおよぶ頃には戦闘時間は六時間を超え、新兵だけでなく中隊長クラスも次々と被弾。

被弾するターニャ

引用:同書56ページより

そこへ航空戦力の集中砲火を浴びて、ついにターニャも被弾し、さらにセレブリャコーフ少尉も(ターニャを庇って)墜ちてしまいます。

それでも作戦の終了は見えず、数々の戦果を上げてきた第二〇三航空魔導大隊も、確実に戦力が削られていくのでした。

ターニャの底力

セレブリャコーフ少尉を助けたターニャは、CPよりさらに現場に三個大隊が向かっていることを告げられます。ここでCPはターニャたちに撤退の許可をします。このままではターニャたちの全滅の可能性があるためで、帝国軍としては今ターニャを失うわけにはいかないので当然といえるでしょう。

しかし、ターニャはこれを拒否。ここで自分たちが撤退し、もし後退している帝国軍が攻撃にさらされれば作戦は失敗。さらに戦争は長引き、いずれターニャ自身も使い潰されてしまうのが目に見えるからです。この窮地でこうした冷静な思考ができるのが、ターニャの本当に優秀なところでしょうね。

というわけでターニャ達は最後まで任務を遂行することを選択。切り札のエレニウム九五式を使って、さらなる戦闘に挑みます。

ターニャの底力が発揮された

引用:同書70~71ページより

ここでターニャのとっておきが披露されます。普段からエレニウム九五式にちょっとずつ貯めこんだ魔力を一気に放出して味方の傷を癒すと同時に、敵軍には帝国軍でも五人ほどしかできないといわれる大魔導術式である拡散魔力爆発により甚大な被害を与えます。

さらに広範囲に魔力を放出し、敵陣地への浸透を行っていきます。エレニウム九五式とターニャの底力をぞんぶんに見せつけてくれますね。

ターニャのとっておき

引用:同書84ページより

帝国軍でも数えるほどしか使えない拡散魔力爆発

引用:同書78ページより

それでもここまでの長時間戦闘により、武器弾薬や魔力、体力も尽き始めてきた大隊メンバー。そこでターニャは大隊に集結する命令を下します。これ以上の遊撃戦は各個撃破されるだけであり、それならば戦力を集中させて少しでも抗戦しようというわけです。当然、敵軍も包囲しやすくなりますからそれほどもたないでしょうが、それでもこれ以上の遊撃戦は不可能と判断したのでしょう。

これが最後と徹底抗戦の構えをとったターニャ達。しかし、そんな彼女らにCPから「任務終了」の無線が入ります。ようやく帝国軍西方方面軍の後退が完了したのでした。

結局、ターニャたちは敵軍の攻撃を第十七波まで退け、負傷者は多数ながらも死傷者はゼロという奇跡的な結果に終わりました。一方のフランソワ共和国軍は散々たる状況で、改めてラインの悪魔の名前の恐怖を刻んだことでしょう。

ただ前へ、さらに前へ

ターニャたちの活躍により、無事に大規模陣地転換作戦は終了しました。続いて”衝撃と畏怖”作戦の第二段階として、参謀本部が立てた作戦が、フランソワ共和国軍司令部の強襲。音速を超える超加速ユニットに魔導士を乗せて司令部を強襲・一撃離脱するというものでした。

さきの大規模陣地転換作戦の成功により、フランソワ共和国軍はこれまで帝国軍がいたライン戦線の陣地深くまで浸透しています。しかし、急に拡大した戦域に兵站は追い付かず、部隊の配置や指揮系統は必然的に薄く弱くなってしまいます。それを補うため、フランソワ共和国は予備戦力もすべて投入することになるでしょうが、結局これは司令部の守りが薄くなることにほかなりません。ここをターニャたちが強襲すれば、一撃で指揮命令系統を寸断できるだろうという算段です。

問題は強襲の方法。音速を超える超加速ユニットには魔導士が乗り込み、そのまま射出されます。つまり人間砲弾というわけで、複雑な術式を間違えれば射出されたユニットがそのまま棺桶になってしまいます。これを達成できるのは、エレニウム九五式と九七式を唯一部隊運用しているターニャたち第二〇三航空魔導大隊のみ。ターニャたちはまたしても困難な任務に就くことになるのです。

大隊を前に演説するターニャ。

ただひたすら前へと進む決意をするターニャ・フォン・デグレチャフ

引用:同書158ページより

”衝撃と畏怖”作戦の規模を考えると、これほどの作戦を展開するのはこれが最初で最後だろうと覚悟を決めます。ここまで来たら戦争を一刻も早く終わらせるため、前へ進むしかないとひたすら決心するターニャでしたが、果たして強襲作戦はうまくいくのでしょうか。次巻へ続きます。

感想

アニメでは第9話で描かれていた今回の作戦ですが、Aパートだけでわりとあっさり終了していたアニメと違い、マンガ版ではかなり濃厚に描かれておりました。

特にここまで数々の功績を挙げていた第二〇三航空魔導大隊の面々が、全滅の危機にまで瀕するほど激しい戦闘だったのはアニメでは見られなかったところですから非常に楽しめました。味方の撤退を援護するすが大隊単独なのは現実的ではないとも思いますが、これまでのターニャたちの活躍からそうした違和感も少なく、とても楽しめました。

毎度書き込みも素晴らしいですが、ターニャたちのセリフから戦闘がどんどん移行していく緊迫した状況も伝わってきて、作者の構成力のうまさも再認識させられました。これで制作進行も早いというのですから恐れ入ります。

とはいえ、まだアニメでいえば9話のAパートが終了したところ。次巻で共和国の司令部強襲が描かれると思いますが、早くアニメの最後まで読んでみたいところです。

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