『幼女戦記』第24巻 南方戦役 最大の戦いが始まる!

東條チカ(著)『幼女戦記』第24巻 表紙 KADOKAWA
引用:東條チカ(著)『幼女戦記』第24巻 表紙 KADOKAWA 2022年3月発行より

南方大陸でのフランソワとの戦いもいよいよクライマックス。これまでで最大となる激しい戦いが描かれた『幼女戦記』24巻のレビューです。

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東條チカ(著)『幼女戦記』 第24巻

24巻では第71話~74話までを収録。ここ数巻続いた南方戦役の最後の戦いが描かれております。

『幼女戦記』第22巻 カオスの地・南方大陸を戦い抜け!!
南方戦役が本格的にスタート。ロメール少将の登場でいろいろ賑やかになっており、とても楽しいお話しが多いです。

表紙は対峙するロメールとド・ルーゴ。そしてターニャの3名。

幼女戦記第24巻の表紙は相対するロメールとド・ルーゴ。そしてターニャ

引用:東條チカ(著)『幼女戦記』第24巻 表紙 KADOKAWA 2022年3月発行より

帯は格ゲーとゲーム雑誌風のデザイン。「キミ自身の目で確かめてくれ!」が攻略にもなってない昔の攻略本っぽいです。

格ゲー風の帯

引用:東條チカ(著)『幼女戦記』第24巻 表紙 KADOKAWA 2022年3月発行より

南方戦役・総力戦

南方大陸で各国の支援を受けて盤石の体制を整えたド・ルーゴは、海上と陸上から分散進撃して帝国軍を包囲。そのまま物量で押し切るか防戦一方の状況を作り出そうとします。一方の帝国軍は、もともと補給線が弱く、満足な増強もないという圧倒的不利な状況。分散進撃してくる敵を各個撃破しつつ衝撃を和らげ野戦能力を削いでいくという、ターニャ考案の攻勢防壁ドクトリンで対抗します。

ターニャが考案した攻勢防壁ドクトリン

引用:同書31ページより

海上での艦隊戦をなんとかしりぞけ、日が昇り始めるころには陸上での戦闘が激化。ロメールも自ら後衛を務め、分散進撃してくる敵を短時間ですばやく撃破していくために前にでていきます。

緻密で迫力のある作画

引用:同書44-45ページより

激化する戦場ですが、ここら辺の歩兵・戦車・航空機など人やメカの書き込みがかなりされており、画面の迫力が相当ありました。まさに総力戦といった感じで、臨場感がここ数巻で一番です。迫力の作画で南方大陸最後の戦いが描かれていきます。

フランソワ真の狙い

諜報からの報告では圧倒的な物量から分散進撃してきているハズのフランソワですが、実際に前線で戦う帝国軍人はその攻撃の激しさと重厚さから、本当に分散戦力なのかと疑問を持ち始めます。それは最前線で戦う帝国五指に数えられるエース・オブ・エース、デボラ・フォン・エーデルライヒ魔導中佐も同じように感じます。

帝国のエース・オブ・エース「光の剣」デボラ・フォン・エーデルライヒ魔導中佐

引用:同書61ページより

ちなみにデボラの本名はここが初だと思いますが、二つ名も【光の剣】というのが判明。巻末でも紹介されてましたが帝国の二つ名は撃墜数に応じて全部で5つあるようで、下から【吟遊詩人】【白銀】【最古参】【光の剣】【黒手袋】とのこと。デボラは上から2つ目ですから、帝国軍の航空魔導士としてはNo.2ということでしょう。ターニャばかりが注目されますが、デボラも相当な実力者のようです。アニメ2期でも登場してもらいたいですね。

一方、第四四戦車大隊の指揮官代理・ドボルデンヘッファー少尉とバンヘッド軍曹は、進軍してくる敵軍の側面を圧迫し分断するのに成功しますが、やはりこちらもフランソワの攻撃の激しさに疑問を抱きます。

新キャラのドボルデンヘッファー少尉とバンヘッド軍曹

引用:同書48ページより

この二人、今回初登場なわけですが、経験の浅いドボルデンヘッファーとベテランらしいバンヘッドのコンビがなかなかいい味だしてますね。おそらく今後のターニャが受け持つ部隊に登場するのだと思いますけど、ベテラン揃いになった第二〇三航空魔導大隊のメンツとはまた違った面白さを演出してくれそうです。

そして、フランソワの攻撃の激しさはまさに砲煙弾雨といった様相。帝国軍も相当な戦死者が出ております。

進撃してくるフランソワとの戦い

引用:同書54-55ページより

そのうえ事前の情報とも異なる様相に戦場は混乱していき、司令官であるロメールすら前線の歩兵大隊の指揮を執る始末です。ここまできてようやく敵の狙いが判明。フランソワは分散進撃にみせかけた集中進撃を行っており、疲弊した帝国軍を温存している戦力で一気に食い破ってそのままロメールの首を狙っているのでした。

敗北を認めるロメール

引用:同書74ページより

ド・ルーゴの準備の周到さと練られた作戦に、素直に敗北を認めるしかないロメール。もし、南方大陸派遣軍団の頭がロメールのみだったなら、帝国軍はフランソワに敗北していたことでしょう。このタイミングでド・ルーゴは本命であるロメールをたたくため、切り札となる魔導大隊を出撃させます。

しかし、帝国軍にはこの戦局を打開できる存在がまだ残っていました。それこそ我らが主人公・ターニャ率いる第二〇三航空魔導大隊です。

再び激突するエース・オブ・エース

最前線から逃れるため偵察と称して戦場をまわりこんでいたターニャたち第二〇三航空魔導大隊。しかし、分散進撃しているはずのフランソワ軍と一向に会敵しません。敵兵がいないことを不審に思い、ようやくその狙いがロメールであることに気が付くターニャ。そして、ロメールをたたくために出撃した魔導大隊を感知しこれを撃退しただけではなく、その先にあるフランソワの司令部にまで到達してしまいます。

ド・ルーゴまで辿り着いた時の、ターニャのこの嬉しそうな顔。

笑顔のターニャ・フォン・デグレチャフ少佐

引用:同書118ページより

フランソワ本国ではあと一歩というところで逃げられてしまったわけですが、ようやく引導を渡せるとあっては自然と笑顔もこぼれるでしょう。

一方、急に現れて切り札を潰されただけでなく、司令部まで攻撃されたド・ルーゴたちもこの笑顔(泣き)。

もはや乾いた笑いしかでないド・ルーゴとビアント

引用:同書132ページより

もっとも笑顔の質が両者とも全然違いますが・・・。ここまで作戦が読まれていたのかと驚くド・ルーゴですが、まぁ単なる偶然というか、ターニャにとってはいつも通り【存在X】に最前線送りにされただけでしょう。

追い詰められ退却を進言する部下たちですが、それを拒否するド・ルーゴ。十分な準備をし必勝をかけて挑んだこの戦いで、これ以上逃げることはできないと言い放ちます。この態度は上に立つものとしては立派ですね。が、腹心のセヴラン・ビアント大佐はそんなド・ルーゴを足蹴にしてでも逃がそうとします。未だフランソワの解放を諦めていない彼は、それにド・ルーゴが必要なことをよく理解しているのです。

ド・ルーゴを逃がすために出撃するビアント。てっきり自らの死を覚悟した時間稼ぎだと思っていたのですがこれがとんでもない強さで、ヴァイスら第二〇三魔導大隊の中隊長たちを蹴散らしていきます。たった一人で第二〇三魔導大隊を圧倒するビアントは、正直かっこよかったです。

そして、ターニャのもとまでたどり着くビアント。帝国とフランソワの二国のエース同士が再び相まみえます。

帝国とフランソワ。二国のエース同士の対決

引用:同書148-149ページより

お互いに演算宝珠を限界まで使った撃ち合いとなり、これが他者を全く寄せ付けないほどの大規模なぶつかり合いになります。魔力量だけでいえばビアントのほうが上だったのですが、残念ながらターニャにはあの九五式がありました。使いたくなかったこの力を使い、ビアントを退けたターニャ。一方のビアントもターニャの一撃を身を挺して防ぎ切り、ド・ルーゴたちを守ることに成功しました。

こうしてエース同士の闘いはまたしても引き分けというか痛み分けで、帝国・フランソワ両軍とも被害甚大となり軍事行動は当面不可能。膠着状態となり、南方大陸での戦いは事実上終結したのでした。

そして次なる戦いへ

フランソワを倒しきれなかった帝国軍ですが、フランソワを始めアルビオンなどのけん制としての役割は十分に果たしたことで、南方大陸においての第二〇三航空魔導大隊の任務は終了。ターニャたちには帝都ベルンへの帰還命令がでます。

固い握手をするターニャとロメール。二人の共犯者

引用:同書201ページより

ロメールと固い握手といくつかの念押しをして、ターニャたちは帝都へと帰っていきました。が、新たな火種はすでに東側で燻っており、ターニャたちに安息の日々はまだまだ訪れそうにありません。

感想

南方戦役の最後の戦いが描かれた24巻は、作画も凄いですが大ゴマや大隊の面々の活躍もあってとても興奮しました。また、適時入っている戦況図がとても分かりやすくて、大規模な戦いを描いているのに読みやすかったです。入り組んだ戦場をここまでキチンと描ける漫画家もあまりいないと思いますし、本当に作者の力量の高さを思い知ります。

キャラクターでいえばロメールが非常にいいキャラをしているので、もっと登場してもらいたいくらいですが、彼のいる南方大陸は今後の出番がほぼなさそうなのでちょっと残念です。デボラ中佐もあまりいない女性かつ強キャラですし気に入っていたのですが、今後もちょっとでも出番が出てくれると嬉しいですね。

フランソワのド・ルーゴやビアントもてっきりここで終わりと思っていましたので、生き残ったのは意外でした。キャラとしては面白いので、再登場に期待してます。

というわけで24巻はここまで。次巻からは劇場版になったルーシー連邦との戦いが始まるかと思います。アニメ2期も始まりますし、今年は新しい『幼女戦記』の展開をいろいろ観られると思うと、今からワクワクしてきます。